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大手コンサルファームの女性役員・管理職比率2025年版|女性活躍推進の取り組みも解説

大手コンサルファームの女性役員・管理職比率2025年版|女性活躍推進の取り組みも解説

女性活躍推進に注力する大手コンサルティングファームとは?取り組み内容もご紹介します。

子育て世帯のワーキングマザー比率が80%近くとなる現在、女性のキャリア支援は重要度を増しています。内閣府男女共同参画局が発表した「女性活躍・男女共同参画の現状と課題」では、プライム市場上場企業の女性役員比率について「2030年までに30%以上/2025年までに19%」という数値目標を重点方針の1つとして掲げています。節目となる2025年を迎え、当メディアではコンサル業界の最新状況を調査。大手コンサルファームの女性管理職比率と女性活躍推進の取り組みについてご紹介します。

本記事は各ファームの情報更新にともない、昨年公開した記事をリライトしております。主要大手各ファームが公開する女性役員・管理職の比率を算出し、女性活躍推進に対する現在の取り組み内容や将来の目標値をまとめました。なお、社外取締役は含まずにカウントしております。

今回の調査では、主要ファーム及び一定以上の規模感のファームを調査対象としました。日系ファームは主要総合系に野村総合研究所を加え、外資系は主要総合系・戦略系にIBMも選出しました。紹介順は役員の女性比率が高い順とし、外資の場合はグローバルの数字を優先しております。

日系コンサル6社の女性役員・管理職の比率と女性活躍推進の取り組み

各社の女性管理職比率と女性活躍推進への取り組み内容をまとめました。

シグマクシス(SIGMAXYZ)

役員の女性比率16.7%(6名中1名)
管理職の女性比率21.0%(54名)
(参照:シグマクシス 役員一覧,)

シグマクシスの女性比率は役員が約17%、管理職が20%となっており、後述する外資系よりは低いものの日系としては一番高い比率となっています。

野村総合研究所(NRI)

取締役の女性比率11.1%
役員の女性比率14.3%
執行役員等に占める女性比率 4.9%
管理職における女性比率9.6%
(参照:野村総合研究所 ダイバーシティ&インクルージョン

NRIの女性取締役比率は11.1%、役員は14.3%、執行役員は4.9%、管理職は9.6%となっており、前回調査時から執行役員比率が1.1%減、管理職比率が0.1%増となりました。

同社では、女性活躍推進における目標において、2025年度末までに管理職(部長・課長等)の女性比率を13%以上、プロジェクトや事業における責任者の女性比率を17%以上にするとしています。

また、出産・育児・介護と仕事の両立支援に関してさまざまな取り組みを行っており、なでしこ銘柄(2017~2022)・えるぼし認定(最高位)(2017)・くるみん認定・プラチナくるみん認定(2018)といった外部認定・評価の獲得実績もあります。

ベイカレントコンサルティング

役員の女性比率4.3%(23名中1名)
(参照:ベイカレントコンサルティング 会社概要

ベイカレントコンサルティングの公式発表では役員の女性比率は前回調査時0名から1名増え、4.3%となりました。管理職における女性比率などの情報は開示されておりません。

一方で、女性活躍支援として時短勤務制度やベビーシッター費用補助制度のほか、担当するプロジェクトへの配慮などがあります。

アビームコンサルティング(Abeam)

管理職の女性比率 15.8%
(参照:アビームコンサルティング Diversity & Inclusion

アビームコンサルティングでは、役員情報は公開されておりませんので女性役員の比率は不明となりますが、管理職における女性比率は15.8%となっており、前回調査時の15.3%から微増しました。

同社では女性活躍推進のための行動計画を進めており、2025年3月31日までに管理職における女性の割合を18%にまで増やすという目標を掲げています。現在公表されている女性比率は2024年3月末時点の数値となっているため、最新情報の更新が待たれます。

ほかにも女性のキャリア形成サポートとして、次期管理職層向け研修や全社員を対象としたアンコンシャス・バイアスに関する意識づけ、昇格実績におけるジェンダー差異のモニタリングなどを実施しています。

クニエ(QUNIE)

役員の女性比率0%(3名中0名)
エキスパート職の女性比率4%(75名中3名)   
(参照:クニエ EXPERT

クニエでは、パートナーやディレクターなどで構成されるエキスパート職の女性比率は4%となっています。前回調査時から比率は微増しましたが、人数は変わりませんでした。

日立コンサルティング

役員の女性比率0%(2名中0名)
(参照:日立コンサルティング 会社概要

日立コンサルティングにおける役員の女性比率は、前回調査時同様の0%(2名中0名)です。管理職の女性比率は公開されておりません。
※非常勤を除く

一方で、同社はグループ社員を対象としたキャリア形成のためのセミナーやカウンセリング参加を支援しているほか、柔軟な働き方に対応する在宅やサテライトオフィス勤務制度・従業員の家族の幸せな暮らしを目指すファミリーサポート休暇制度などがあります。また、女性活躍・子育てサポート優良企業に認定される「えるぼし」「くるみん」も取得しています。

外資コンサル11社の女性役員・管理職の比率と女性活躍推進の取り組み

Big4について、グローバルにおいてはコンサルティング以外に監査や税務などのビジネス領域を含んでいます。一方、日本国内においてコンサルティングを担う法人における状況を確認しております。

なお、各ファームによって役職名は異なりますが、各社が公表するリーダーシップ職の女性比率をまとめました。

アクセンチュア(Accenture)

取締役の女性比率(グローバル)45%
役員の女性比率(グローバル)26%
管理職の女性比率(グローバル)33%
役員の女性比率(国内)12.2%(41名中5名)
管理職の女性比率(国内)21.7%
(参照:Accenture Board Of Directorsエグゼクティブ・リーダーシップ・チーム、アクセンチュア ジェンダーダイバーシティ会社概要Women Careers

アクセンチュアのグローバルにおける取締役(board of directors)の女性比率は45%、役員(global management committee)の女性比率は26%、管理職(executives)の比率は33%でした。国内では役員12.2%、管理職が21.7%となっています。前回調査時と数値に大きな変動はありませんが、日本における女性役員が1名増え、約2.5%増となりました、

同社には、女性リーダーの輩出などを目指すGender Diversity Committeeや“Unconscious Bias”研修などがあり、女性のキャリアアップをサポートしています。また、Right Client, Right Role, Right Sponsor, Right Skillの4つの観点で管理職候補の女性社員が十分に成長機会を得ているかをモニタリングしているほか、短日短時間勤務やベビーシッター費用補助などの制度もあります。その他、以下を筆頭として様々な受賞実績があります。

●日経WOMANの「女性が活躍する会社Best100」総合1位
●リフィニティブ 2023年「ダイバーシティ&インクルージョン・インデックス」世界第1位

デロイト トーマツ コンサルティング(DTC)

リーダーシップの女性比率(グローバル)
Board of Directors / Global Executive  Committee
41.2% / 35%
パートナー及びディレクター職に占める女性比率(国内) 10.7%
管理職の女性比率(国内)22.0%
(参照:Deloitte 、Leadership and governance、デロイト トーマツ コンサルティング デロイト トーマツ グループ Impact Report 2024、 デロイト トーマツ コンサルティング合同会社における女性活躍推進の取り組みについて

Deloitteグローバルリーダーシップの女性比率はBoard of Directorsが41.2%と前回調査から6.2%アップ、Global Executive Committeeが35%と3%ダウンとなっております。国内のコンサルティングにおけるパートナー及びディレクター職の女性比率は10.7%と前回調査から4.8%アップ、管理職は22.0%と6.3%アップいたしました。

同社では女性活躍推進の取り組みとして、2025年8月31日までに女性管理職の比率を23.7%まで向上させることを目標としております。また、「えるぼし」の三つ星や「プラチナくるみん」認定などの外部評価も獲得しています。

ベインアンドカンパニー(Bain & Company)

リーダーシップ(グローバル)の女性比率34%
リーダーシップ(国内)の女性比率5.0%(40名中2名)  
(参照:ベインアンドカンパニー DEI Reportリーダーシップ

ベインアンドカンパニーのグローバルでのリーダーシップにおける女性比率は34%となります。東京オフィスでは、リーダーシップの40名中2名が女性で、前回調査時から1名減となりました。

同社には、ダイバーシティを推進するための様々な組織が存在し、女性活躍については「Women at Bain」が、リーダー(ソートリーダー、インスピレーショナルリーダー、ファームリーダー)として活躍できるように支援しています。なお、2020年には、Fortune誌の「女性が働きやすい企業ランキング」にランクインしました。

マッキンゼー・アンド・カンパニー(McKinsey & Company)

リーダーシップの女性比率(グローバル) 22.6%
リーダーシップの女性比率(国内)6.2%(65名中4名)  
(参照:マッキンゼー・アンド・カンパニー Shareholders Councilリーダーシップ紹介女性活躍推進の戦略的・道徳的意義2022 ESG Report

マッキンゼー・アンド・カンパニーのリーダーシップの女性比率はグローバルで22.6%前回調査時より5.4%のダウン、国内リーダーシップは6.2%と3%のダウンとなりました。

同社では、男女問わず取得可能な育児休暇制度、多様なバックグラウンドを持つリーダーの育成、アンコンシャスバイアス(無意識な偏見)を排除するためのトレーニングなどを実施しています。また、「女性のリーダーシップ・ワークショップ」や「パスウェイ・トゥ・パートナー」といったキャリアアップのためのプログラムを設けています。

KPMGコンサルティング(KPMG Consulting)

リーダーシップの女性比率(グローバル)29.9%
リーダーシップの女性比率(国内)3.3%(92名中2名)
女性管理職比率(国内)19%
(参照:KPMG Corporate reporting、KPMGコンサルティング パートナー・プリンシパル一覧インクルージョン、ダイバーシティ&エクイティの取組み

グローバルKPMGの「Corporate reporting」2024年版において、リーダーシップの女性比率が29.9%との報告がありました。KPMGコンサルティング(国内)では、パートナー・プリンシパル等のリーダシップにおける女性比率は3.3%となっており、前回調査時よりも2.4%減少しております。また、2024年6月までの目標「女性管理職比率17%」を超え、19%を達成したことが公表されています。なお、2024年7月1日からの5年計画でその割合は 22%に引き上げられました。

さらに、「えるぼし」の三つ星を取得しているほか、女性管理職の育成や女性キャリア研修、女性同士のネットワーク形成支援などに取り組んでいます

EYストラテジー・アンド・コンサルティング(EY Strategy and Consulting )

パートナー等の役職の女性比率(グローバル)28%
パートナー職の女性比率(国内)4.3%(140名中6名)  
(参照:EY Diversity, inclusiveness and your career、EY Japan コンサルティング パートナー一覧

EYグローバルの役職(partners, principals, executive directors and directors)における女性比率は28%、国内のコンサルティング パートナーにおける女性比率は4.3%(140名中6名)です。前回調査時からグローバルでは3%増、国内では1名減り1%減となりました。

なお、EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社は、「えるぼし」認定3段階目を取得しているほか、EY全体で女性ネットワーク「WindS」などの活動を行っています。

アイ・ビー・エム(IBM)

リーダーシップの女性比率(グローバル)26.3%
リーダーシップの女性比率(国内)9.5%(21名中2名) 
(参照:Senior Leadershipリーダーシップ)

IBMでは、グローバルにおけるリーダーシップ層で女性比率26.3%、国内では9.5%となっており他社と同レベルとなっています。

ーランド・ベルガー(Roland Berger)

マネジメント職の女性比率(グローバル)25%(12名中3名) 
マネジメント職の女性比率(国内)10.5%(19名中2名)
(参照:ローランドベルガー マネジメント体制

ローランド・ベルガーでは、グローバルにおけるマネジメント職(Board of Managing Directors、Supervisory Board)における女性比率は25%と8.6%増、国内マネジメント職の女性比率は10.5%で、昨年から0.5%増と、他社と比較すると高い数値となっています。

育児休暇や育児短時間勤務の制度と利用実績があるほか、「EmpowerHER」や「Women@Roland Berger」といった女性のキャリアをサポートするプログラムやコミュニティがあります。

PwCコンサルティング(PwC Consulting)

パートナーの女性比率(グローバル)23.9%
パートナー職の女性比率(国内)9.1%(11名中1名)
(参照:PwC Gender Equity、PwCコンサルティング 2025年度執行体制女性活躍推進数字で見るPwC

グローバルにおけるパートナー職の女性比率は23.9%でした。また、2024年7月1日付けで発表された2025年度の執行体制に新たに1名女性が加わり、女性比率9.1%となりました。2023年6月時点のパートナー職の女性比率は7.9%、マネージャー~ディレクター職は22.6%、シニアアソシエイト職は42.6%と公表しています。

同社では女性活躍推進の取り組みとして、女性の役員登用や若手女性の育成に力を入れており、女性リーダー向けのコーチングや、若手女性向けのリーダーシップ研修を実施中です。さらに、女性活躍を推進する以下のような外部団体への賛同を行っています。
●「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」行動宣言(内閣府・男女共同参画局)賛同
●国連女性機関「HeForShe」推進企業に賛同

ボストン コンサルティング グループ(BCG)

リーダーシップの女性比率(グローバル)23.8%(422名中10名)
リーダーシップ職の女性比率(国内)7.1%(113名中8名)
(参照:ボストン コンサルティング グループ Leadership(グローバル)Japan Leadership

BCGのリーダーシップはグローバルで23.3%、国内で7.1%となっており、前回調査時からグローバルは0.7%、国内では0.3%減っています。

女性のキャリア開発を支援する取り組みとして、「Women@BCG」をグローバルに展開しており、メンター制度やロールモデルとのネットワークを通じた連携などを行っています。また、短時間勤務、休職、クライアントワーク以外の業務へのアサインなど、さまざまな選択肢を用意しています。なお、Forbes 2022「THE Best EMPLOYERS FOR WOMEN」などの賞も獲得しています。

アーサー・ディ・リトル(ADL)

シニアスタッフの女性比率(グローバル)9.1%(11名中1名)
シニアスタッフの女性比率(国内)6.7%(15名中1名)  
(参照:アーサー・ディ・リトル シニアスタッフ紹介(グローバル)シニアスタッフ紹介(日本)

アーサー・ディ・リトルでは、シニアスタッフの女性比率はグローバルで9.1%、国内でも6.7%となっています。昨年はグローバル・国内ともに約8.3%でしたが、人数で見ると昨年と変わりはありません。

同社の公式サイトでは、働き方に関して育児休暇を取得し職場に復帰後、柔軟性の高い勤務形態があると伝えています。

考察

調査の結果、女性役員比率は、日系ファームにおいては前回同様首位となったシグマクシスの16.7%が最大でした。ただし、各社絶対数で見ると女性役員は数名にとどまりますので、企業による大きな差はありませんでした。

また、外資系コンサルティングファームにおいては、グローバルでは大半のファームで20%を超えていますが、国内では20%を超える企業はなく、グローバルと比較して国内の比率が低くなっています。日本のコンサルティング業界における女性活躍にはまだ改善の余地があるといえそうです。

内閣府男女共同参画局が公開する「女性役員情報サイト」では、「日本の女性役員割合は、過去10年間で徐々に上昇しているものの諸外国とのギャップは依然として大きい」としており、コンサルティング業界においても同じことがいえます。

また厚生労働省の「令和5年度雇用均等基本調査」によると、課長相当職以上の管理職に占める女性の割合は 12.7%となっており、この数値は国内において各社コンサルファームの比率と大きく変わることはありません。「女性が活躍している職場」という観点で見ると一般の日系企業と変わらない、というのがコンサルティングファームの現状といえます。

一方、グローバルの動向を見ると、今年1月に発足した第二次トランプ政権による「ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン(DEI)」政策の見直しを契機に、グーグル、メタ、ウォルマート、ターゲットなど米国の主要企業でDEIの取り組みを縮小または撤廃する動きが広がっています。コンサルティング業界では、アクセンチュアが2017年に設定したグローバルDEI目標の廃止を発表しました。また、米デロイトはDEIに関する各種プログラムを停止するとしています。

この流れを受け、今後、世界的に女性起用を含めたDEI全体の見直しが進む可能性が考えられます。

女性活躍を始めとしたDEIの推進は、多様性を高め、公平性を確保することで、社会の持続可能な発展を促進するだけでなく、企業にとっても新たな視点の導入を通じたイノベーションの創出や意思決定の質向上に寄与します。また、企業カルチャーの改善や従業員の満足度向上、ブランドイメージの強化といった効果も期待できます。

しかし、その取り組みが形式的になり、実力や適性よりも性別等の属性が重視されると、逆に職場の信頼感が損なわれ、会社全体のパフォーマンスに影響を及ぼす恐れがあります。こうした「形式的な取り組み」による弊害を懸念し、DEIを見直す企業が増えているのではないでしょうか。

そもそもコンサルファームは、ダイバーシティやESGを先導し自社でも積極的に推進してきた経緯があります。例えば、マッキンゼーは今年2月、全職場で多様性を優先すると宣言したほか、英デロイトは米デロイトの戦略転換とは一線を画すスタンスを社内に発信したと報じられました。

日本国内では、2024年11月に厚生労働省が、従業員101人以上の企業に対し女性の管理職比率の公表を義務付ける方針を示しています。

こうした動きを踏まえると、KPI設定や施策の見直しはあり得るものの、今後もコンサルファームにおける女性管理職・役員の比率は着実に増えていくのではないかと予想されます。

本記事で紹介した各社とも女性活躍の推進に力を入れており、多くの企業が女性管理職の比率向上を具体的な数字とともに目標として掲げています。コンサルファームへの転職の際は、ダイバーシティに取り組み、女性のキャリア育成に注力しているかどうかも基準にしてみてはいかがでしょうか。

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