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コンサルティングファームが手掛けるテーマを分類|コンサル7つの領域
コンサルティングテーマを大きく7つの領域に分類して解説
【2021年11月更新】
様々なコンサルティングテーマがある中で、コンサルティング領域を7つに整理しリライトしました。
多くのコンサルティングファームがありますが、それぞれ得意とする領域(戦略、ITなど)があり、それによって戦略系コンサルティングファーム、IT系コンサルティングファームなどの様に分類されています。
当記事では、このような○○系コンサルファームの分類についての解説ではなく、コンサルティングテーマ(コンサルティング領域)についての説明と整理整頓に主眼をおきます。対象テーマを7つに分類し、各領域を表すピクトグラムを使いながら解説していきたいと思います。
また、各領域についてのより詳しい解説は別記事としてシリーズ的に執筆していく予定です。その為、当記事における各領域に関する説明はサマリ的な意味合いに留めることをご承知おき下さればと思います。
なお、○○系コンサルファームの分類と代表的なコンサルティングファームについて、詳しくはこちらの記事をお読みください。「コンサルカオスマップ2021」を公開|コンサルファームの業界地図
目次
戦略領域
戦略領域では、クライアントの将来に大きく影響する経営方針や事業戦略の立案などを手掛けます。顕在課題のみならず、将来のマーケットを踏まえ潜在課題を見据えた支援を行うため、抽象度も難易度も高い領域です。
担当するプロジェクトのカウンターパートは、CEOをはじめとした経営層であることが多く、コンサルタントには非常に優れた能力が求められます。
こんな課題を支援します
●M&Aも視野に入れた成長戦略を描きたい
●国内マーケット縮小を前に、今までのような事業計画では成長が見通せない
●急速なグローバル化に対応し次代を担う新たな事業を創出したい
◆ピクトグラム解説◆
戦略領域:「地球を背景に戦略を練る諸葛孔明」
インターネットの普及や国内労働力不足などを背景に、企業のグローバル経営が喫緊の課題となっている中、諸葛孔明のような優れた戦略で事業の成功を支える姿をイメージしました。
中国の歴史書「三国志」に登場する諸葛孔明は、戦略や戦術に長けていたことから天才軍師といわれています。のちに蜀(現在の四川省)の王となる劉備を支え、軍事や政治において能力を発揮した人物です。現代に諸葛孔明がいたら、有能な戦略コンサルとして活躍しているのではないでしょうか。
業務(ビジネス)領域
業務領域の支援内容は、クライアントの業務改善や業務フローの策定など。深い専門知識と第三者視点を活かして、売上向上やコスト削減、品質向上などを支援します。業務内容にフォーカスしたコンサルティングを行うため、実際に業務を行う現場に常駐するケースが多くなります。
また、昨今は業務とITが深く関わっているため、ITコンサルの知識も必要とされるほか、組織人事、会計、SCMなど多岐に渡る領域をカバーします。
こんな課題を支援します
●今より早く決算数値を出すために会計業務全般を見直したい
●売り上げを伸ばすため、営業プロセスや仕組みを改善したい
●輸出業務に人的ミスが多いため、品質向上を目的とした業務フローを整備したい
◆ピクトグラム解説◆
業務(ビジネス)領域:「プロセス(1本の矢)に一撃を加える空手家」
業務のプロセスに手を加えるという意味合いで、空手家に扮するコンサルタントが一撃で不要業務を削減する様を表現しました。
現場の作業者や管理者だけでは本質的な課題を見出せなかったり、そもそもリソースが足りなかったりして、業務改善が進まないという状況はよく見られます。そんな状況でも業務コンサルタントなら、様々な知識や手法を活かして一撃で推進していきます。
IT領域
IT領域では、IT戦略立案や課題抽出、ERPパッケージの導入やデジタルツールといったシステム開発導入のプロジェクト支援などを手掛けます。企業に存在している様々な問題を、ITを武器として解決していくことがITコンサルの役割です。
昨今では、企業におけるDX推進の加速を背景に、戦略コンサルや総合コンサルなどもIT領域を跨いだ支援を行っています。コンサルタントとSEのスムーズな連携を構築するため自社内に開発部隊を持つファームも増えており、IT領域の案件獲得競争は激化しています。
こんな課題を支援します
●DX推進が急務だが、どこから手をつければ良いか分からない
●デジタルデータを踏まえ、新規事業の戦略を策定したい
●業務効率化と収益向上を図るため既存システムを刷新したい
「ITコンサルタント」のさらに詳しい解説はこちらの記事をお読みください。
◆ピクトグラム解説◆
IT領域:「プロセスをデジタルで最適化する技師」
企業の課題を前に、戦いを有利に進めるために最適な「武器(=ITシステム)」を選定・導入するイメージを表現しました。
他にもIT戦略やIT組織の構築、ガバナンス強化等ありますが、今回はITシステム最適化をイメージしました。
人事・組織領域
人事・組織領域の支援内容は、組織戦略・改革支援のほか、人材制度設計支援、評価や教育など各種制度検討などで、企業の経営資源であるヒト・モノ・カネのうち、「ヒト」に特化したコンサルティングを手掛けています。クライアントが抱える「ヒト」に関する課題を分析して見極め、解決策を検討・提案するほか、実行支援まで行うこともあります。
カウンターパートは、主にクライアントのCEO/COO、CHO、人事部長、人事部署などです。チェンジマネジメントプロジェクトなど案件によっては、人事部以外の部門と協力してプロジェクトを推進することもあります。
こんな課題を支援します
●グローバル展開に向けた組織の再編を行いたい
●労働人口が減少する中、優秀な人材を採用したい/離職を防止したい
●次世代の経営人材を育成したい
●従業員エンゲージメントを高め、組織力を強化したい
◆ピクトグラム解説◆
人事・組織領域:「人々を背景に工具を持つ人」
工具(=深い専門的な知見)を使って、組織を改善・強化する姿を表しています。
手にしている工具はスパナ。横からネジにアクセスする形状が特徴です。「ヒト」が関わる人事・組織領域の課題は、上(内部)から押さえるのではなく、第三者が横から支援することでうまくいくケースが多々あるのです。
FAS領域
FAS領域では、企業/事業の買収、売却、資本提携などのM&Aに関わる業務全般のコンサルティングを行います。FASとは、ファイナンシャル・アドバイザリー・サービス(Financial Advisory Services)の略で、企業の「カネ」に関する課題解決を専門とするコンサルティングサービスを指します。
財務や企業買収に関わる実務支援として秘匿性の高い情報を扱い、高度な専門知識が求められるため、FAS部隊には公認会計士、弁護士などの有資格者が在籍しています。また、カウンターパートは主に企業のCFOや財務・経理部長です。
こんな課題を支援します
●事業拡大のためM&Aを検討しているが、買収対象企業を選定・評価したい
●M&Aにおける難交渉を支援してほしい
●PMI(経営統合)を支援してほしい
◆ピクトグラム解説◆
FAS領域:「1棟の建物の前でドルを掲げる人」
企業である建物を前に、「カネ」の面から強力に支援する様子です。
M&Aでは、合併・買収により別々の企業が1つの企業となってシナジー効果を生むことで競争力を強化します。また、FAS領域にはクライアント企業に対して財務・会計面でのアドバイス業務を行うCFOアドバイザリーの役割もあります。
事業再生領域
事業再生領域では、事業再生計画策定支援やキャッシュフローの改善支援など、業績不振・債務超過等に陥っている企業に対してコンサルティングを提供します。企業の再建に向けて、主に「事業の再生」「財務の再生」の2つのアプローチによって、スピード感のある支援を行います。
コスト削減やオペレーション改革などの業務を、クライアント企業に入り込んでハンズオン形式で取り組みます。企業の命運を左右するプロジェクトに対し、短期間で成果を出さなければならないタフな領域です。
こんな課題を支援します
●グループストラクチャーの再編を支援してほしい
●事業及び子会社の売却を検討していきたい
●保有不動産のバリュエーションを通して売買か不動産開発かを検討したい
◆ピクトグラム解説◆
事業再生領域:「ピカピカの建物の前でチェーンソーを持つ人」
コンサルタントのスピーディで的確な切り込みによって事業再生に成功した企業を表しています。
チェーンソーは木の伐採などに使用されますが、事業再生領域でも事業・財務の両面から無駄をバッサリと切り落とします。チェーンソーは重量のある刃物。使い方を間違えれば命の危険に繋がります。事業再生も進め方を間違えれば即倒産となるシビアな領域です。
シンクタンク領域
シンクタンク領域では、経済基礎調査や産業動向調査、政策や制度の設計など、政策に関する「調査・リサーチ」「提言」を行います。シンクタンクには、政府や官公庁が母体の「政府系」研究機関と金融機関や大手企業が母体の「民間系」がありますが、いずれも官公庁や行政機関からの依頼を受け、社会的な問題を背景とした様々な課題を扱っています。
公共性が強い領域といっても扱うテーマは幅広く、ヘルスケアや防災、スマートシティ・モビリティ、エネルギーなど様々です。また、「民間系」では母体の金融機関のシステム構築などで培ったノウハウを活かしたITコンサル領域の支援なども行うほか、民間向けのコンサルティングサービスも提供しています。
こんな課題を支援します
●SDGs経営と日本企業への投資の関連性についての調査分析
●緊急事態宣言発令が日本経済に与える影響に関する分析
●マスクの適正な配布を検討し関係省庁に提案
◆ピクトグラム解説◆
事業再生領域:「国会議事堂の前で思案する人」
官公庁に対してリサーチデータを提供するイメージを表現しました。
公共性の高いテーマを扱うシンクタンクのレポートによって、国や国民・市民の将来が左右されるといっても過言ではありません。研究員やコンサルタントは調査やリサーチを提供するほか、そのデータに基づき実現性が高く効果的な方向性を指し示します。
今回、コンサルティングが扱う7つの領域について記事を執筆するにあたり、ピクトグラムを制作し分かりやすい解説を目指しました。他にもBPOコンサルやレベル感を変えればDXコンサル等もありますが、今回は7つの領域に止めております。
今後は、各領域毎にさらに詳しく解説していく予定です。メルマガやFacebookで記事公開の最新情報をお届けしておりますので、続編をすぐにお読みになりたい方はwebサイト右上からご登録ください。
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執筆者
- IT領域のコンサルティング、特にユーザーとの要件調整やユーザー装着を得意とする。新規領域でのコンサルとしてのキャッチアップの速さとユーザーとのコミュニケーション能力の高さで、プロジェクト推進・実行を支援。
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