BCG、米国が関税を大幅に引き上げた場合の世界貿易の影響を予測
米国の輸入関税コストは6,400億ドル増加。自動車関連で日本も大きな打撃
ボストン コンサルティング グループ(Boston Consulting Group/BCG)は、マクロ経済データを基にAIを活用した調査レポートの最新版「Great Powers, Geopolitics, and the Future of Trade」を発表した。
本レポートでは、米国による関税引き上げが行われない場合、世界貿易は年平均2.9%で成長し、2033年までに29兆ドルを超える見込みとの予測を行っている。ただし、米国が中国との貿易を減らし、中国がグローバルサウス(新興・途上国)との関係強化を図るなかで、貿易ルートは大きく変化するとしている(図表1)。
一方、米国の関税引き上げ措置が実行された場合、それぞれの国や地域および産業に与える影響について、60・25・20シナリオ(中国に60%、カナダおよびメキシコに25%、その他の国からの輸入品に20%の関税が課されるケース)の前提での検証を行っており、上位10カ国からの米国の輸入関税コストは、2023年の輸入額を基準に計6,400億ドル増加する可能性があるとしている(図表2)。
製品カテゴリー別にみると、自動車と自動車部品が大きな打撃を受け、主にメキシコ、EU、日本との貿易に影響があると考えられている。また、中国への関税引き上げは、消費者向け電子製品、電気機械、ファッションにおいて大きな影響を及ぼし、中国から米国への消費者向け電子製品の輸入関税コストにおいてはおよそ610億ドルの増加が予想されている。
さらに、本レポートでは、米国・メキシコ・カナダ、中国、グローバルサウス(133カ国)、EU、ASEAN、インドにおける2023年から2033年までの各地域ごとの主要な変化の予測についても言及している。
(BCG Press Releases)