コンサルファームやコンサル業界の情報サイト | コンサルのあんなこと、こんなこと

NEW

読了まで 5

AIだけが理由じゃない。「戦略案件」の減少から見えてくるコンサル業界の新たな転換点

AIだけが理由じゃない。「戦略案件」の減少から見えてくるコンサル業界の新たな転換点

市場拡大の裏で進む、収益優先モデルへの変容

コンサル市場は2024年度には2.3兆円規模となり、この7年で2.4倍もの拡大を続けています。一方で、コンサルの現場では「戦略案件が減っている」という声が聞こえてきます。需給は膨らんでいるのに、なぜ、本質的な課題解決に繋がる支援が減っているのでしょうか。そこには、景気変動に伴う投資領域の変化に加え、コンサルファーム側の変容が見えてきました。本記事では、「戦略案件の減少」からコンサル業界の変化を紐解き、コンサル選びの新たな局面について解説します。

戦略コンサル案件は本当に減っているのか

当メディアを運営するコダワリ・ビジネス・コンサルティングはフリーコンサルタント向けの案件紹介サービス「Consul Partners」を展開しており、自社支援案件に限らず、業界全体にわたる多様な案件を取り扱っています。その中で今、私たちが顕著に感じている変化が「戦略案件」の減少です。

実際に、Consul Partnersにおける案件比率を調査したところ、2025年2月時点で全体の12%を占めていた戦略案件が、2026年2月には4%へと減少していました。中でも、「新規事業戦略」や「M&A戦略」といったプロジェクトの減少が目立ちます。

この流れは、弊社独自の事象に留まりません。他社のパートナークラスの方たちとの会話においてもよく耳にしており、個別のサービスや特定のファームにおける一時的な現象ではなく、コンサル業界全体で起きている共通の事態であると考えられます。

理由①:景気後退局面での投資ポートフォリオの変化

戦略案件が減少している第一の背景として、企業の投資ポートフォリオの変化が挙げられます。

コロナ禍からの正常化を経て2026年4月時点で、政府・日銀の公式見解において景気判断は『緩やかに回復している』としていますが、実態としては物価高に伴う個人消費の弱さや不透明な国際情勢を受け、多くの企業がリスクの伴う先行投資を抑制する方向に動いています。その結果、成果が不確実な「中長期の戦略構想」は後回しにされ、投資対効果の明確な「実行支援」へと予算が寄っているといえます。

景気後退局面の代表例の一つであるリーマンショック時、コンサル業界にどのような影響があったのかについて、以下の記事でまとめていますので興味がある方はご一読ください。

理由②:コンサルファームの収益構造の変化 

もう一つの要因は、コンサルティングファーム側の変容にあります。市場の急拡大に伴い、多くのファームがより確実な収益確保を狙い、案件の「大型化」と「長期化」を志向するようになりました。

かつての戦略案件は、数ヶ月で鋭い知見を出す「短期間・少数精鋭」のプロジェクトが主流でした。しかし現在、多くのファームは安定した稼働率を維持するため、システム導入やPMOといった、大人数のスタッフを長期間投入できる「実行支援」へのシフトを強めています。

この収益構造の変化は、提案の内容にも影響を及ぼしています。本来あるべき「中立的な第三者視点」による戦略提言よりも、自社の稼働を最大化させるための「実行ありき」の提案、あるいは自社ソリューションの導入を前提とした「名ばかりの戦略案件」が増加しているのが実情です。

事業会社から見れば、一見「課題解決」という看板を掲げていても、その実態は自社の真の課題解決よりも、ファーム側の利益を優先した提案にすり替わっているケースもあるのです。

理由③:AIの進化による「戦略の内製化」

今後さらに、「生成AI」が戦略案件の減少に拍車をかけるでしょう。

リサーチ、多角的なデータ分析、さらには仮説構築といった業務の多くは、今やAIで代替可能な領域になりつつあります。従来、多額のコストと膨大な工数を要した「定石に基づいた市場分析」や「標準的なフレームワークの適用」は、今後はAIによって、事業会社側で迅速かつ低コストに一定のクオリティまで引き上げることが可能になります。

この流れは、企業による「戦略の内製化」を一段と加速させるでしょう。外部の専門家に依頼し、ゼロから戦略を練り上げてもらうことの相対的な価値は、今後さらに低下していくことが予想されます。

これからのコンサルティング活用の現場では、AIでも出力可能な「綺麗なスライド」や「正論の構想」ではなく、AIには代替できない自社固有の泥臭い課題解決や、実行フェーズにおける不確実な意思決定をいかに支えられるかが、より厳しく問われる時代へと突入していきます。

コンサルティングの変容:戦略と実行の境界が曖昧に

一連の「戦略案件の減少」の根底には、戦略と実行の境界が急速に曖昧になっているという、コンサルティングの本質的な変容があります。

かつては「戦略(構想)」と「実行(現場)」は明確に分離され、コンサルタントには「純粋な考える人(思考のパートナー)」としての役割が期待されていました。しかし、変化の激しい現在の経営環境においては、絵に描いた餅に終わる戦略単体では価値が出にくくなっており、最初から「実行」を前提とした実効性のある戦略が強く求められるようになっています。

これに伴い、コンサルタントに期待される役割も

“考える人”→現場を“動かす人”

へと明確にシフトしています。

事業会社側がコンサルに求めるのは、単なるアドバイスではなく、泥臭い実行フェーズまでを見据えた伴走力です。 結果として、レポート一冊で完結するような「従来型の戦略案件」は統計上減少して見えますが、それは戦略が不要になったわけではなく、実行と分かちがたく結びついた、より高度で実利的な支援へと姿を変えたに過ぎません。

コンサル選びの難易度は上がっている

ファーム側の収益構造の変化やAIによる内製化の進展など、多様な要素への考慮が求められる昨今、コンサルティングファームの選定難易度はより高まっています。

これまでは「大手ファームだから安心」「特定領域に強いブティックだから専門性が高い」といった、ブランドや規模に基づく判断が一定の指標となってきました。しかし、領域が曖昧になり、ファーム側が自社の稼働確保を優先しがちな現在、コンサル選びの見極めが大切になってきています。

事業会社がパートナーを選ぶ際、以下の3つの観点を確認することをお勧めします。

①「第三者視点」が担保されているか:ファーム側の都合による「工数消費」や特定のソリューション導入ありきの提案に終始していないか。
②自社ソリューションに誘導されていないか:課題解決の手段が、そのファームが売りたい製品やサービスに偏っていないか。
③戦略と実行の両方に強みがあるか:綺麗な戦略を描くだけでも、単に言われた作業をこなすだけでもない。自社の固有の文脈を理解し、現場を動かす「実効性」をどこまで担保できるか。

まとめ

戦略案件減少の背景には、主に以下の3つの要素が絡んでいるとお伝えしました。

・景気後退に伴う企業の投資ポートフォリオの変化
・コンサルファーム側の収益構造の変化
・生成AIの普及による戦略策定の内製化

さらに、コンサルティングの本質そのものが、“考える”→“動かす”へと変容したことで、従来型の戦略案件は減少し、より実効性を伴う高度な支援へと進化を遂げています。

コンサルの役割が変わりつつある今、ブランドや規模といったこれまでの基準だけでパートナーを選ぶことは、リスクになり得ます。第三者視点で真の課題を見抜き、実行までを見据えたパートナーの選定が、今まで以上に重要となってきます。

弊社では、特定のソリューションに依存しない「第三者視点での支援」を重視しています。また、自社課題に応じたコンサル選定についてもご支援しています。本質的な成果を求めるパートナー選びに課題を感じている方は、ぜひ一度こちらからお問い合わせください。

[v354]

執筆者

大谷内 隆輔
大谷内 隆輔コダワリ・ビジネス・コンサルティング株式会社 代表取締役社長
アクセンチュアにてファーストキャリアをはじめ、以来20年超コンサル畑で事業戦略からITコンサルまで幅広くこなす。大企業の経営課題に対して包括的に俯瞰し、全体的なロードマップと解決に向けた推進に強みを持つ。
  • RSS

執筆者

大谷内 隆輔
大谷内 隆輔コダワリ・ビジネス・コンサルティング株式会社 代表取締役社長
アクセンチュアにてファーストキャリアをはじめ、以来20年超コンサル畑で事業戦略からITコンサルまで幅広くこなす。大企業の経営課題に対して包括的に俯瞰し、全体的なロードマップと解決に向けた推進に強みを持つ。

PICKUP注目記事

RANKING人気記事ランキング

一覧

NEWS新着ニュース

一覧

PICKUP注目記事

BACK TO TOP

BACK TO TOP

×
ニュースレター登録
×
ニュースレター登録