コンサルの残業時間が減っている件|コンサルのホンネ
残業時間を減らした企業ランキングでコンサルが上位を席巻
現役コンサルが徒然なるままに綴るコラム「コンサルのホンネ」では、ハードワークの合間に思いついたことを思いつくままに語ります。第十回のテーマは「コンサルの残業時間が大幅に減っている件」。ホッと一息つくも良し、同じテーマで考察してみるも良し、お気軽にお読みください。
つい先日、オープンワーク株式会社の働きがい研究所が、「10年間で最も残業時間を減らした企業ランキング 」という調査レポートを発表しました。OpenWorkに投稿された残業時間について、企業ごとに2015年と2024年の平均時間を割り出し、その推移を比較したものとのことです。
残業を減らしたTOP30の企業のうち7社がコンサルとなっており、さらに5社がTOP10にランクインをしています。1位船井総研(-77.89時間/月)、2位フューチャー(-74.42)、3位デロイト トーマツ コンサルティング(-54.01)、6位PwCコンサルティング(-43.32)、9位アクセンチュア(-36.54)、20位EYSC(-28.28)、26位日本IBM(-25.91時)となっています。
さて、実際に残業時間が減っているのかを筆者肌感、知人などのコンサルタントの話を踏まえ考えてみます。結論からいくと大手コンサルファームを中心に、平均残業時間は大きく減っているのは間違いありません。2015年時点で既に働き方への取り組みは始まっていましたが、この10年で取り組みが具体的な数値に現れたと言ってもいいでしょう。
ただ、この残業減は主にメンバクラスにおいてのみ顕著で、M upについてはあまり変わらない、もしくはメンバに働かせられない分をM upが巻き取らざるを得ず残業増にすらなっている印象です。M、SMの悲鳴、稼働が無制限になるのでMにプロモしたくない・・・なんて声を聞くこともあります。
また、調査元のデータ(投稿された情報)が今も10年前も20代~30代前半によるものが多いのではないかと思っており、若手の残業時間の比較が今回の調査レポートにおいて明確に出たのではないかと考えております(OpenWorkなどに情報を投稿するのは全般的に若手が多いだろうという推測によるものでしかありませんので、違ったらオープンワークさん申し訳ありません)。
マネージャ以上の職位の情報で比較をするとまた違った結果が出るのではないでしょうか。若手はやたらな長時間労働とはなりづらくなり、そのシワ寄せがシニア層にきているのはちょっと違うのでは?と純粋に思ってしまいますが、M upは相応の高い給与を得ているので頑張るしかないのかもしれません。
この残業時間の減少の要因は、働き方改革関連法案にもちろんありますが、コンサルファームとしては優秀な人材の確保競争において取り組まざるを得ないテーマであったからとも言えます。
数年前まではコンサル≒ブラックのイメージを持たれがちで、これでは優秀な人材を数多く採ることができません。そのため、コンサルのイメージをカッコいいだけでなく、ホワイトなイメージに、そして実態としても働き易いものへと変えないといけなかったわけです。残業時間のトピックとは異なりますが、PwCが採用広告で「やさしい、コンサル」と打ち出したのは、それの表れかと思います(今は、やさしさが生む強さがあるに変わったようです)。
各社、メンバクラスへの残業時間のキャップなどで長時間労働とならないように監視をしているようですが、監視が厳し過ぎることによる弊害も見聞きします。結局、コンサルはクライアントワークであり、業務がクライアントに依ることが多く、かつクライアントのためには無理をしてでもやるべき時にやるというのが必要です。
ただ、稼働時間の制限があるためにやり切れない、クライアントのために動ききれないということがあるようです。また、20代はガムシャラに働いて、兎に角スキルをあげたいんだという若手にとっては、ガムシャラにできないというのも違うのではないかと思います(決して長時間労働を勧める様な考えではありません)。
ただし、平均残業時間が減ったとは言え、多くの場合実態としては、残業時間の多い/少ないはプロジェクトや上席となるパートナーやディレクターの仕事観や求める品質によって大きく左右されることが大半です。大手を中心に業界全体としては、大分働きやすい業界にはなりましたが、PJT or上司ガチャ次第で激務をこなしているコンサルタントがいるのも事実です。
ガチャと敢えて表現しましたが、自身のスキルや生産性ではどうにも解決できない長時間労働に直面している場合は、今回ランキングに入っているファームに移るのも選択肢としてはありかもしれませんね。
[v289]
執筆者
-
外資自動車メーカー2社を経験した後、コダワリにジョイン。
コンサルティングワークもこなす傍ら、人材紹介事業の事業責任者やコダワリの人材開発業務や採用統括業務など含めて幅広に従事。
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外資自動車メーカー2社を経験した後、コダワリにジョイン。
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