EY、世界のIPO市場調査。Asia-Pacific鈍化し格差拡大

EYは、2024年第２四半期のIPO（新規株式公開）に関する調査レポート「EY Global IPO Trends Q2 2024」を発表した。同レポートによると、2024年上半期の世界全体のIPO件数は551件、調達額は522億米ドルに達したものの、前年同期比で件数が12%、調達額が16%減少した。この減少の主要因は、Asia-Pacific（アジア・パシフィック）地域でのIPO活動の鈍化で、Americas（北・中・南米）とEMEIA（欧州・中東・インド・アフリカ）は大きく成長していると述べている。

IPO件数で首位となったのは、製造業セクターの115件(全体の21%)で、主にインドでの好調な活動によるものだという。資金調達額では、テクノロジーセクターの108億ドル（21％）が最大となり、半分以上（52％）が米国での調達だった。

また、大規模なプライベートエクイティ（PE）やベンチャーキャピタル（VC）が支援するIPOが急増し、このような株式公開による調達割合は、2023年上半期の9%から2024年上半期には41%に上昇している。この傾向は特にAmericasで顕著だとし、IPO調達額の74%がPEおよびVCが支援する企業によるものだった。

エリア別では、AmericasとEMEIA両地域で株式公開に対する強い意欲が示されたとしている。Americasでは86件のIPOが行われ、調達額は178億米ドルで、前年同期比でそれぞれ12%、67%の増加を見せた。EMEIAは16年ぶりに世界のマーケットシェア第１位を奪還し、総取引件数の45%、調達額の46%を占めた。このパフォーマンスは、欧州での大規模な上場によるものだという。また、インドでもIPOが急増しており、件数は世界全体の27％となる152件に達し、前年同期比で13%の増加を見せた。

一方、Asia-Pacificは、地政学的緊張や景気後退などにより市場心理が悪化しており、2024年上半期に長期にわたる減速が見られるという。IPO件数は216件、調達額は104億米ドルと前年同期比でそれぞれ43%、73%の減少を示している。なお、中国では株式公開を選択する企業に対して、IPOにより高い要件が求められていることを理解することが重要だと述べている。

（EY Japan ニュースリリース）

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