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どこのファームの株が買い? | 上場コンサルファームの時価総額ランキング(2025年時点)

どこのファームの株が買い? | 上場コンサルファームの時価総額ランキング(2025年時点)

景気連動性のあるコンサル業界、日本経済全体の伸びよりも好調

これまで当サイトでは、コンサルティング業界の市場規模や将来予測、上場ファームの売上情報などを発信して参りました。今回は、日本国内で上場しているコンサルティングファームの時価総額(2025年3月末時点及び過去の推移)について情報を取りまとめ考察をしていきます。勢いがある業界といわれているコンサル業界ですが、実際にそういえる状態になっているのでしょうか?

上場ファームの過去8年の時価総額変遷

本記事では、コンサルティング業界カオスマップ掲載企業のうち上場しているファームを対象として、2025年3月31日特定時点での「株価×発行済株式数」を求め、各ファームの時価総額をランキング形式でまとめました。国内で上場している企業は、カオスマップに掲載したファームの中で約1/4にあたる18社となっています。

ここからは国内で上場しているファームの時価総額、及び過去8年間(2017年度~2024年度)の時価総額変遷についてご紹介していきます。

まず、2025年3月末時点での時価総額ランキングは以下のようになります。野村総合研究所(NRI)をはじめ上位にはSIを行う企業がランクインしてきております。そして注目は、コンサルティング事業のみとなるベイカレントが2位と健闘している点です。

2025年3月31日時点時価総額一覧

表1 2025年3月31日時点の上場ファームの時価総額

順位企業名株価(終値)発行数(株)時価総額
1位 野村総合研究所 4,836 580,796,911  2兆8108億円 
2位 ベイカレント・コンサルティング 6,470 155,411,410 1兆55億円 
3位 TIS 4,134 236,233,411 9765億円 
4位電通総研 6,080 65,182,480 3963億円 
5位フューチャー 1,735 95,328,000 1653億円 
6位シンプレクス・ホールディングス2,790 58,642,475 1636億円 
7位船井総研ホールディングス 2,319 46,360,157 1159億円 
8位シグマクシス・ホールディングス 937 89,000,000 833億円 
9位三菱総合研究所 4,695 16,424,080 753億円 
10位山田コンサルティンググループ 1,742 19,896,000 346億円 
11位ビジネスブレイン太田昭和 2,574 12,725,000 327億円 
12位ドリームインキュベータ 2,740 9,534,316 261億円 
13位タナベコンサルティンググループ622 34,000,000 211億円 
14位INTLOOP 4,460 4,679,480 208億円 
15位コアコンセプト・テクノロジー 1,089 17,487,600 190億円 
16位YCPホールディングス(グローバル)リミテッド 644 22,294,192 143億 
17位エル・ティー・エス 2,083 4,585,47 97億円 
18位フロンティア・マネジメント 692 11,767,803 81億円 

*2025年3月末時点で時価総額が高い順番で掲載
*“IR BANK”や“Yahoo!ファイナンス”で公開されている数値を参照

参考までに各ファームの直近決算売上額は以下のようになります。企業によって決算時期が異なるため、直近の通期決算売上を取り上げております。売上額と時価総額が一概に相関しているわけではないことがお分かりいただけるかと思いますが、なかでもベイカレントとシグマクシスが売上額のわりに時価総額での評価が高いことが目立ちます。2社共に他社のようにSI中心ではなく、コンサルティング事業を主としている点が共通であり、その点が評価されていると考えられます。
2025年3月期決算のファームの決算情報が出てきたらアップデートしたいと考えております。

2024年度通期決算売上一覧

表2 2024年度の上場ファームの売上額

順位企業名売上額
1位野村総合研究所7,365億円2024年3月期
2位TIS5,490億円2024年3月期
3位電通総研1,526億円2024年12月期
4位三菱総合研究所1,153億円2024年9月期
5位ベイカレント・コンサルティング939億円2024年2月期
6位フューチャー698億円2024年12月期
7位シンプレクス・ホールディングス407億円2024年3月期
8位ビジネスブレイン太田昭和342億円2024年3月期
9位船井総研ホールディングス306億円2024年12月期
10位INTLOOP270億円2024年7月期
11位シグマクシス・ホールディングス224億円 2024年3月期 
12位山田コンサルティンググループ221億円2024年3月期
13位コアコンセプト・テクノロジー191億円2024年12月期
14位LTS165億円2024年12月期
15位YCP136億円2024年12月期
16位タナベコンサルティンググループ127億円2024年3月期
17位フロンティア・マネジメント92億円2024年3月期
18位ドリームインキュベータ53億円2024年3月期

また、過去8年間の時価総額と売上総額の合計推移は以下の通りとなり、売上額の増加率よりも時価総額の増加率の方が高いことがわかります。

過去8年の時価総額、売上額の合計推移

*時価総額と売上の合計額から2018年以降に上場したフロンティア・マネジメント、シンプレクス、YCP、Intloop、コアコンセプト・テクノロジーは除外

コンサル業界と日本の経済の関連性について

過去の時価総額の推移を踏まえて、日本経済の中でコンサル業界がどのような立ち位置なのかを知るために、日経平均株価や日経時価総額(日経平均構成銘柄の時価総額)のデータと比較して見てみることとします。

日経平均株価と日経時価総額の推移

*参照サイト:https://indexes.nikkei.co.jp/nkave/archives/data?list=tmc

こちらは、株価と時価総額がほぼ連動しているごく自然な当たり前ともいえるグラフになっています。

先ほどの「過去8年の時価総額、売上額の合計推移」のグラフと比較すると、2021年以降の日経平均株価や日経時価総額よりもコンサル業界時価総額合計の方が堅調な伸び率を示しています。

これは、コンサル業界が景気連動の高い業界であることの表れに加え、そもそもコンサルへのニーズが年々高まってきていたことが要因と考えられます。詳細はこちらの記事で述べております。

コンサル業界における上場と時価総額について

ただし、そもそもコンサル業界においては上場している企業が多くはありません。世界的に有名なMBB(マッキンゼー・アンド・カンパニー、ボストン・コンサルティング・グループ、ベイン・アンド・カンパニー)は上場しておりませんし、BIG4(デロイト、PwC、EY、KPMG)も独立性の観点から上場していません。

コンサルファームが上場するメリット・デメリットについて簡単にご紹介します。

■デメリット1:情報開示が必要となり、秘匿性が担保されない
■デメリット2:業務統制の厳しさ
■デメリット3:敵対的買収対策

■メリット1:資金調達のしやすさ(コンサルティング事業以外も行うファームにとっては大きなメリット)
■メリット2:知名度・社会的信用度の向上により、新規の顧客獲得や優秀な人材の採用を行いやすい。

(詳細はこちらの記事をご確認ください。)

しかし、「時価総額」は企業あるいは市場全体の価値や規模を評価するための重要な指標となります。今回算出した数値を投資目的のほかコンサル業界への転職・就職時の参考としてお役立ていただければ幸いです。

まとめ

本稿では、上場しているコンサルファームの時価総額や売上額をご紹介いたしました。これらのデータからもこれまでのコンサルティング業界の拡大と好調さは見て取ることができます。変わらずIT案件及びDX案件に引き続き大きなニーズがあり、それらが要因になっています。

また、ここ数年はサステナビリティテーマの盛り上がりもコンサル業界の成長に寄与しています。SDGsが世間に浸透していくのにあわせ、大手企業を中心にESG投資(環境、社会、統治の3つの観点で企業の持続可能性を評価する投資法)などへの対応を注力するようになってきています。コンサルティングファームがもつESGやSDGsへの取り組み知見に対するニーズが今後も伸びていくと考えられます。

しかし、日本経済全体の成長が鈍化する懸念はあり、コンサル業界も今までのような拡大はさすがに厳しいと考えられます。徐々に数字に表れてくると思いますので、売上や時価総額、従業員数などの情報は継続発信していきたいと考えております。

次回はコンサルファームのグローバル時価総額をお届けしたいと思います。楽しみにお待ちください!

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執筆者

山中 悠太郎
山中 悠太郎コダワリ・ビジネス・コンサルティング株式会社 コンサルキャリアカンパニー
外資自動車メーカー2社を経験した後、コダワリにジョイン。
コンサルティングワークもこなす傍ら、人材紹介事業の事業責任者やコダワリの人材開発業務や採用統括業務など含めて幅広に従事。
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山中 悠太郎
山中 悠太郎コダワリ・ビジネス・コンサルティング株式会社 コンサルキャリアカンパニー
外資自動車メーカー2社を経験した後、コダワリにジョイン。
コンサルティングワークもこなす傍ら、人材紹介事業の事業責任者やコダワリの人材開発業務や採用統括業務など含めて幅広に従事。

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