
「コンサル人材の見極め方」についてブティックファーム向けにウェビナーを実施してみた

コンサルについて言語化して伝える、理解してもらうってかなり難しい
先日、当メディア運営企業が展開するConsul Partnersにて、コンサル人材(フリーコンサルなど)向けに案件紹介を行っているブティックファーム数社を対象としたウェビナーを開催いたしました。本記事では、ゼロからウェビナーを企画した筆者が、開催してみて思ったことをお伝えしたいと思います。
今回のウェビナーは特定の方々を対象としたクローズドな開催となったため、詳細な内容の開示は控えますが、コンサルティングという仕事を正しく認識して魅力を感じていただき、「コンサルとは何か」を説明できる人が少しでも増えたらと思っております。
コンサル人材のエージェントに限らず、コンサル業界に興味はあるものの理解が浅いと感じている方、社内教育やコンサル活用において自社でコンサルについて説明する機会があるものの、上手く言語化できていないとお悩みの方は、是非ご一読ください。
ちなみに、ウェビナーの概要については以下の通りです。
『SESとの違いって何?コンサルプロジェクトから読み解く、コンサルタントの見極め方』
・対象者:ブティックファーム所属のコンサル業界未経験の若手営業マン(キャリアアドバイザー含む)
・参加者数:30名
・内容: ①業界状況、コンサルプロジェクト、コンサル人材の基礎解説
②コンサル案件例・コンサル人材レジュメ例を用いた読み解き方レクチャー
業界未経験かつ若手の方向けの内容でしたので、非常に基礎的な部分を解説しました。ただ、参加していただいた方に、受講後アンケートを取ったところ、かなり好評でしたので、今回の記事では、参加者の声も含めてお伝えしようかと思います。
目次
ウェビナーを実施した背景
まず今回ウェビナー開催に至った背景をお伝えすると、大きく二つあります。
1. これまで当メディアを通してコンサル業界に関する情報をお伝えしてきたが、日頃ご支援いただいている企業の皆様に「直接」お伝えする機会が限られていた
2.ナレッジやノウハウの共有により、コンサル営業*の質向上に貢献したいという想い
*案件紹介エージェントにてコンサル案件と人材をマッチングする営業と定義
一つ目に関しては、これまで当メディア記事や書籍を通じて、コンサルに関する情報をお伝えしてきましたが、コンテンツとして文字での発信が難しい内容や現場の温度感などを伝えるには限界がありました。また、これまで皆様に「直接的、かつ詳細に」お伝えする機会は非常に限られていましたので、1対多数のウェビナーという形式で情報発信・共有することが適していると考えました。
二つ目に関しては、近年コンサル業界はブティックファームの増加、フリーランスの増加が目立ち、特にコンサル人材に案件紹介をするようなサービスは、競争が激しくなってきている状況です。そもそも差別化が難しいサービス形態の中、今後単純に案件を紹介してマッチングするだけのエージェント業はどんどん淘汰されていくだろう、と考えております。
そんな状況なので、弊社で長年運営してきたサービス実績や蓄積されたノウハウを共有することで、少しでも皆様のコンサル営業の質向上に貢献できたらという思いでウェビナーを開催しました。
このテーマを選んだ理由
「SESとの違いって何?コンサルプロジェクトから読み解く、コンサルタントの見極め方」というテーマにした理由をお伝えすると、大きく分けて以下の2点になります。
1.SES(System Engineering Service)とコンサル営業は、ビジネス構造や営業スタイルが似ているため混同されがちだが、求められる役割は大きく異なる。「コンサルプロジェクトって何?」「コンサルタントって何?」という基本的な知識がなければ、両者の違いを正しく理解することは難しい
2.当たり前ではあるが、クライアントの課題感及び目的、プロジェクトの全体像やコンサルタントの役割を正しく理解し、コンサルタントがどのような支援を提供できるのかを把握することで、優秀なコンサルタントを見極めることが可能になる
1に関して補足すると、SEなどのIT人材を顧客企業に派遣するSESと、フリーコンサルタント向けの案件紹介サービスは、ビジネス構造や営業スタイルが似ているため、一般的にSEとコンサルの人材を区別せずに営業や提案を進めてしまうケースは多いです。
当然ですが、両者が担う領域や役割は全く異なりますし、求められる能力も異なります。例えば、SESでは、プログラミング言語などの経験やスキルといった「資格」に近い要素が求められるため、比較的定量的な評価が可能です。一方、コンサルタントに求められる能力は、問題解決力やコミュニケーション力など非常に抽象的で把握しづらい要素が多くなります。
どちらも案件と人材をマッチングするサービスですが、コンサルプロジェクトの場合は、求められるアウトプットや役割、さらにはコンサルタント自身を理解しておくことが不可欠であり、理解不足によるミスマッチは結構起こりがちです。
2に関しては、そもそもコンサルティングテーマは支援するエンド企業の業界及び事業領域や課題によって異なります。さらに、事業戦略や機能戦略といった上流部分から、業務やITなどの実行段階に至るまで、縦にも横にも広く扱います。コンサルタントはこれらの多様なテーマに対して、課題の特定や解決といった抽象的な役割を求められます。
したがって、エージェント自身に「企業活動とは何か?」「コンサルタントが支援する内容とは?」といった基本的な知識がなければ、コンサルタントが「あれもできます、これもできます」と様々な経験やスキルを披露したとしても、それらを適切に評価することはできません。
これらの理由から、コンサルプロジェクトやコンサルタントの本質に焦点を当てて、SESとの違いを明確に紐解いていくことにしました。
参加者の声
冒頭お伝えした通り、業界未経験の若手営業の方向けでしたので、今回は正直基礎的な内容過ぎたかな?と思っていましたが、実際に受講された方にとっては、コンサルについての理解が深まったようでホッとしました。例えばこんな声があったので、いくつかご紹介します。
■参加者の声を一部ご紹介
・これまでぼんやり理解していた事が明確に言語化されていて分かりやすかった。例えばPMOに関しては上級・中級のような区分けでしか考えていなかったので、コンサルといったポジションで人材を理解する上では、とても重要な視点でした。
・案件を読み解き、真に求めている人材像を把握することに苦手意識を感じていたため大変勉強になりました。
・コンサル案件とコンサル人材への解像度が少し上がり、勉強の手立てを掴むことができました。
・案件の詳細を見て何をヒアリングすればいいかの問題が実際に業務に生かせそうでとても勉強になりました。
ウェビナーを企画~開催してみて思ったこと
「コンサルって何?をちゃんと言語化できる人ってそんな多くない?」
今回ウェビナーを企画し、開催後のアンケート結果も確認して思ったことですが、コンサルって求められることがあまりにも、「幅広過ぎ&深堀したらどこまでも深くなっちゃう」、「抽象度高すぎて、難し過ぎる!」ので、自分自身が理解することもそうですが、それを第三者に分かりやすく言語化し、「伝える」、「教える」、そして「理解してもらう」ことができる人は、果たしてコンサル業界の中でもどこまでいるのかは気になりました。
例えば、大手ファームのコンサルタントでも、自身が所属する部署や会社の特徴によっては、業界や支援フェーズが限定的で、参画するプロジェクトによっても偏りが生じると思うので、コンサルタント自身もコンサルを全体像として捉えるのは難しいかもしれないなと感じております。
ましてや、コンサル業界未経験でファームに入ったばかりの人や、案件紹介エージェントの営業マン、キャリアアドバイザーの方はもっと分からないかもしれないなと思いました。(参加者の声を聞いても、なかなかこういう情報を体系的にインプットする機会が多くはないので、結局あんまり分からないまま進んできてしまった、という方も。)
必ずしも全てを理解するべき、ということではないですが、他業界からはコンサルって支援フィーも高額な上、結局何をしているのかよく分からないという見られ方も一部ありますので、そもそもコンサルが一体何なのか、何故高額なのかなど、正しく理解し、伝えられる人が増えていくことは、コンサル業界が活性化していくためにも、非常に大事な要素かなと考えております。
最後に
前章にて、コンサルについて言語化する難しさについて触れましたが、その点弊社では、そもそも小規模ながら、総合系のコンサルファームとして16年強コンサルティング事業を主事業として行っており、フリーランス支援(累計4000名弱の支援実績)のサービスも長らく運営しております。また、当メディア「コンサルのあんなこと、こんなこと」を運営するほか、「図解即戦力コンサル業界のしくみがわかる教科書」という業界全体を理解するための書籍を出版するなど、これまでかなりコンサルティング及びコンサル業界のことを「言語化」してきた経緯があります。
そのため、コンサル業界を俯瞰した情報のみならず、プロジェクトやコンサルタント、案件紹介サービスなどの具体的なナレッジも豊富に蓄積しております。
今回ウェビナーを作り上げる段階でも、わざわざゼロから調べていったというよりも、弊社に溜まっているナレッジを「まとめた」ものであって、そこまで大変ではなかったなという印象です。
今後も同様の形式かは分からないですが、できる限り「直接」皆様に情報をお伝えする機会を増やせていけたらと思いますし、当メディアのそもそもの目的「コンサル業界の活性化」に寄与すべく、コンサルのことを正しく認識し、説明し、魅力付けできるような方がもっともっと増えたらいいなと筆者は考えております。
もし本メディアをご覧いただいている方の中にも、同様のお悩み(コンサル自体を体系的に理解すること、それを例えば新人教育として第三者に伝えることが難しいなど)を抱えている、企業様やご担当者様がいれば、是非こちらからお気軽にお問い合わせくださいませ。

また弊社ではコンサルファームの選び方や使い方に関するセカンドオピニオンサービスも提供しております。もしコンサルを活用する側の方でこれらお悩みや相談があればこちらも併せてご活用くださいませ。
▶▶▶セカンドオピニオンサービス「Consulon」へのお問い合わせはこちら
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執筆者

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コダワリ・ビジネス・コンサルティング株式会社 コンサルティングカンパニー 営業・マーケティング
新卒からアプリやWEBの受託開発を行うSIerに入社し、営業活動に約4年間従事。主に金融系クライアントに対して提案活動を行いつつ、マネジメントも経験。その後、コダワリに入社し、営業活動の傍ら、営業企画やマーケティング企画業務も兼任している。
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