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ITコンサル支援でよくご相談いただくテーマ10選 | 結局コンサルって何やってくれるのか?シリーズ

「ITコンサルって何してるの?」「システム構築とは違う?」そんな疑問を解決!
ひとえにITコンサルティングといっても、会社規模を問わず様々なご相談をいただきます。大企業では既存システムやこれまでの長年のやり方といった点も含め、単純に考えられない状況下でのご相談が多いです。中小企業からのご相談ですと、大企業とはまた毛色が異なっており、IT・DX化が推進できていないといったご相談を頂戴します。本記事では、これまで多くのクライアント様から弊社に寄せられたITコンサルティングについての相談事例をもとに、よくご相談いただくテーマとその背景についてひも解いていきます。
自社のITについて課題感を抱えている経営者の方やCTO・CIOの方、IT部門担当者の方にとって、ITコンサルやIT関連の課題と背景の理解促進に役立つ記事となっています。ぜひご一読ください。
目次
ご相談いただくコンサルテーマ
【ITコンサル支援でよくご相談いただくテーマ10選】
企業がITコンサルティングに対して支援を求めるテーマは多岐にわたり、以下のような内容のご相談を受けるケースが多くあります。
1. IT戦略・IT中期計画の策定支援
・経営戦略・事業戦略と整合したIT方針や投資計画の策定
・DX推進のためのロードマップ、PoC、実行組織の整備
・情報子会社や外部ベンダーとの役割・ガバナンスの再設計
2. 基幹システム(ERP等)刷新・クラウド移行構想支援
・レガシーシステムの刷新・モダナイゼーション
・クラウド(IaaS/PaaS/SaaS)への移行戦略および実行支援
・To-Be業務設計、Fit & Gap分析、ベンダー選定支援
3. 業務プロセス改革(BPR)とシステム構想の連動支援
・現行業務の可視化と課題抽出、業務標準化
・RPA、AI、ノーコード等の導入支援
・属人業務や紙文化の脱却、As-Is/To-Beの設計
4. DX戦略・デジタル活用推進支援
・新規デジタルビジネスの創出、顧客体験変革(CX)
・データ利活用による意思決定強化
・組織・文化面の変革支援(DX組織の立ち上げ・運営)
5. IT運用最適化・システム管理の高度化
・ITILに基づく運用体制の見直し・整備
・RPAやツール活用による運用自動化
・障害対応/インシデント管理強化
6. ITガバナンス・セキュリティ・情報リスク管理
・情報セキュリティポリシーの整備と社内浸透
・CSIRTの立ち上げ、ISMS/ISO27001取得支援
・ゼロトラストアーキテクチャ導入支援
7. ITコスト管理とROI可視化支援
・全社のIT費用構造の見える化と予算最適化
・SaaS/クラウド導入による費用対効果分析
・コスト削減余地の抽出と戦略的な再配分
8. IT組織設計・人材育成支援
・IT部門体制の再構築(内製と外注のバランス、CIO/CTO機能)
・ITスキル定義・育成計画の設計と実行支援
・DX/クラウド/データ分析人材の育成
9. システム子会社の位置づけ再設計・統合支援
・戦略的機能を担えるIT子会社へのリポジショニング
・グループ全体のIT執行体制の再編
・人材評価・機能再定義・親子間契約の見直し
10. 導入トラブル・失敗プロジェクトのレビュー/再構築
・システム導入失敗時の原因分析と再計画立案
・外部提案内容の妥当性評価
・プロジェクト立て直しの第三者支援
実際のご相談は上記テーマが単独で発生するというよりも、複数領域が複雑に絡み合った相談となるケースが大半です。たとえば、「IT中期計画+ガバナンス再設計」「業務改革+システム刷新+ベンダー選定」「DX推進+人材育成+クラウド移行」など、全社的な変革文脈において、複数のテーマが同時に求められています。
ご相談の背景
これらのテーマをコンサルに依頼される背景には、どのような理由があるのでしょうか。それは、企業が①専門性②中立性③構造化力④推進力といった要素を求めているためだと考えられます。
① 専門性:社内にない知見・スキルの提供、先端技術の運用支援
・技術の複雑化と進化スピードへの対応の難しさ
DX、クラウド、AI、セキュリティなどの分野での最新技術や知見を、自社で習得・維持できないため、最新の知識や成功事例などを教えてほしい。
・複数領域にまたがる専門性の欠如
IT戦略、業務改革、システム構想・導入など、複合領域を横断的に理解する高度なスキルが社内に不足しているため取り入れたい。
・現場では見えづらい課題の発見と解決
内部の人間では気づきにくい「隠れた論点」や「将来的なリスク」について、第三者の視点から診断してほしい。
② 中立性:利害関係のない第三者視点による判断・調整支援
・部門間・立場間での利害対立の調整
情シス vs 業務部門、経営 vs 担当部門など、意見が交錯する中で中立的な立場から意思決定を支援してほしい。
・ベンダーや既存業務への過度な依存からの脱却
長年の付き合いや慣習に縛られた社内判断を是正し、ベンダー任せにならない妥当性のある選定・設計がしたい。
・経営層への説明責任・エビデンス提供
提案や施策の妥当性を客観的なロジックやデータで裏付け、社内コンセンサス形成を円滑に進めたい。
③ 構造化力:抽象的な課題・要望の論理的な整理・可視化
・“何から始めてよいか分からない”を言語化・論理化
「変革したいが具体案がない」「DXといっても範囲が広い」などの漠然とした状態を、段階的に整理・設計してほしい。
・戦略と施策の整合性欠如を是正
事業戦略とIT施策のズレ、現場と経営の認識ギャップをつなぎ、To-Be像と実行計画を設計してほしい。
・プロジェクト全体の枠組み・流れを設計
構想フェーズからPoC、要件定義、移行、運用まで、全体像とステップを見える化してほしい。
④ 推進力:社内にない実行フェーズへの移行・変革ドライブ力
・部門横断・大規模プロジェクトの推進役
社内に不在のPMO・ファシリテーター役を担い、利害を調整しながら計画を前に進めてほしい。
・これまでの慣習を突破する外圧的役割
属人化された業務やレガシーシステムの影響による変化を受け入れづらい環境や、保守的な組織文化・意思決定プロセスによる部門横断的な施策の進みにくさを打破してほしい
・人的リソースやスキル不足の補完
一時的に不足する専門人材や実行部隊を外部から補い、計画を止めずにプロジェクトを推進させたい。
まとめ
上記でご紹介した支援テーマやその背景は、現代企業が直面しているIT課題の縮図です。自社の経営・事業戦略とIT戦略を整合させながら、先進技術の導入やセキュリティ対策、組織改革などを進めていくことが求められる企業において、高い専門性を持ち、利害関係のない第三者視点による判断・調整・推進支援が可能なITコンサルティングの需要は今後も高まるでしょう。
こうした中で、ITコンサルティングをしていて頻繁に思うことは、テーマにもよりますが、システム導入をゴールとして考えてしまうと、使われない・効果の薄いシステムと成り果ててしまうことです。経営上・業務上、どういった利点があるかを考え続けることが重要となってきます。
弊社では、本記事でご紹介したようなテーマについて個々のお客様に合わせたご提案とサポートを得意としています。
「自社がどのケースに当てはまるかわからない」「具体的にどうしたらいいかわからない」といった段階でも構いません。IT領域の課題整理から実行支援まで、貴社の状況に応じたご提案をいたしますので、こちらからぜひお気軽にお問い合わせください。

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執筆者

- コダワリ・ビジネス・コンサルティング株式会社 代表取締役社長
- アクセンチュアにてファーストキャリアをはじめ、以来20年超コンサル畑で事業戦略からITコンサルまで幅広くこなす。大企業の経営課題に対して包括的に俯瞰し、全体的なロードマップと解決に向けた推進に強みを持つ。
執筆者

- コダワリ・ビジネス・コンサルティング株式会社 代表取締役社長
- アクセンチュアにてファーストキャリアをはじめ、以来20年超コンサル畑で事業戦略からITコンサルまで幅広くこなす。大企業の経営課題に対して包括的に俯瞰し、全体的なロードマップと解決に向けた推進に強みを持つ。