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NEW 2025.11.07

アビーム、日本企業のM&Aへの取り組みに関する実態調査を発表

目的達成率45%にとどまり、経営層とミドル層で評価に大きな差

アビームコンサルティング株式会社(Abeam Consulting Ltd)は、「日本企業のM&Aへの取り組みにおける実態調査」の結果を公表した。

同調査は、M&A実施後の目的達成度や統合後の改革実態を明らかにすることを目的として実施されたもので、M&A実施後に「目的を達成した」と回答した企業は、全体の45.3%にとどまった。

役職別では、「目的達成」と答えた経営層はわずか15.3%と最も厳しい評価となった。一方、ミドルマネジメント層では約半数が高い評価となり、経営層とミドルマネジメント層の認識に大きなギャップが見られた。この背景には、経営層は企業価値やシナジー創出といった全社的・中長期的視点で判断する傾向があるのに対し、ミドルマネジメント層では業務の安定稼働などの短期的成果を重視する傾向があると考察している。

業界別では、「金融・証券・保険」「自動車・輸送機器」「電気・電子機器」で過半数の企業が目的を達成したと評価している。これらの業界は業界特有の規制対応やサプライチェーン標準化を重視し、徹底したPMI(Post Merger Integration)対応を行う傾向があり、これが目的達成を押し上げているとした。一方、「食品・医薬・化粧品」「情報処理・SI・ソフトウェア」「卸売・小売業・商業(商社含む)」では、目的達成率が他業界に比べ低い結果となった。現場業務が優先される傾向から、全社的な統合計画や業務設計の優先度が低下し、統合効果の発現が遅れるリスクがあると推察した。

さらに、PMIを中期経営計画や人材戦略と一体的に設計した企業では、45.1%が「改革を継続推進中」と回答したのに対し、一体設計を行わなかった企業では12.3%にとどまった。

同社は、PMIを成功に導き企業価値を高めるための要点として、以下の4つを提示した。

  1. 「Day1以前における統合全体構想の確立」
  2. 「買い手と対象会社をつなぐ「統合推進人材」の戦略的配置」
  3. 「統合直後の短期アクションプラン対応にとどまらない「Post PMI」への展開」
  4. 「現場任せにしない統合実行」

なお、本調査は、M&A関連業務の経験を有する主任・係長職以上のビジネスパーソン300名を対象に、2025年8月に実施された。

(アビームコンサルティング プレスリリース

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