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リモートでもテスト支援はできるのか?そのポイントを考察する|コンサル案件事例シリーズ

リモートでもテスト支援はできるのか?そのポイントを考察する|コンサル案件事例シリーズ

システム開発案件におけるテスト計画・実行支援(UAT、受入テスト、ユーザーテスト)

はじめに

みなさん、お疲れ様です。フリーでコンサルタントをやって10年を超えてきた羽生と申します。数ヶ月経つリモートワークにも慣れてきたでしょうか?当方もテスト支援の役割でプロジェクトにリモートでアサインしていましたが、もはや通勤時間や朝の準備時間が無駄すぎて、元に戻りたくないと強く思っています。 さっさと仕事してパフォーマンスを出し、自分の時間も大事にできる今の環境を大事にしたいところです。
一方、某経済系新聞の小枠に某社長がリモートではアイデア出しや微妙な交渉がしづらいため、アフターコロナになったらすぐに元に戻したいと語られていました。どちらがこれからの時代の主流になるのか楽しみです。私個人としては、アイデア出しや微妙な交渉をリモートでどうやったら出来るのか?というマインドが大事だと思いたいです。

さて、今回はリモートでテスト支援をやってみて思ったことを述べていきたいと思います。気軽に書くので気軽な気持ちでお読み頂けると幸甚です。

案件基本情報

クライアント: 某大手マーケティング会社
プロジェクト概要: 基幹システム構築
規模: 数100人月規模
支援ロール: UATテスト計画・要領書作成、UAT実施支援(PMO)
難度: 一部要件定義工程の成果物が無く、さらに前工程がおしてUAT期間が短い、(システム慣れない方々の)リモート検証

雲行きが怪しくなってきた

年明けごろでしょうか。コロナの話題が武漢で流行り始めたのは。そんな筆者は国内旅行を満喫しつつ、テスト支援案件の準備をしていました。あの頃が懐かしいです。テスト支援といってもUATがメインなので、まずは要領書(計画書よりオペよりなもの)を作り、シナリオ案を検討し、具体的なテストシナリオを作って、テスト環境にデータ登録しておく。管理系は課題一覧と進捗報告の雛形を準備して、いざUAT実施となればどうせ計画通りコトは進まないだろうから柔軟に対応していこう、という算段でいました。大きな流れとしてはこの通り進んだのですが、完全リモートになるというリスク管理は検討対象外でした。

3月に入り、クライアントから「完全リモートとなります!」と宣言され、UATチームとしては不安を抱きました。現場ユーザもリモートで検証することになるため、進捗管理や指摘事項の整理の進め方にイメージが湧かなかったからです。PMに相談しても「なんとかしてください」としか返答がなかったので、ぶつぶつ言いながらも「なんとかするしかないよね」がお客様含めUATチームの大方針となりました。なんだかんだ前向きなのがよかったところです。

まぁ、とりあえず準備しよう!

テスト要領書とテストシナリオ。成功要因を考え、特にテスト要領書はこれまでのプロジェクトよりも重視しました。プロジェクト向けというよりは、リモートによる検証のためという位置付けのドキュメントを意識し、UAT参画者向けにオペレーションについて、具体的かつ端的にわかりやすく記述することを心掛けました。
「VPN接続は事前に準備してください」とか、「検証で使うデータはこれです」とか、「ログインアカウントはこれを使ってください」とか、「△△部署の○○さんがテストシナリオで予定されている検証は〇月〇日のこの時間帯です」といった細かいところまで気を配ります。ここまでしないとオンライン会議のアレンジもできませんし、いざ当日になって「準備できていませんでした」と言われた瞬間に遅延になるためです。

また、管理ルールもわかりやすく決めるようにしました。ベンダへ課題を伝えていい人間は唯一この人だけだとか、検証者の指摘事項はすべてエクセルで管理するが必ずしもベンダへエスカレーションされるわけではない、といった管理上の権限も定めるようにしました。

さらにUAT前にリーダと筆者で画面を検証できる機会があったので、そこで品質向上を実施。業務フローと異なる部分が多々あったのですが、UAT開始前に潰す、もしくは、UAT開始前に「ここがまだイケてない」宣言を現場ユーザに行いました。

いざ、UAT!

意外とできるもんです!Zoomで関係者がバトンタッチでそれぞれ画面を映しながら操作検証を行いましたが、混乱はまったく起きませんでした。オペレーションの時間はかかりましたが。なによりクライアント側の皆さんが非常に協力的でしたし、非協力的な方は逆にまったく手をつけないので、こちらとしては動きやすかったです。その穴埋めは、支援チームで手を動かしてしまえばいいわけです。実は、遅延も起きなかったです。事前に品質向上活動も行っていたおかげで、プンプン怒る現場ユーザも現れず平穏に終わりました。もちろんいくつか変更管理が出てきましたが、大きなコンフリクトもなくリリースを迎えられました。

振り返り

上記の通り、UAT実施期間は穏やかな日々でしたが、準備期間はかなり大変でした。月なみですが準備にきちんと工数をかけないと失敗していたと思います。特にUAT支援といっても管理業務だけに閉じないことが大事で、きちんと業務フローや設計書を読みふけり、新システムの有識者になっておかないとオンライン会議で現場ユーザを誘導することはできないです。
これまで以上に当たり前のことを当たり前にやり、+αで就業環境が変化したことによる影響と対策は何かを想定して動く必要があります。
これができなかったコンサルメンバはプロジェクトから外されたことを最後に申し上げておきます(爆)。

[v109]

執筆者

フリーのコンサルタント 羽生
大手コンサルファームに複数所属後、フリーのコンサルとして独立。独立後10年以上の経験があり、無駄なコンサルをしないことにこだわっており、的を射た支援に好評がある。好きな言葉は、「守文則難」。
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