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コンサルティング市場規模将来予測(~2030年)|コンサル市場規模2024年版~後半~
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日本国内におけるコンサルティング業界の市場規模予測( ~2030年) | 市場規模を左右する経済環境を織込んで算出
日本国内におけるコンサルティング市場規模(2024年版)の前半では、2017-2023年度の市場規模推定についてご紹介しました。2023年度は2兆23億円規模の市場であり、前年度比+9.5% (2017年からのCAGR:+13%)でした。後半となる今回はコンサルティング市場が今後どの程度成長するのかについて、「試算前提」「3ケースの予測」「考察」の3部構成でお届けします。
コンサル事業の将来戦略を検討中の方、コンサル事業への進出を考えている方、コンサル業界への就職・転職を考えている方など様々な方にとって有益な内容となっております。ぜひご覧ください!
目次
将来のコンサルティング市場規模の試算前提
コンサルティング市場規模の算出にあたっての前提を下記に記載します。
1.1 データ取得対象企業
- 内資・外資の主要なコンサルティング企業が対象
- 主要なコンサルティング企業はカオスマップ2024の掲載企業
- Big4のFAS系コンサルは総合系コンサル売上高に含む
1.2 コンサルティング以外の売上高
- 各コンサルティング領域で登場するシステム開発に関する売上高を極力除外
1.3 将来コンサルティング売上高の予測
- スタンダードケースでは、金利上昇に伴いINDEXは上昇するが、28年前後から停滞し始めると想定
- ポジティブケースでは、金利上昇に伴いINDEXは30年まで上昇し続けると想定
- ネガティブケースでは、金利上昇に伴いINDEXは上昇するが、物価上昇に需要が耐えきれず、28年前後から下降し始めると想定
- 各ケースのINDEX値は、日本だけでなくグローバル含めた外部環境の動向を踏まえて当メディア独自のロジックで設定
3つのケースでの将来市場規模~スタンダード、ポジティブ、ネガティブ~
スタンダードケース、ポジティブケース、ネガティブケースの3つに分けて、コンサルティング業界の市場規模の将来までの推移を試算しています。
2.1 3つのケースについて説明
- スタンダードケースとは?変数の将来推移や仮定で置いた数値を通常程度に想定したケースのことです。普通ケースとも言います。
- ポジティブケースとは?変数の将来推移や仮定で置いた数値をやさしめに想定したケースのことです。楽観ケース、アグレッシブケースとも言います。
- ネガティブケースとは?変数の将来推移や仮定で置いた数値を厳しめに想定したケースのことです。悲観ケース、コンサバケースとも言います。
2.2 スタンダードケース
- 2030年の市場規模は、2.5兆程度と試算
- 2023年から2030年までの成長率は+25%
図表1 日本国内コンサルティング市場(スタンダード予測)[十億円]
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2.3 ポジティブケース
- 2030年の市場規模は、2.76兆程度と試算
- 2023年から2030年までの成長率は+38%
図表2 日本国内コンサルティング市場(ポジティブ予測)[十億円]
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2.4 ネガティブケース
- 2030年の市場規模は、2.34兆程度と試算
- 2023年から2030年までの成長率は+17%
図表3 日本国内コンサルティング市場(ネガティブ予測)[十億円]
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コンサルティング業界の将来市場規模を踏まえた考察
ここでは、第二章を踏まえて、将来のコンサルティング業界市場規模を考察します。
3.1 足元は明るい、しかし・・・
上場ファームの決算状況(2024年版)で発表の通り、コンサルティング業界は24年も概ね活況です。依然として企業(特に大企業)からのコンサルティングニーズとなる経営課題や業務課題*が多く足元は明るいと言えます。
*コンサルティングニーズとなる経営課題や業務課題の例
・業務効率化やデータ利活用などをテーマとしたデジタル化、DX化支援ニーズの継続
・将来の人材不足問題である2030年問題への対応ニーズ(業務効率化の推進支援)
・人的資本経営やESG投資などの支援ニーズ拡大
・生成AIを含むAIの事業利活用についての戦略策定から実行まで幅広い領域でのニーズ拡大
しかしながら、コンサルティング市場規模へのマイナス要因となる状況も生まれています。
3.2 将来、マイナス成長に転じる主な想定要因 ~人材争奪戦の激化
近年、就職希望ランキング上位の常連となったコンサルティング業界ではありますが、2024年後半からコンサルファーム以外でも大手企業を中心に「初任給30万、35万、大学1年で内定」のようなニュースが就活界隈を賑わせており、優秀な人材争奪戦の激化が予想されます。
事業企業が優秀な人材獲得により力を入れ、人材を獲得・育成・維持して自社で経営課題や事業課題を解決できる土台ができると、割高な外部コンサルティングニーズが減少する、結果、コンサルティング市場規模が縮小トレンドに転じるといった可能性はあると考えられます。
3.3 将来、マイナス成長に転じる主な想定要因 ~グローバルな業界動向の余波
以前の記事(2023年版)では外部環境での転機が起き始めていると発信しましたが、今回のリサーチ結果では、いくつかのグローバルなコンサルティングファームにおいて、表面化したとも言える業績情報*を捉えました。
*グローバルファームにおける転機表面化の例
・アクセンチュア:売上高前年比 +4%と21年(+14%)、22年(+21%)から鈍化
・キャップジェミニ:売上高前年比 +2%(コンサルティングは堅調な一方でアプリ・オペレーションが鈍化、地域別ではアメリカが前年割れ)
・KPMG:従業員数(アメリカ)が減少(-6%)
コンサルティングサービスは各国内での労働集約型サービスという特性上、日本国内のコンサルティング市場が他国の経済状況の影響をすぐには受けません。しかしながら、世界で景気減速が起きると、日本輸出企業の業績悪化を発端に他の国内企業の業績悪化を招き、各企業の投資意欲が低下し、コンサルティング市場規模が縮小することが懸念されます。
まとめ
本稿では、日本国内の将来のコンサルティング市場規模(2023~2030年度)の予測について解説してきました。
- 2023年度の日本国内におけるコンサルティング業界の市場規模は2兆円。
- 日本国内におけるコンサルティング業界の2030年度の市場規模は、スタンダードケースで2.5兆円(2023年度から+25%成長)、ポジティブケースで2.76兆円(同+38%成長)、ネガティブケースで2.34兆円(同+17%成長)。
- コンサルティング市場規模の成長余地は狭まってきている。
本市場規模に興味をもっていただけた方は、ぜひ他の記事についてもご覧いただけると嬉しいです。
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執筆者
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- コダワリ・ビジネス・コンサルティング株式会社 コンサルティングカンパニー
- SIer・ITコンサルファームでのキャリアを積む。大規模システム刷新プロジェクトにおける業務要求定義からシステム導入運用まで幅広いフェーズや大企業でのDXにおけるPgMOのリーディングや実務をこなす。業務・IT双方へ精通し、関係者との迅速な関係構築のうえ、両面からの業務改革支援に強みを持つ。
執筆者
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- SIer・ITコンサルファームでのキャリアを積む。大規模システム刷新プロジェクトにおける業務要求定義からシステム導入運用まで幅広いフェーズや大企業でのDXにおけるPgMOのリーディングや実務をこなす。業務・IT双方へ精通し、関係者との迅速な関係構築のうえ、両面からの業務改革支援に強みを持つ。