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デロイト トーマツ コンサルティング(DTC)の歴史|コンサルティングファームの歴史
トーマツは等松さん由来で、デロイト トーマツ コンサルティングとアビームコンサルティングの元は同じ会社と様々な歴史
コンサルティング業界の中でもBig4の存在感は大きなものですが、今回はその中の1つであるDeloitte(デロイト)の歴史についてまとめております。デロイトは、他のBig4と同様に提携や合併を繰り返しましたが、日本ではアビームコンサルティング(ABeam)と枝分かれした歴史を持ちます。また、日本だけでなくグローバルでも社名の一部として使われている「トーマツ」は日本人の名前に由来しているという逸話も。本記事では、DTCの歴史を詳しく解説しました。
Deloitte及びデロイト トーマツ コンサルティングの歴史年表
(■グローバル ●日本/◇現デロイト トーマツ コンサルティング △現アビームコンサルティング)
1845年 | ■William Welch Deloitteがロンドンに事務所を設立 |
1896年 | ■Charles Waldo HaskinsとElijah Watt SellsがHaskins & Sellsを設立 |
1898年 | ■George Toucheがロンドンに事務所を設立 |
1900年 | ■■George Toucheの事務所にJohn Ballantine Nivenが参画し、ニューヨークにTouche Nivenを設立 |
1947年 | ■Touche NivenとA. R. Smartが合併し、Touche, Niven, Bailey & Smartが誕生 |
1960年 | ■Touche, Niven, Bailey & Smartがカナダの事務所であるRossを合併し、Touche, Ross, Bailey & Smartが誕生 |
1968年 | ●等松・青木監査法人が設立 |
1969年 | ■Touche, Ross, Bailey & SmartがTouche Rossに社名変更 |
1972年 | ■■William Welch Deloitte とHaskins & Sellsが合併し、Deloitte Haskins & Sellsが誕生 |
1975年 | ■●等松・青木監査法人がTouche Rossと提携をする |
1981年 | ●等松・トウシュロスコンサルティング設立 |
1989年 | ■Deloitte Haskins & SellsとTouche Rossが合併しDeloitte & Toucheが誕生 |
1990年 | ■グローバルのファーム名がDeloitte, Ross and Tohmatsuとなる |
1993年 | ■グローバルのファーム名をDeloitte Touche Tohmatsuに変更 ●◇経営コンサルティング部門が独立し、トーマツコンサルティングを設立 |
1997年 | ●△IT部門がデロイト傘下に入り、旧デロイトトーマツコンサルティング(旧DTC)に社名変更 |
2003年1月 | ●△エンロン事件*の反省から、全世界でコンサルティングと監査部門の独立がすすむ。旧DTCは監査法人トーマツとの資本関係を解消し、ブラクストンに社名変更 |
2003年4月 | ●△プラクストンはDeloitte Touche Tohmatsu(デロイトトウシュトーマツ)から脱退し、同時に脱退した台湾オフィスと合同でアジア発のコンサルティングファームを形成する |
2003年11月 | ●△台湾オフィスと合同で設立したファームの社名をアビームコンサルティングに変更 |
2004年 | ●△アビームコンサルティングがNECと戦略的資本提携を行う |
2008年 | ●◇トーマツコンサルティングがデロイト トーマツ コンサルティング(DTC)へ社名を変更 |
2015年 | ●◇株式会社から合同会社へと事業体制を転換し、現在のデロイト トーマツ コンサルティング合同会社となる ●△アビームコンサルティングがNECの完全子会社となる |
*エンロン事件:2001年に発覚した、米大手エネルギー企業エンロン社の巨額不正会計事件。中立であるべきはずの監査法人アーサー・アンダーセン等が不正に関与していたことから、BIG4などのファームの監査部門と会計部門は独立して業務を行うようになった。
Deloitte及びデロイト トーマツ コンサルティングの歴史図説
Deloitteとは?
Deloitte(デロイト)は、世界中のファームが連携し監査・コンサルティングなどのサービスを提供するブランドの名称で、グローバルを束ねるファームの正式名称は「Deloitte Touche Tohmatsu(デロイト トーシュ トーマツ)」、日本でデロイトのコンサルティングサービスを担う企業の正式名称は「デロイト トーマツ コンサルティング」です。
デロイトは複数の会計事務所が合併などを繰り返してきた歴史を持ちますが、最も古い前身としての起源は約178年前にウィリアム・W・デロイトがロンドンで設立した事務所となります。続いて1898年設立のジョージ・トウシュ、1986年設立の等松・青木監査法人が現在のグローバルでのファーム名であるデロイト トウシュ トーマツの名前の由来となります。
デロイト トウシュ トーマツやデロイト トーマツ コンサルティングのトーマツって?
デロイト トウシュ トーマツやデロイト トーマツ コンサルティングの「トーマツ」は、等松・青木監査法人を設立した等松 農夫蔵(とうまつ のぶぞう)さんの名前から来ています。
等松さんは元日本軍人で、戦後に公認会計士に転身しました。同氏は戦後の日本経済の発展には経理・監査業務が不可欠であると感じ、1968年に等松・青木・津田・塚田・青木・宇野・月下部会計事務所を設立(1969年に等松・青木監査法人に名称変更)します。
監査は日本のみならず国際的に連携すべきという考えが強く、トウシュ・ロス会計事務所と国際的な協力関係を作りました。その後、デロイト・ハスキンズ・アンド・セルズとトウシュ・ロスが合併したことをきっかけに、グローバルでのファーム名に「トーマツ」が入る様になっています。
日本でのデロイトにおけるコンサルの歴史 ~経営コンサルティング部門がデロイトに、IT部門がアビームに~
デロイト トーマツ コンサルティングの起源は、1981年に設立された等松・トウシュロスコンサルティングです。
1993年に経営コンサル部門が、1997年にIT部門が分離しました。経営コンサル部門は「トーマツ コンサルティング」と社名を変更し、2008年には「デロイト トーマツ コンサルティング」に社名変更しています。これが現在のデロイト トーマツ コンサルティング合同会社です。
IT部門はDeloitte Touche Tohmatsu傘下に入り「デロイト トーマツ コンサルティング」と社名を変更しました。その後デロイトグループから脱退し、2003年に「アビーム コンサルティング」に社名を変更しています。これが現在のアビームコンサルティング株式会社です。
デロイト トーマツコンサルティングが求める人材
デロイト トーマツコンサルティングでは求める人物像として、下記の4つの項目を提示しています。
・「日本企業を強くしたい」という熱い想い
・グローバルなマインドセット
・特定領域の深い専門性を持つ
・明確な長期的自己実現ビジョン
複雑なイシューに対し、幅広い領域のサービスを提供する同社では、ストラテジーやM&A、マーケティングやテクノロジーなどの深い専門性が求められるだけでなく、様々な領域の専門家とコラボレーションしながらプロジェクトを進めるマインドセットが必要です。個の成長の追及とチームワークの発揮という両方の資質が求められます。
参照:デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 新卒採用/キャリア採用
まとめ
グローバルでも日本国内でも複雑な歴史を持つ点は、PwC・EY・KPMGと変わりないですが、大きな合併や分離などは1990年代までとなっている点が競合3社との違いと言えます。デロイト トーマツ コンサルティングの前身である等松・トウシュロスコンサルティングの設立は1981年ですので、国内におけるコンサルティングの歴史を40年以上も有していることになります。
一概にBig4といっても各社の沿革を紐解くと、歴史の深さの違いや意外な前身を持つことがわかると思います。沿革が社風や制度にも表れているケースも多いものです。
このシリーズでは、Big4の歴史について解説しています。コンサル業界への転職を考えている方は、同シリーズの他の記事も参考にしてみてください。
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執筆者
-
外資自動車メーカー2社を経験した後、コダワリにジョイン。
コンサルティングワークもこなす傍ら、人材紹介事業の事業責任者やコダワリの人材開発業務や採用統括業務など含めて幅広に従事。
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