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クライアントは若手コンサルに何を求めているのか?(ジュニアコンサル・コンサル志望者向け)
ニーズの高まりを受け、規模拡大を続けるコンサル業界。若手コンサルにスコープをあて、今一度振り返って欲しいことを記す
戦略コンサルやITコンサルなど、様々な領域のコンサルティングがありますが、クライアントが一般的にコンサルファームに望むことは、平たく言ってしまえば「課題を解決する」こと。では、クライアントが一人のコンサルタントに期待することとは何でしょうか?今回は、クライアントがジュニアなコンサルタントに期待していることをまとめてみました。(そもそもコンサルティングのチームがマネージャやコンサルタントらで良かったものの、経験の薄いジュニア層も勝手にチームに組み入れられ、クライアントからしたらジュニア層に何も求めていないケースも極論多々ありますが、それについては今回は書きません。)
タスクに追われ多忙を極めるあまり、コンサルとして何をすべきか見失いがちになる若手コンサルの皆さんに是非今一度立ち止まって振り返ってほしいポイントでもあります。
目次
期待されているのはQCD「品質、スピード、タイミング」
クライアントはコンサルファームに様々な悩み事や課題について相談をしますが、高額なコンサル料を払ってまで頼むのは、大きく「スピード感」「全体俯瞰や深い知見」「センシティブやポリティカルなシーンでの立ち振る舞い」「優秀な労働力」といったことが期待されているからと言えます。
この中で、一人のコンサルタント、特にアソシエイト・アナリストなどのジュニア層に対して期待されるものを絞れば「スピード感」「優秀な労働力」が挙げられます。ただ早くても仕事の品質が低ければ論外ですし、じっくり時間をかけて良い仕事をしたとしても、誰でもできるわけです。コンサルタントには、より早くより良いアウトプットが求められています。
さらにもう1つ重要なのが「タイミング」。品質とスピードのバランスと言い換えても良いのですが、どこまでの品質・スピードが求められているのかを判断し、適切なタイミングでアウトプットする能力も欠かせません。
クライアントは、自社リソースと比較して何倍も高いフィーを支払っているわけですから、それなりのパフォーマンスを期待しており、“何倍も仕事できるよね”と考えるのは当然でスタート地点と言えます。「品質、スピード、タイミング」の3点すべてが揃って初めて、クライアントの期待に届き、コンサルとしてのプロフェッショナリズムの第一歩と言えるでしょう。
案件毎に期待されていることを見極める(ただのワーカーになっていないか?)
前段では、スキル面に関して言及しましたが、案件特有でどのようなものがあるのか考えてみましょう。
例えば、
・●●業界のトレンドを徹底的に抑えてほしい(グローバルも含め)
・現場の具体的な業務フロー、作業を徹底的に理解してほしい。
・競合の成功事例や失敗事例をひたすら調べて纏めてほしい。
・円滑なプロジェクト推進のために、多種多様な正確のステークホルダーと積極的にコミュニケーションを取ってほしい。
などが挙げられます。
自身が持つタスクが、プロジェクト全体の中でどういった位置付けなのか、全体の目的は何であるのかを的確に捉え、期待されていることを見極めることが肝要です。ゴールが分かっていないと自分の作業の位置づけ、そこからどう話が繋がるかも分かりません。
もし、クライアントの考えが曖昧で明確化できないようなケースでは、自身の上司に確認してみましょう。上司が曖昧な時もありますが…。自分のタスクが案件やそのクライアント企業そのものにとってどういう位置づけかを理解し、コンサルタントとしてバリューを発揮しているか自問自答することは非常に大切です(バリューが無いとすれば、自分が問題かプロジェクトが問題かどちらかです)。
どこまでクライアントの期待に応えるのか?
できるコンサル“あるある”ですが、パフォーマンスが良過ぎてクライアントからの期待値がエスカレートしてしまうケースがあります。「何でもできてしまう上に、働きぶりも余裕がありそう…。」と判断され、どんどんタスクが振られてしまいます。特にそのようなメンバが抜ける際は、引継ぎ先の人は大変です。「前任者はこんなにやってくれてたのに」と言われる可能性大で、パフォーマンスの出しすぎも考えものになってしまうという…。
また、クライアントがコンサルファームを使い慣れていない場合、期待値が異常に高く、最初から「コンサルなら何でもできるし全部やって当然でしょ!」となります。最近は減ってきているものの、振り返ると今風に言えばカスハラでしょう。
他にも、クライアント内でこれまで紆余曲折あった失敗プロジェクトをコンサルに任せ、最終的に上手くいかなかったら、コンサルの責任にしてしまおうというケースも稀にあります。クライアントにとってみれば、ある意味コンサルの使い方の1つです。
上述のようにクライアントがコンサルファームに依頼するのには、様々な事情と期待があります。それらを的確に把握し、最適なポジショニングを取れるコンサルタントは強いです。その究極系がパートナー職とも言えるでしょう。
コンサルタントの真の役割
これまで、「クライアントからの期待」をテーマに考察してきました。しかし、「クライアントからの期待」に応えることだけが、コンサルタントの役割ではありません。というのも、クライアントの指示が的確ではない場合もあり、クライアントのにいいなりになっているだけでは、コンサルだからこそ導き出せる結果には辿り着かないからです。
本質的にどうすべきかというのは、コンサル自身が日々自問自答して取り組んでいく必要があります。そのためには、先にも述べた通り最終的なゴールを認識していく必要があり、そのゴールに向けた適切なアプローチとは何かというところまで考えなければなりません。
場合によっては、クライアント担当者の意に背くようなアクションになってしまうことも恐れてはいけません。結構な議論になることもありますが、ゴールのための最適解を突き通すことは、コンサルの役割だといえます。また、対話の結果を想定内の着弾点に導くこともコンサルに求められるスキルでもあるのです。
コンサルとして最も重要なことは、クライアントの顔色を伺いすぎることなく、たとえ自分が嫌われても、対等なビジネスパートナーとしてクライアントの目的を叶えることだといえるでしょう。
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執筆者
-
外資自動車メーカー2社を経験した後、コダワリにジョイン。
コンサルティングワークもこなす傍ら、人材紹介事業の事業責任者やコダワリの人材開発業務や採用統括業務など含めて幅広に従事。
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外資自動車メーカー2社を経験した後、コダワリにジョイン。
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