A.T. カーニー、「2025~2027 年の経済見通し」を公開

世界経済の成長ベースは鈍化、日本は厳しい見通し
A.T. カーニー(A.T. Kearney / グローバルブランド名 KEARNEY)のマクロ経済部門シンクタンクであるグローバル・ビジネス・ポリシー・カウンシル(Global Business Policy Council / GBPC)が、「2025~2027年の経済見通し~不確実性を乗り越える成長戦略(原題:Unchartered Territory – Global Economic Outlook 2025–2027)」を公開した。
本レポートは、世界の経済成長率、インフレ動向、地域別の成長予測、そして今後3年間の経済環境を形成する主要な要因について分析したものとなっている。
同レポートによると、米国の関税政策や地政学的リスクの高まり、経済政策の不透明感を背景に、世界経済の成長ペースは鈍化する見通しとなった。2025年と2026年の成長率は2.3%に減速し、2027年には2.9%へと緩やかな回復が予測されている。2025~2027 年の平均成長率は1月の予測2.8%から2.5%へと下方修正された。
世界のインフレ率については、2022年から2023年の急激な上昇に比べ、2025年から2027年にかけては緩和すると予測しており、先進国市場では平均2.2%、新興市場では平均4.0%と見込んでいる。新興市場の高いインフレ率は通貨変動や政治的な不安定さといった構造的要因によるものだとしている。
地域別の成長予測では、中東・アフリカが平均3.6%と最も高い成長率を見込まれている。次いでアジア・オセアニアが3.5%の見通しとなった。一方、南北アメリカは1.9%と、1月予測の2.5%から大幅に引き下げられた。また、ヨーロッパ・ユーラシア地域は平均1.2%と最も低い成長率が予測されている。
日本の経済については、2024年の成長率はマイナス0.1%と縮小したが、2025年には0.8%まで回復すると予測している。しかし、円安や高齢化、関税の影響を受けた輸出の停滞、企業投資の低迷が続くため、長期的な成長率は1%を下回る可能性が高いとしており、厳しい状況が示されている。
また、今後3年間の経済環境を形作る5つの主要な要因として、「地政学的リスク」「産業政策と関税」「制度の安定性」「技術革新」「環境問題」を挙げている。
(A.T. カーニー プレスリリース )