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コンサルが支援する「地方創生」プロジェクト事例7選
少子高齢化や企業の減少など地方に存在する多様な課題に対するコンサルファームの支援とは?
目次
3.地方自治体におけるDX推進コンサルティング
最後はDXコンサルティング事例です。
◆アクセンチュア:福島県会津若松市におけるスマートシティ化支援
アクセンチュアは、2011年に会津若松市に「イノベーションセンター福島」を設立し、会津若松市のスマートシティ化を支援してきました。これまでに同社は、事業企画・事業実施/運営のメンバーとして自治体とともにプロジェクトを推進しています。
そして構想した「スマートシティ会津若松」計画をもとに、市民中心の次世代社会創造、具体的には成長産業の創出やデータ連携基盤等のデジタル基盤整備などを目的に、先端デジタル技術を駆使した実証を行ってきました。
出所)DIGITALX 「デジタル田園都市国家構想とスマートシティ【第12回】」
アクセンチュアによると、具体的な実証としては以下のようなものが挙げられます。
・市民向けサイト&チャットボット「会津若松+」
行政・市民間コミュニケーション推進の為、2015年12月に地域ポータルサービス「会津若松+」を開設。SNSと連携してログインすると属性情報に応じて、パーソナライズされた行政・地域情報を提供。
・地域特有の課題解決ツール「除雪車ナビ」
GPS搭載除雪車位置情報や移動履歴を、ユーザーの住所情報に基づきリアルタイムに受け取れるサービスで、2016年から「会津若松+」に追加。降雪状況により日々変わる除雪車の運行状況がわかり、市民は混乱なく通勤・通学可能に。
・インバウンド観光促進「VISI+ AIZU」
世界のインフルエンサーとも連携したデジタルプロモーションサイトを開設。サイト訪問者の言語設定を認識し国籍別の嗜好性に合わせた観光スポットを出し分ける事で会津に誘客。会津若松市の外国人宿泊者数(2015年・2017年対比)3.4倍の増加。
◆デロイトトーマツコンサルティング:スマートシティ構想立案からAI開発・実装までの支援サービス
デロイトトーマツコンサルティング(DTC)は、2021年、AIを利活用したサービスによる社会課題解決に取り組む株式会社エクサウィザーズとスマートシティ分野における実証プロジェクトで協業し、地方自治体や関連企業への支援サービスの提供を開始することを発表しました。
エクサウィザーズ社はこれまで、神奈川県「神奈川 ME-BYOリビングラボ」における介護関連データを対象とした「要介護度予測AI」開発事業の採択、浜松市や宮崎市などでの実証事業など、地方自治体へのさまざまなAI導入のプロジェクトを実施してきました。
DTCは、スマートシティの実現に挑戦する企業・地方公共団体・関係府省に対する支援を数多く行ってきました。スマートシティに関する取り組みでは、モビリティ・環境・エネルギー・経済・行政・教育・生活・ヘルスケア・安全・安心など、幅広い領域の知見が求められ、スマートシティの推進にあたっては、ヒト・モノ・カネをふくめた全体構想をすることが必要です。DTCは、そのための方法論を体系化し、方法論に基づく戦略・構想策定ならびに実証の支援を提供しています。
2社のリリースによると、今後DTCが有する方法論と、エクサウィザーズ社の有する高度なAI技術を組み合わせ、スマートシティの取り組みに関わる地方自治体や関連企業への支援をすることで、人々の生活の質の向上、豊かな暮らしができる仕組みづくり、社会課題解決のさらなる推進を図る、とのことです。
◆PwCコンサルティング:地方自治体のDX推進を支援する共同研究会 「DX Drive Japan」 を設立
PwCコンサルティングは2021年、サイバーエージェントとともに、地方自治体のDX推進を支援する共同研究会 「DX Drive Japan」を設立したことを発表しました。
PwCコンサルティングは中央官庁や地方自治体におおける業務改革だけでなく、デジタルに関する個人のリスキリングやアップスキリング(※)に知見・実績を持ちます。また、サイバーエージェントはデジタル分野におけるサービス開発や運用、広報・広告などにおける幅広い知見と実績を保有しています。それらをかけ合わせて、人々の暮らしをより豊かにするスマート自治体の実現を目指した研究を通して、自治体に向けたサービス提供を行っていくとのことです。
PwCのリリースによると、手始めに下記3点を実施しています。
- 自治体DX成熟度診断
自治体のデジタル化およびDX推進の取り組み状況を独自の評価指標で成熟度レベルとして可視化。取り組むべき課題を抽出し優先順位づけした上で、解決方針を提示いたします。 - DX推進における解決策の立案
各自治体のデジタル化およびDX推進を担う部門の方々の課題や構想のヒアリングを通し、解決策の立案を行います。 - ソリューション開発・提供
課題解決や構想実現に向けて、最適なソリューションやプロダクトがまだ世の中に無い場合は実証実験も含め、開発・提供を行います。
※リスキリングは、たとえ社会人であっても昨今の環境や技術の大きな変化に伴い個々人が新たなスキルを学ぶことであり、新たな職場に就くことや職場は変わらずとも新たな職種に就くといった前提になる。アップスキリングは現在保持しているスキルを更に向上させるために学ぶことであり、今の仕事内容や職種は同じままの前提。
地方自治体へのコンサルティングの狙いは?
ここまで様々な地方自治体に対するコンサルティングサービスをご紹介しました。
ではこれらのサービスを実施する目的はどこにあるのでしょうか?
一般論として地方の企業を顧客とするよりも、都心の大企業を顧客とする方が案件金額は大きくなる傾向にあります。つまり、収益面からはコンサルティングファームにとって魅力的ではない地方自治体へサービス展開しているのですが、話題性や宣伝効果を狙っている、と筆者は推測しています。
明確に収益外の意図が謳われている事例は少ないですが、先進企業との提携による実績積み上げを狙っていると思われる点や話題性がある取り組みが多いことからも収益外の意図を伺うことが出来ます。
「こういった先進的な取り組みをしています」というアピールは案件獲得以外にも、例えば人材獲得にも有効です。新卒入社の社員を募集する際のアピール点として利用したりすることが想定されます。
以上、コンサルティングファームの地方自治体へのサービス展開をご紹介しました。
まとめ
いかがでしたでしょうか?各社様々なコンサルティングサービスを、地方向けに提供していることがお分かりいただけたかと思います。
特徴として、明確に収益外の意図が謳われている事例は少なく、収益外の意図(社内育成など)も含めて地方におけるコンサルティングサービスを提供している点があげられます。
「地方創生」などを企図したコンサルティングサービスは話題性も大きく、各社今後とも積極的に取り組んでいくのではないでしょうか。
また地方の自治体のみならず、公共団体や商工会議所など地方の社会課題解決にとりくむ団体としても、自身で保有していないノウハウ(企業成長・多様な企業の取りまとめ、DX構想等)を持つコンサルティングファームと協働で課題解決に向けた取り組みを推進するメリットは大きいと考えます。
少子高齢化や企業の減少など地方に関する課題は今後より顕在化してくるでしょう。その点で引き続き注目していく必要がある領域だと思います。
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執筆者
- 外資系コンサルティングファームにて戦略、業務、ITプロジェクトと幅広く経験。現在はベンチャー企業のマネージャーをしながらフリーのコンサルタントとしても活動中。
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