急拡大を続けるアクセンチュア|売上・社員数の推移が示すコンサルファームの変遷
6年間で売上約58.3%増!業界を牽引するアクセンチュアの成長に迫る
世界最大級のコンサルティングファーム「アクセンチュア」は、2025年現在、グローバル社員数77万4000人、売上649億USドルを誇り、コンサル市場の拡大を牽引しています。同社の急成長の背景には何があるのでしょうか。
本記事では、当メディアが蓄積してきた売上や社員数等のデータをもとに、アクセンチュアの変遷をひも解いていきます。
目次
アクセンチュアとは
アクセンチュアは、「ストラテジー & コンサルティング」「テクノロジー」「オペレーションズ」「インダストリーX」「ソング」の5つの領域で幅広いサービスとソリューションを提供する総合系コンサルティングファームです。戦略策定から実行、システム開発、運用までをワンストップで支援するグローバル企業です。
同社は1913年、アーサー・アンダーセンとクラレンス・デレーニーによって創業されました。1989年にアンダーセン・コンサルティングとして分社した後、エンロン事件をきっかけにアンダーセンとは決別。2001年に社名を現在のアクセンチュアに変更し、同年ニューヨーク証券取引所に上場しました。その後、独自のビジネスモデルを武器に事業拡大を続け、現在の時価総額は約672億USドルと見られています。
なお、社名の「Accenture」は、同社ノルウェーのコンサルタントが提案した「accent」と「future」を掛け合わせた造語で、「未来にアクセントや重点を置く」ことを意味しています。
売上の変遷
アクセンチュアの2018年から2024年までの売上は以下のとおりです。
システム開発、BPOなどを含む全社の売上とコンサル事業単体での売上をまとめました。
◆アクセンチュアの売上の変遷(2018年~2024年)
| 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 | |
| 全社売上(億USD) | 410 | 432 | 443 | 505 | 616 | 641 | 649 |
| コンサル事業売上(億USD) | 216 | 242 | 242 | 273 | 341 | 336 | 332 |
| 全社売上増加率(%) | 13.10% | 5.40% | 2.60% | 14.00% | 22.00% | 4.10% | 1.30% |
| コンサル事業売上増加率(%) | 15.00% | 12.00% | 0.00% | 12.80% | 24.90% | -1.50% | -1.20% |

アクセンチュアの全体売上の推移は、2018年の410億USドルから2024年には649億USドルとなり、この6年で増加率約58.3%と大きく拡大しました。コンサルティングだけでなく、システム構築・運用まで一貫したサービスを提供することで、顧客のデジタルトランスフォーメーション(DX)を包括的に支援し、事業全体の拡大につなげてきました。
特に2022年には前年同期比+22.0%と大幅な伸びを示しており、コンサル事業単体でも2022年+24.9%と急成長しています。これは、前年度までのCOVID-19の影響から回復したことが背景にあると思われます。一方、2023年以降は、全体売上は縮小、コンサル単体売上ではマイナス成長となっており、成長スピードは鈍化しています。この背景には、世界的な地政学的リスクの高まりや経済環境の不確実性、テクノロジーの急激な進化等が影響していると考えられます。
近年、アクセンチュアはAIへの投資を強化しており、業務効率化やデジタルサービスの拡大を通じて、今後の収益構造の安定化と高付加価値案件の創出を目指していくものと思われます。
次に、社員数の変遷を見ていきましょう。
社員数の変遷
◆アクセンチュアのグローバルにおける社員数の変遷(2018年~2024年)
| 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 | |
| グローバル社員数(人) | 425,000 | 492,000 | 513,000 | 624,000 | 721,000 | 733,000 | 774,000 |
| グローバル社員数増加率(%) | 15.80% | 4.30% | 21.60% | 15.50% | 1.70% | 5.60% |

◆アクセンチュアの国内における社員数の変遷(2018年~2024年)
| 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 | |
| 国内社員数(人) | 9500 | 11,000 | 15,000 | 18,000 | 19,000 | 21,000 | 25,000 |
| 国内社員数増加率(%) | 15.80% | 36.40% | 19.10% | 10.50% | 5.60% | 20.00% |

*2017年の数値不明のため2018年の増加率は掲載していません
アクセンチュアの社員数は、グローバル・国内ともに堅調に拡大しており、2018年から2024年の6年間で、
・グローバル:約42.5万人 → 約77.4万人(約1.8倍)
・日本国内:約9,500人 → 約25,000人(約2.6倍)
と、大幅な増加を示しています。
グローバルでは、2021年の+21.6%をピークに、2023年以降は増加率が一桁台へと鈍化しており、急拡大フェーズから成長の安定化・人材構成の再編に移行していると考えられます。一方、国内では成長ペースがさらに顕著であり、特に2020年の+36.4%、2024年の+20.0%と、断続的に高い伸びを維持しています。
同社は、M&Aによる技術と人員の獲得を進めると同時に、近年は、AI関連領域への投資を強化しており、データサイエンティストやAIエンジニアといった高度専門人材の採用・育成を通じた人材ポートフォリオの再構築を進めています。今後は、量的拡大から質的な人材強化へと軸足を移していくものと考えられます。
アクセンチュアの変遷まとめ
アクセンチュアは業界最大級の規模を誇り、グローバル・国内での売上・社員数の急拡大を背景に、コンサル業界全体に大きな影響を及ぼしています。近年はAI領域への投資を強化し、M&Aや高度専門人材の採用・育成を通じて人材ポートフォリオの再構築を進め、量的拡大から質的強化へ軸足を移す戦略を推進しています。今後も同社の動向は業界の方向性を占う上で重要であり、当メディアでは引き続き注目していきます。
[v330]
執筆者
- コダワリ・ビジネス・コンサルティング株式会社
執筆者
- コダワリ・ビジネス・コンサルティング株式会社



















