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A.T. カーニー(A.T. Kearney;ATカーニー)の「A.T.」ってなんやねん?
「A.T.」が何か気になる。由来や歴史も含めて考えてみる。
コンサルティングファームの名前のちょっと気になるところを探ってみるシリーズ第2弾。今回はA.T.カーニーです。(ちなみに前回は、マッキンゼー・アンド・カンパニーでした)。
目次
A.T.カーニーは創立者の名前(3人ではなく1人です)
外資系ファームは、創業者の名前が会社名となっていることが多いのですが、A.T.カーニーも例に漏れません。A.T.カーニーは、アンドリュー・トーマス・カーニー(Andrew Thomas Kearney)の頭文字と名字をあわせたものです。例えば、PwCは、プライスさん、ウォーターハウスさん、クーパーさんと、創業者3人が合わさったものですが、A.T.カーニーは、1人の人物であって、アンドリューさん、トーマスさん、カーニーさんと創業者が3人いるわけではありません。更に、間違えやすいのですが、ATカーニーではなく、A.T.カーニーです。英語の略称ルールに従い、AとTのあとに. (ドット)が入ります。
実はあの会社と兄弟!?
この創業者のA.T.カーニーさん、とある会社から分社する形で、今のA.T.カーニーを立ち上げました。どこの会社だと思いますか?実は、マッキンゼー・アンド・カンパニーです。もともと、前身たる会社が1926年に設立されたのですが、経営方針の違いで、1935年に分社されました。戦略に重きを置くマッキンゼーとオペレーション改善に重きを置くA.T.カーニーに分かれたのです。
マッキンゼー・アンド・カンパニーの社名の由来はこちらの記事にまとめております。
オペレーション重視、人間力重視
A.T.カーニーは前述の歴史的経緯もあり、特に米国では、製造業のオペレーション改善に強みを持つファームとして知られています。同社はサービスを拡充し、現在では、オペレーションに留まらず、戦略との両軸でサービス提供していますが、それでも、出身者の弁によると、現場重視・常駐重視の傾向が強いようです。特に若手は入社すると「まずは現場に行ってみよう」となります。また、同社が人間力重視というのはよく聞きます。描いた戦略を実行するのは現場のいわゆるミドルクラス、部長・課長クラスです。すると、必然的に、地頭のよさだけでなく、コミュニケーション能力やクライアントに好かれるというような人間力が要求されてくるということなのでしょう。
どんな人がいるのか?
A.T.カーニー出身者で、よく名前を聞くのが、楠雄治氏です。現在、楽天証券の代表取締役社長を務めてらっしゃいます。日本版金融ビッグバンを契機としたインターネット証券の黎明期に、楽天証券の前身会社に転身され、システム開発、及び、ローコストオペレーションの知見を活かし、業界では、SBI証券と双璧をなすところまで同社を育て上げました。
ベンチャー起業家としては、印刷業界に革命を起こしたとされるラクスル代表取締役社長CEOの松本恭攝氏。いわゆるシェアリングエコノミーを印刷業界に導入。全国の印刷会社と提携し、印刷機の空き時間を利用し、高品質・低価格を実現しました。
他には、
・高家 正行氏 (株式会社カインズ 代表取締役社長)
・佐藤 勇樹氏 (株式会社リブ・コンサルティング パートナー)
・安田 隆二氏 (一橋大学大学院経営管理研究科 特任教授)
・西川久仁子氏 (株式会社FRONTEOヘルスケア 代表取締役社長)
など、企業経営・大学等の研究分野に多くの人材を輩出しています。
楠雄治氏にしても、松本恭攝氏にしても、A.T.カーニー時代に培ったオペレーション改善の知見を転身後にも活かされているのは、興味深いところです。
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