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第1回 経営戦略・課題解決に重要なコンサルファームの失敗しない使い方
クライアント事業会社向けのコンサル活用ノウハウ:基本的な選び方を、互いの事情も踏まえたうえでポイントとして明記する
これまでは、コンサルタント向けの記事が大半を占めておりましたが、今回は、お客様クライアント向けの記事となります。下記3部構成でお伝えします。
・使い方 ←今回はこちら
・選び方
・関係構築のポイント
コンサルティングファームは企業の経営課題を明らかにし、あるべき姿を提言、解決に導くことが大きな役割となっています。今回の投稿では、コンサルファームの役割とそのポイント・メリットについて言及していきたいと思います。
第一部では、コンサルティングファームを活用する前の基礎知識として、そもそもコンサルティングファームとは何なのか、まずはここから把握していきましょう。各章で重複する内容もありますが、ご容赦ください。
目次
1. コンサルティングファームが担う8つの役割
1.1 プロフェッショナルアウトソーシング機能
近年では意思決定のスピードがますます重視されるようになり、短期間で事業戦略の策定を成し遂げなければなりません。しかし、いくら社内に優秀な人材がいても畑違いの仕事で短期間のうちに結果を出すのは困難ですし非効率となります。
そのようなときに、「戦略立案」「業務改善」「IT投資・効率化」「DX推進」といった各専門領域のプロフェッショナルであるコンサルティングファームを使うことにより社内の人材を割くことなく答えを導き出すことができます。
コンサルファーム出身者等専門家を社内に抱えておく方法もありますが、プロジェクトが終われば活躍する場所は無くなりますし、費用対効果が悪い人的投資になる可能性もあります。そのため、一定期間でコンサルティングを利用することで効率的に人材を確保することができます。
1.2 ゼロベース思考機能も用い客観的な視点からビジネスを効率化
1つの会社で長く働いていると、その業界の風土や価値観などに慣れてしまい、客観的にビジネスプロセスを見ることが困難になってしまいます。
そういったときに、競合他社や他業界もコンサル目線で見てきたことも相まって、客観的事実に基づいてイチから考え直す(ゼロベースで考える)ことで無駄をなくし、効率化することができます。
1.3 プロジェクトマネジメント機能
課題解決のためのプロジェクトは通常の業務とは異なるメンバーや指揮系統で行われ、かつ明確に期間が区切られています。このようなスピード感を求められる状況下で、スキルや経験のあるコンサルタントがプロジェクトを管理・進行していく重要な役割を果たします。
特段、プロジェクト型での業務に慣れていない社内メンバの方々が数多くいる場合、プロジェクトマネジメント手法やファシリテーション等において、居なければならない重宝される存在といえます。
1.4 ファシリテーション機能にてクライアントのノウハウを抽出
プロジェクトの多くでは、クライアント企業の社員もチームのメンバーとして一緒に進めていきます。 この際、コンサルタントはすべて自分で行うのではなく、サポートに回りクライアント企業の社員が持っている、業界知識や経験をうまく引き出しながら課題解決につなげます。取り組むテーマにもよりますが、すべてコンサルに任せておけば大丈夫というケースはほぼ無いので、うまく使っていく必要があります。
1.5 ベストプラクティス提供機能にて効果的な課題解決を実行
コンサルティングファームでは世界各地で課題解決を行っており、その業界機能別の多くのノウハウを蓄積しています。それを結集することで、課題に対してもっとも効果的で効率的な方法を提供することができます。とはいえ、戦略立案でこそ必要ですが、グローバル視点で考えるような課題テーマであることは稀で、それ以外においては取組テーマに対してどれほどの知見と実績があるかというのが重要です(得てしてナレッジが蓄積されていても、その担当コンサルがやったわけではないので、その点確かに見極める必要があります)。
1.6 アクションラーニング機能にてクライアント自身の成長向上
クライアント企業の社員が一緒に仕事をすることで、多大な教育効果が期待できます。スキルやノウハウはもちろん、高いプロフェッショナリズムなどのマインド面での波及効果も期待できます。
1.7 箔付け機能で意思決定のサポート
社内である程度の答えが出ているにも関わらず、コンサルティングファームに依頼することも少なくありません。よくあるケースとして保守的な風土により、斬新な案が提案されても実行に移れないため箔付け目的で依頼する例があります。
社内の反対派を説得するために、コンサルティングファームの権威を借りて客観的な意見として答えを述べてもらう役割が期待できます。
1.8 第三者として中立的な諫言機能
クライアント社内で課題解決の方法を導き出せても、人間関係や利害関係、またその立場により公にいうことが困難でできないケースがあります。一方、コンサルティングファームにはそのようなしがらみがないので、クライアントのためならば、耳の痛いことも対象者に連携してくれます。
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2. コンサルティングファームの間違った使い方
2.1 コンサルティングファームに丸投げする(意思決定をしない)
コンサルティングファームは”経営リスク”は負いません。コンサルタントの指示に従って結果が出たとしても必要なノウハウなどは会社に残りません。他に、社内の意思決定に時間を要しすぎて、コンサルタントの工数を無駄遣いしてしまうとかよく見るケースです。
2.2 コンサルティングファームが解答を知っていると考える
唯一絶対の解答はありません。経験からくる勘所や解答を考える方法論があるだけです。解答だけを求めるとコンサルティングファームから得られる”分析”や”計画立案”など価値のあるノウハウが得られなくなります。
2.3 コンサルティングファームに嘘をつく(隠す)
コンサルティングファームは多くの企業も見ているので財務資料等や社内の雰囲気から嘘に気付きます。コンサルタントは上司や先生ではないので怒りませんので、変な心配をする必要はありません。
2.4 コンサルフィーをケチりすぎる
外資コンサルだとメンバレベルでも人月300万円程度となり、社内の人件費と比較すると馬鹿みたいに高いですが、あまり比較するものではないです。さらには人月も高い中、チームで提案をしてくるので、一か月のコンサルフィーは国会議員の接待問題がかわいく思える投資甲斐のあるお値段になります(笑)。特に当方は経営者とコンサルとしての側面がありますので、自社の戦略策定や効率化等でコンサルを活用するかというと、そこに対してはROIでシビアに考える一面があります。
ここでの最適なコストは難しいところで、次回の「コンサルファームの選び方」でも言及したいと思いますが、安く使うことを目的としてしまうと、結局手戻りや成果が出ずに高くつくことがあります。
3. コンサルティングファームを活用するメリット
3.1 スピード感:キャッチアップ速度含め労働生産性に対する意識が強い
兎にも角にも真っ当なコンサルファームだとこのスピード感はメンバレベルでも叩き込まれています。ゆっくりやるならだれでもできるといった考えもあり、自分の一分一分の労働生産性を向上させる意識が強い人間たちの集合体であり、この意識そのものが高いフィーの裏付けとしても存在するのも認められます。
3.2 情報の整理と可視化
効果的な人材育成プランを検討するための材料、すなわち「情報」は、当然ながら全て社内にあります。しかし、その情報を洗い出し、整理して意味付けし、さらに分かりやすく「可視化」するのは容易ではありません。一定以上の論理的な思考力や、フレームワークを使いこなすスキル、そして経験に基づく知見が必要となるでしょう。コンサルティングファームは、まさにそのようなスキルに長けています。組織の状況や従業員のスキル保有状況などを、分かりやすく可視化して俯瞰することで、どこに改善点があるかを浮き彫りにします。
3.3 数々の成功事例や最新の解決策の習得
さまざまな規模・業種のクライアントと関係を築いているコンサルティングファームの知見やノウハウを活用することで、自社にはなかった発想や、最新のシステムを活用した解決策などを取り入れることができます。他社で行われている施策や、成功事例を知るきっかけにもなるでしょう。
3.4 スピーディな改革を実行
新しい研修制度やITツールの導入など、自社で初めて取り組む施策は往々にして時間がかかるものです。しかし、制度作りに半年、説得するのに半年という風に時間をかけているうちに、経営方針自体が変わってしまうこともあります。そこで、コンサルティングファームに制度設計や上申のサポートをしてもらうことで、大規模な改革でもスピーディに進めることができ、大幅な時間短縮が可能となります。
3.5 従業員のスキル向上
現状分析や施策立案をクライアントと共同で進める場合、このメリットはすごく大きいです。弊社の場合、弊社離脱後のメリットの大きさからクライアント側体制に次期幹部候補やそのポテンシャル層も入れるようお願いしております。この場合、クライアント側は、新たな視点でデータを集め、分析し、考える、というコンサルティングのやり方を身近で学ぶ機会を得ることができます。これは、担当者本人のスキルアップに繋がりますし、部門にとっても貴重な財産となるでしょう。
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4. コンサルティングファームを活用する際のポイント
4.1 体制に社員をしっかりと組み込むこと
取組プロジェクト次第にはなってしまいますが、クライアント側体制に適切なリソースを適切な工数集中できるようにするのが大事です。クライアント担当者の方々が兼務兼務で誰も集中して物事を考える時間も無いというのはあるあるです。それを代替するためのコンサルではありますが、取り組みテーマにおける課題やその原因、考えられるリスクといったのは、クライアント側の社内事情や人間関係や過去の背景等キリが無く、これらはコンサルが推測で全部考えていては時間もお金も無駄です。下記4.2でもありますが、「コンサルに頼んだので大丈夫」とはなりませんので、この点重要視してください。
4.2 主導権を握ること
コンサルティングファームのよくある失敗例として、成果物の内容が「理論上は分かるが、現実的ではない」もので、実行に移せずに終わった、というケースが挙げられます。これを未然に防ぐには、相手に丸投げをせずに、途中段階であっても適宜コンサルタントと議論をすることです。ここすごく重要で、確かな根拠は無く経験上になってしまいますが、これは細かに行った方が良いと思われます。そうすることで、随時軌道修正して自社の現実的なニーズに適う方向に持っていくことができます。また、自社で責任を持つためにも、最後の意思決定は自社でしましょう。
4.3 「お手並み拝見」のスタンスはとらないこと
コンサルティングファームの力量以上に大きな影響を及ぼすのが、自社担当者の熱意です。最後に泥臭い話ではありますが、「何としても成功させる」という強い意志に勝るものはありません。その熱意が相手のコンサルタントにも伝われば、より情熱を傾けてもらえることでしょう。そして、担当者だけではなく、社内全体でコンサルタントを受け入れる体制を整えることもポイントとなります。コンサルタントには敬意をもって接し、他の従業員とも定期的なコミュニケーションを図る環境を作りましょう。
4.4 コンサルファームとの付き合い方や担当コンサルの当たり外れ
このコンサルファームに任せておけば絶対大丈夫といったことが無いのと同時に、担当者のあたり外れが大きく成功に左右するのは事実です。正直外れ率は近年上がっているような気がしますが、パフォーマンスが論外であれば、一定の改善指示で良くならない場合スイッチの旨をディレクターやシニマネ等担当営業クラスに言ってしまって良いと思います。ここら辺は、今後予定している「コンサルファームとの付き合い方」でも記述していきたいと思います。
5. まとめ
コンサルの使い方の要点としては、解決したいテーマに関して、適切なコミュニケーションを取れる体制を社内整備し、コンサルの知見を有効活用すると同時に、高い生産性を活かしてアウトプットを早期に量産させ、それを注視させることにあります。
(ここでのアウトプットはパワーポイント等資料のケースもあれば、PMO等調整役で使っている場合でもその調整資料や進捗資料と言ったところが重要になります)。
上記の「早期」がポイントであり、社内整備した体制下で担当者は、コンサル自身のアウトプットに常に目を配ることが重要です。炎上プロジェクト等に呼ばれた際にクライアントからよく聞く話としては、「終わりかけなのに大したアウトプットが出てきていない」「コンサルをPMOとして入れたのに何をやっているか分からない」といったケースが散見されます。課題の解決に企業風土等が絡み解決に時間が掛かるケースもあり、この場合の解決速度をコンサルに問われても厳しい場面は往々にしてあります。ただ、それを浸透させるためのアウトプットに関してはさっさと作ってしかるべきなので、その点注視するのがクライアント側スタンスとして求められると考えます。
↓依頼しているもののうまく使いこなせていない場合もセカンドオピニオン的にお気軽にご相談ください(最近多いです)
“DX、PMO、IT企画・推進等ならコダワリへ“
次回以降「選び方」「関係構築のポイント」として、またお伝えしていきたいと思います。
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執筆者
- アクセンチュアにてファーストキャリアをはじめ、以来20年超コンサル畑で事業戦略からITコンサルまで幅広くこなす。大企業の経営課題に対して包括的に俯瞰し、全体的なロードマップと解決に向けた推進に強みを持つ。
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- アクセンチュアにてファーストキャリアをはじめ、以来20年超コンサル畑で事業戦略からITコンサルまで幅広くこなす。大企業の経営課題に対して包括的に俯瞰し、全体的なロードマップと解決に向けた推進に強みを持つ。