ベイン・アンド・カンパニー「2020年秋、世界高級品市場レポート」発行
ベイン・アンド・カンパニー(Bain & Company)は、個人向け高級品市場について、新型コロナウィルスによる影響により「2009年以降で初めて縮小し、現在の為替レートで23%減の2,170億ユーロまで落ち込んだ。」とするレポートを発表した。
回復の兆し
ベイン・アンド・カンパニー(Bain & Company)は、現状、2021年の成長率は10~12%から17~19%増の範囲で変動すると予測している。とはいえ、大半の原価(マーケティング、オンラインチャネル、店舗費用)に持続的な支出(場合によってはさらなる資金投入)を行う必要があり、2022年末から2023年初めに、営業利益が2019年の水準に戻ると推測している。
中国をはじめとして、国内購入へのシフトが加速
中国本土は、2020年末までに市場規模が現在の為替レートで45%増の440億ユーロに達し、今年、前年比の成長を達成できる唯一の市場になると見込まれている。市場の変化は、人々が旅行をせず自国で買い物をするようになったことを背景に、高級品の購入場所の変化が急速に進み、今年は国内購入の割合が80~85%に達した。今後も、特に中国、そしてアジア地域全体がけん引し全体の国内購入比率は65~70%で推移する見込みである。
社会的課題に対する問題意識の高まり
2019~2025年の間に同市場における購買額で180%成長すると見込まれている若い世代は、社会的、人種的な不公正に取り組むことを重視しており、自身のビジョンや、目的意識に合致するブランドを支持する傾向がある。今後は、『高級品業界』という括りではなくなり、『文化と創造性に秀でた商品が入り乱れる市場』になっていくことが予測され、高級品業界の企業には、大胆な思考の転換が求められるとしている。
https://www.bain.com/ja/about-bain/media-center/press-releases/2020/covid_19_crisis_pushes_luxury_to_sharpest_fall_ever_but_catalyses_industrys_ability_to_transform/
(2020年11月25日 ベイン・アンド・カンパニー プレスリリース)
■執筆者コメント
個人向け高級品市場については、コロナウィルスの影響を受けにくい、と(勝手に)想定していたので、本リリース内容は興味深く感じました。プラダも、近年「RE-NYLON」と称した、再生ナイロン素材を使用するコレクションを展開していますが、コロナウィルスの影響による利益減の回復のみならず、ブランド維持継続の観点からも、 SDGsへの取り組みは、必須となりつつあるようです。話は変わりますが、もうすぐ、クリスマスですね。個人的な意思が伴うかどうかは別にして、個人向け高級品市場に、多少は貢献できるかもしれません。気が重いですが。。。
執筆:コダワリ・ビジネス・コンサルティング株式会社
堀内
https://www.codawari.co.jp/