【2026年】企業のDX投資最新動向|直近案件から見えた重点テーマと求められる人材
AI導入だけでは終わらない、DX市場は“実行力”重視へ
富士キメラ総研の調査によると、国内のDX関連投資は2024年度の約5兆円規模から、2030年度には約9.3兆円規模へと拡大すると予測されています。
そこで、当メディア運営企業が提供する案件紹介サービス「Consul Partners」が取り扱う案件傾向を分析したところ、現在のDX市場が抱える課題と企業の戦略的な取り組みが見えてきました。
近年は生成AIの活用拡大やクラウド移行の加速を背景に、全社規模での業務改革や基幹システム刷新案件が増加しています。また、企業が優先的に予算を投下しているテーマとして、以下の4つの領域が浮かび上がってきました。
・AI活用
・クラウド移行
・サイバーセキュリティ強化
・SAP刷新
一方で、企業が求めているのは単なるIT導入支援ではありません。AIやクラウドを前提に、業務改革や全社変革まで推進できる人材への需要が急速に高まっています。その背景には、技術導入に加え、複雑化・大規模化するプロジェクトを推進できる人材の不足も顕在化しています。
本記事では、直近案件から見えたDX市場の変化と、今後企業が優先的に対応すべきテーマ・求められる人材像を整理します。
目次
DX推進本格化による案件の拡大
案件群は、金融、製造業、IT・通信、エネルギー、製薬、小売、公共・自治体など、多岐にわたる業界をカバーしています。これは、あらゆる産業でDX推進が本格化しており、その実現に向けたシステム刷新や業務改革が活発化していることを示しています。
特に、大規模な基幹システム刷新や新規事業立ち上げ案件に加え、それらを横断的に推進するPMO・プロジェクトマネジメント需要の高まりが顕著です。進捗・課題管理だけでなく、複数部門やベンダーを巻き込んだ推進力が求められています。
DXを支えるテクノロジーとプロジェクト動向
生成AI活用を起点にPoCから実装フェーズへ移行
最も注目すべきトレンドは、AI、特に生成AI(LLM、AIエージェント、RAG等)の活用を求める案件の急増です。活用領域も、サービス提案支援、プロダクト開発、業務改革(BPR)、SOC高度化、テスト自動化、AI人材育成など多岐にわたっています。さらに、従来のPoC(概念実証)支援にとどまらず、企画構想から実際のシステム実装、運用、定着化まで、あらゆるフェーズでAIの知見が求められています。
こうした変化の背景には、企業がAIを単なる技術トレンドではなく、競争力強化や生産性向上に直結する「戦略的ツール」として位置づけ始めたことがあります。特に近年は、AIエージェントを活用した業務自動化や、生成AIによる開発プロセス改善など、具体的な業務適用を前提とした案件が増えている点も特徴です。
主要コンサルファーム各社のAI投資動向を整理した記事はこちら↓
また、データドリブン経営を推進するため、DWH(データウェアハウス)やETL(抽出・変換・読み込み)、BIツール導入、データガバナンス整備など、データ活用基盤強化に関する案件も増加しています。TableauやDatabricksを活用したデータ分析・施策立案支援も広がっており、AI活用と連携しながら、ビジネス課題の整理からデータ活用戦略策定まで一貫した支援が求められるケースも目立っています。
引き続き拡大するクラウド・SAP刷新需要
既存インフラの近代化も、引き続き企業の重要な投資テーマとなっています。
- クラウド化とSaaSの浸透: 主要パブリッククラウド(AWS, Azure, GCP)への移行や、マルチクラウド環境の最適化が重要なテーマとなっています。また、SalesforceやSAP S/4HANA Public CloudといったSaaS型基幹システムの導入も活発です。
- ERP/PLMの刷新: 特に製造業を中心に、SAP S/4HANAへの移行は大きな波となっており、グローバルテンプレートの適用など、高度な知見と調整力が求められています。
“守りのDX”として存在感を増すサイバーセキュリティ
サイバーセキュリティ関連案件の増加も、現在のDX市場を象徴する特徴の一つです。企業にとってセキュリティ対策は、単なるIT部門の課題ではなく、事業継続性や経営リスクに直結する重要テーマとなっています。
実際の案件では、CTEM(継続的脅威曝露管理)やGRC(ガバナンス・リスク・コンプライアンス)ツール導入、SOC(セキュリティオペレーションセンター)高度化、ID管理・アクセス管理の刷新(IAM/PIM/PAM)、ゼロトラストアーキテクチャ検討、ランサムウェア対策など、多岐にわたる対策需要が拡大しています。
特に金融業界では、AML(アンチ・マネーロンダリング)対応や3ラインディフェンス強化、金融庁検査対応など、厳格な規制要件に対応するための専門性・実務経験が強く求められています。加えて、企業グループ全体でのセキュリティガバナンス強化が喫緊の課題となっていることが窺えます。
DX大規模化で高まるPM・PMOの重要性
DX案件の大規模化・複雑化に伴い、PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)やPM(プロジェクトマネージャー)人材への需要が急速に高まっています。
- 高度なプロジェクト推進力:進捗・課題・リスク管理だけでなく、多岐にわたるステークホルダー間の調整や合意形成、ベンダーコントロールまで担える推進力が求められています。
- ビジネスとITを横断する上流支援:業務プロセス分析(As-Is/To-Be)やFit&Gap分析、RFP(提案依頼書)作成支援など、ビジネスとITの両面を理解したコンサルティングスキルが重視されています。
- システムライフサイクル全体への対応力:設計・開発・テスト・移行・運用設計といった実行フェーズ支援も引き続き多く、システムライフサイクル全体を横断して推進できる人材が不可欠となっています。
企業が求めるDX人材像とは
DX案件の高度化・複雑化に伴い、企業が求める人材像も変化しています。
求められるDX人材 =「技術力」×「業界理解」×「ビジネス推進力」
単なる技術力だけでなく、論理的思考力や構造化・ドキュメンテーション能力、コミュニケーション能力、ファシリテーション能力などを備えた、“ビジネスを前に進められる人材”への需要が高まっています。
特に重視されているのが、「自走力」と「プロアクティブな推進力」です。指示待ちではなく、自ら課題を発見し、関係者を巻き込みながら解決へ導けるリーダーシップが求められています。
また、SAP、クラウド、AI、サイバーセキュリティといった専門スキルに加え、金融・製造・製薬など業界特有の知識を持つ人材への需要も高まっています。さらに、グローバル案件の増加を背景に、多国籍チームや海外ベンダーと連携できるビジネスレベル以上の英語力を求める案件も増えています。
加えて、多くの案件で「ハイブリッド」ワークが定着しつつある一方、金融機関案件などではフル出社が求められるケースもあり、柔軟な対応力も重要になっています。
今後のDX市場はどうなるのか
現在の案件傾向は、企業がデジタル化の波に乗り遅れないよう、戦略的なIT投資と業務改革を加速させている状況を鮮明に映し出しています。特にAI、クラウド、サイバーセキュリティは、企業の競争力や事業継続性を左右する「インフラ」として認識され、その導入・活用・強化が最優先事項となっています。
これにより、先端技術への理解に加え、深い業界知識やプロジェクトを推進できるマネジメント能力を兼ね備えた「ハンズオン型」のコンサルタントやITプロフェッショナルへの需要は、今後も高まり続けると予測されます。また、グローバル化の進展を背景に、英語によるビジネスコミュニケーション能力は必須要件として一層重要度を増していくでしょう。
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執筆者

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コダワリ・ビジネス・コンサルティング株式会社 コンサルティングカンパニー 営業・マーケティング
新卒からアプリやWEBの受託開発を行うSIerに入社し、営業活動に約4年間従事。主に金融系クライアントに対して提案活動を行いつつ、マネジメントも経験。その後、コダワリに入社し、営業活動の傍ら、営業企画やマーケティング企画業務も兼任している。
執筆者

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コダワリ・ビジネス・コンサルティング株式会社 コンサルティングカンパニー 営業・マーケティング
新卒からアプリやWEBの受託開発を行うSIerに入社し、営業活動に約4年間従事。主に金融系クライアントに対して提案活動を行いつつ、マネジメントも経験。その後、コダワリに入社し、営業活動の傍ら、営業企画やマーケティング企画業務も兼任している。




















