EY、事業再編計画を中止へ(Bloomberg)
コンサル事業分離に内部から反発か
Bloombergなどの海外メディアが、Big4の一角であるEYが独自に進めていた事業再編計画について、正式に取りやめとなったことを報じている。
この再編計画はコンサルティング部門の大半と税務部門の一部を分割する「プロジェクト・エベレスト」と呼ばれるもので、「監査とコンサルティングを同じグループで手がけることで利益相反に当たるのではないか」という規制当局からの懸念にBig4の中で先駆けて対処することを目指していた。
Bloombergは、この再編計画の失敗が「パートナーシップモデルの限界」であると述べている。収益性の高い税務業務の分離に対し米国法人が難色を示したことが中止の直接の原因であることに触れた上で、「パートナーの利益が会社の利益と一致する」という考え方で運営されてきたパートナーシップ制が、何百万ドルもの報酬を手にする可能性のある大規模な戦略的変更によって均衡が崩れた(=パートナー自身の利益を優先する行動が取られた可能性がある)と指摘した。
■執筆者コメント
計画発表当初、「監査クライアントへのサービス提供制限が外れることで更なる事業拡大が見込まれる」という触れ込みで、特にコンサルの視点では歓迎ムードだった。しかし、パートナーへの「棚ぼた報酬」報道や12月の突然の「代替案模索」報道(知人によれば検討方針に対して十分なコミュニケーションがない状態での報道)など、従業員の不安や疑念が溜まっていく一方だったのではないか。今のところ他社でEYに追随する動きは出ていないが、英国では2024年を期限とした監査部門の分離を求められており、Big4へのコンプライアンスに関する懸念は増している。今後、業界再編が進んでいくのか、またどのような形で規制機関の要請に応えていくのか注目される。
2023/04/17追加
2月14日付でEY Japanからもリリースが発行されています。
EYの事業分割検討の経緯について
(EYニュースルーム https://www.ey.com/ja_jp/news/2023/04/ey-japan-news-release-2023-04-14)