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コンサル1年目の登竜門「議事録」の書き方のコツと具体例

コンサル1年目の登竜門「議事録」の書き方のコツと具体例

議事録はプロジェクトを動かし、書き手のスキルを示す重要なツール

「また、指摘だらけの議事録が返ってきた…(ファイルをそっと閉じる)」
「修正されすぎて、もはや原型ないじゃん…」
「俺、議事録書くためにコンサルになったんだっけ…終わりが見えない…」

と、多くのコンサル1年目が直面する、避けては通れない「議事録」の壁。議事録作成に悩むみなさまや、その指導にお困りのみなさまの一助になればと、議事録の書き方のポイントをまとめてみました。

議事録はなぜ大事?

そもそも、コンサルにとって「議事録が大切」と言われるのはなぜでしょうか。まずは、議事録の重要性を「プロジェクトにおける役割」と「コンサルとしてのスキルアップ」の観点で解説します。

プロジェクトにおける役割
議事録は、参加者の合意形成や参加者以外への共有のために作成されます。参加者の合意形成は、会議の決定事項やToDoの認識齟齬を防ぐことが目的です。口頭だけの合意形成は、認識齟齬が発生したり、あとから忘れられたりするリスクがあります。後の「言った」「言わない」の不毛なやりとりに工数が割かれ、プロジェクトに影響が出るのを防ぐために議事録を作成します。また、議事録には、会議に不参加だった人に共有することで会議内容を理解してもらう目的があります。会議時点の関係者だけではなく、プロジェクトに後からアサインされた人が、それまでの経緯を把握するために活用することもあります。

コンサルとしてのスキルアップ
議事録は、書き手のベーススキル(日本語の表現力・構造化・タイピングなどの作業力)を丸裸にします。すなわち、議事録が問題なく書ければ、「他のタスクも一定任せられるな」と、タスクをお願いする側は判断できます。一方で、議事録が書けないと「議事録も書けずに、他に何ができるのか」という評価になります。議事録が苦手な人は、まず、議事録を通じてベーススキルを磨き、他のタスクも安心して任せてもらえるようになることを目指すべきです。そもそも、コンサルは資料を活用してクライアントに納得してもらい、評価されることが多い職業です。その観点でも、ドキュメンテーションができないのは致命的なので、「議事録なんて朝飯前」といえる水準になるまで研鑽に励みましょう。

議事録には何を書く?

議事録の形式や書き方は、クライアント先やプロジェクト、個人のこだわりによって様々で、「結局何を書けばよいのか」と迷うことがあるかもしれません。しかし、どんな議事録でも押さえるべき記載項目があります。「開催概要」「アジェンダ」「決定事項」「ToDo」の4項目です。ここでは、「会議」=「意思決定がある場」を前提に、4項目それぞれについて例示します。

開催概要:「いつ・どこで・誰が参加する何の会議か」

 記載例)
 ◇ 会議名 :社内交流イベント企画会議
 ◇ 開催日時 :2025年6月2日
 ◇ 出席者 :【企画部】田中、小林 【総務部】山田
 ◇ 場所 :オンライン

アジェンダ:「(会議で)何について何を決めたいか」

 記載例)
 ◇ 社内交流イベントのコンセプトの決定

決定事項:「何が決まったか(結論)・なぜそう決まったか(理由)や補足事項」

 記載例)
 ◇ アジェンダ:社内交流イベントのコンセプトの決定
  ✓ 結論:「部署間の壁をなくすカジュアルな交流」をコンセプトにする。
  ✓ 理由:アンケートで「部署間の交流機会が全くない」という意見が最多だったため。 
  ✓ 補足:アンケート結果の内訳
     ・「部署間の交流機会が全くない」は、全社員の70%の意見である。
     ・「リモートが増え交流機会が減った」の意見は想定より少なかった。

ToDo:「(会議を受けて)誰がいつまでに何をするか」

 記載例)
 ◇ 具体的なイベント内容のアイデアを洗い出す(期日:2025/6/9、担当:小林)

議事録はどのように作る?

議事録は会議終了後にのんびりと作るものではありません。目指すは会議終了と同時に書き終わり、レビュー依頼をするスピード感です。そのための具体的なアクションを、準備・作成の段階に分けて解説します。

1.準備
会議のアジェンダ(何について何を決めたいか?)を把握し、各アジェンダでどのような結論に着地しそうかを見立てます。クライアントとの会議では、コンサル側がアジェンダを設定することが多いと思うので、「どの結論になるか」の議論の方向性は、事前に把握することができると思います。アジェンダごとに議論のポイントを推測することで、どのアジェンダに集中して議事録を書くべきかを見立てられます。なお、会議資料の読み込みなど、会議内容を理解するためのキャッチアップは、必要最低限の準備です。

2.作成
会議中は、押さえるべき記載項目を意識しつつ、会話をひたすら書き起こします。そして、タイミングを見て、わかりやすい文章にするための手直しを並行します。慣れないうちは、とりあえずすべての発言を文字起こしするのがおすすめです。文字起こしが間に合わないのは、タイピングスピードに問題があるので、まずはひたすらタイピング練習をしましょう。会議中に全く追い付けず、会議後に録画や録音を全部聞きなおして作成している人を見かけたことがあるのですが(汗)、超絶非効率なのでやめてください。

議事録で気を付けるポイントは?

ドキュメンテーション全般にいえることですが、「理解できる・読みやすい文章をとにかく速く書く!」が議事録作成のポイントです。

✓ 理解できる表現で書く
会議中の発言をそのまま文章に起こしても、読み手には伝わらないことが多々あります。内容が変わらない範囲で、読み手が理解できる表現に書き直しましょう。具体的には、会議内でしか伝わらない表現を言い換える、発言されなかった主語・目的語や因果関係の飛躍を補う、などです。

✓ 読みやすい表現にする
情報がただ時系列で並べられているだけの議事録は要点がわかりにくいです。結果として、決定事項やタスクが曖昧になり、認識齟齬の元凶になります。そのため、内容に応じた適切なグルーピング(構造化)で情報を整理しましょう。グルーピングは、インデントや箇条書き等を使って視覚的にも読み手にやさしくするのがコツです。また、長文を読まされるのは誰もが苦痛に思います。そのため、発言をそのまま記載するのではなく、同じ内容をよりシンプル・より短い表現にして、文章にまとめます。

✓ とにかく速く仕上げる
議事録はとにかく速く書くのが鉄則です。なぜなら、記憶が新しければ新しいほど、効率よく議事録を作成・レビューできるからです。また、あくまで議事録はクライアントへの価値提供をサポートする位置付けのものです。議事録作成にもフィーが発生していることからも、時間をかけすぎるべきではないことを認識しましょう。議事録作成の目安は、会議終了とほとんど同時に最初のレビュー依頼をするのが目標です。難しい場合、まずは会議時間=議事録作成時間(30分の会議なら会議後30分以内)で最初のレビュー依頼を出すことを目指します。

終わりに

最近では、AI技術の進歩にともない議事録作成ツールの品質も向上しており、自社の会議などで利用する分には問題ないレベルです。一方、会議の要点の抽出などはまだ苦手な印象で、クライアント向けに作成する際には、人による手直しがまだまだ必要かと思います。したがって、正しく議事録を書けないと、ツールが作成した文章も適切に修正できず、結局ツールの恩恵を受けられません。より効果的にツールを利用する観点でも、コンサルのベーススキルを育むという観点でも、議事録スキルの重要性は引き続き変わることがないかと思います。

[v312]

執筆者

H.M.
H.M.コダワリ・ビジネス・コンサルティング株式会社 コンサルタント
ITやBPR領域でのコンサルティングを得意とする。新規領域でコンサルとしてのキャッチアップ能力の速さと無駄なことをしないスタンスで、周りを巻き込みながら最適なアプローチで課題解決をはかる。
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H.M.コダワリ・ビジネス・コンサルティング株式会社 コンサルタント
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