PwC、「企業の地政学リスク対応実態調査2023」を発表
8割の企業が対応着手。「サイバー脅威」を最も懸念し「中国のリスク認識」も増大
PwC Japanグループは「企業の地政学リスク対応実態調査2023」の結果を発表した。同調査は、地政学リスク・経済安全保障に対する日本企業の意識、対応の現状を把握するため実施されたという。
調査によると、最も懸念される地政学リスクとして「ロシア・中国・北朝鮮などのサイバーアタック/サイバーテロ」が37%で前年に続き首位となった。「グローバルサプライチェーンの寸断」が32%で2位、「中国国内政治・経済の不安定化」が21%で3位と続いた。
企業の経営戦略においては、「地政学リスクマネジメントが重要」と答えた割合は87%と前年比5ポイント増となった。「重要ではない」との割合は前年比5ポイント減となり、わずか3%にとどまった。
一方で、8割の企業が地政学リスクに対して何らかの取り組みに着手していることが明らかになった。具体的には、「海外拠点・子会社における情報収集・共有」(46%)、「外部アドバイザー支援の活用」(35%)、「専門人材の社内育成」(32%)、「専門人材の採用強化」(26%)が上位となった。
地政学リスクによる損失への対応については、「サプライチェーンと調達戦略を調整」(57%)、「生産を別の国や地域にシフト」(34%)、「成長領域を別の国や地域にシフト」(26%)の回答が上位に並んだ。また、5割超の企業がサイバーセキュリティ部門と連携しており、地政学リスクとサイバー脅威が絡み合い、対応も不可分となることを映している、としている。
さらに、直近1年間の中国の投資環境については、3割超が「悪化した」と答え、「改善した」のは6%にとどまった。今後3年間での中国事業への投資の位置付けについて、「優先投資先」との回答は54%と前年比14ポイント減となり、サプライチェーンの拠点や市場としての中国の位置付けが変わりつつある現状が浮かび上がる、と述べている。
なお、同調査は海外で事業を展開する売上げ規模年商100億円以上の企業に勤務する管理職343名を対象に、2023年8月にオンラインで実施されたという。台湾有事やロシア・ウクライナ問題などへの対応状況に関するヒアリングなども実施しており、今秋にはこれらの結果を踏まえたより詳細なレポートを発刊する予定としている。
https://www.pwc.com/jp/ja/press-room/geopolitics230824.html
(PwCジャパングループ ニュースルーム)