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1.5兆円のコンサルティング市場規模(2022年現在)の将来予測|コンサル市場規模2022年版~本編②~
日本のコンサルティング業界の市場成長予測~経済状況に左右されるため、それらを折り込んで算出
前回は、日本におけるコンサルティング業界の2017~2021度の市場規模についてご紹介しました。これによると2021年度は1.5兆円の市場規模に到達し、2017年からすると4年で63%の成長でした。今回は、これからのコンサルティング市場がどの程度大きくなるのかについて、「試算前提」「3ケースの予測」「考察」の3部構成でお届けします!
コンサル事業の将来戦略を検討中の方、コンサル事業への進出を考えている方、コンサル業界への就職・転職を考えている方など様々な方にとって有益な内容となっております。ぜひご覧ください!
目次
将来のコンサルティング市場規模の試算前提
コンサルティング市場規模の算出にあたっての前提を下記に記載します。
1.1 データ取得対象企業
- 内資・外資の主要なコンサルティング企業が対象
- 主要なコンサルティング企業はカオスマップ2022の掲載企業
- Big4のFAS系コンサルは総合系コンサル売上高に含む
1.2 コンサルティング以外の売上高
- 総合系とITコンサル系の開発領域は極力除外
1.3 将来コンサルティング売上高の予測
- スタンダードケースでは、日本のINDEX低下があるものの、総合の営業力が後押しし、コンサル業界が一人勝ちに近しい形になると想定
- ポジティブケースでは、日本のINDEX低下が起こらず好景気を想定
- ネガティブケースでは、対国際経済比率、日本経済の競争力低下・INDEX低下を想定
3つのケースでの将来市場規模~スタンダード、ポジティブ、ネガティブ~
スタンダードケース、ポジティブケース、ネガティブケースの3つに分けて、コンサルティング業界の市場規模の将来までの推移を試算しています。
2.1 3つのケースについて説明
- スタンダードケースとは?変数の将来推移や仮定で置いた数値を通常程度に想定したケースのことです。普通ケースとも言います。
- ポジティブケースとは?変数の将来推移や仮定で置いた数値をやさしめに想定したケースのことです。楽観ケース、アグレッシブケースとも言います。
- ネガティブケースとは?変数の将来推移や仮定で置いた数値を厳しめに想定したケースのことです。悲観ケース、コンサバケースとも言います。
2.2 スタンダードケース
- 2027年の市場規模は、2.2兆程度と試算
- 2021年から2027年の成長率は39%
日本国内コンサルティング市場(スタンダード予測)[十億円]
2.3 ポジティブケース
- 2027年の市場規模は、2.7兆程度と試算
- 2021年から2027年の成長率は69%
日本国内コンサルティング市場(ポジティブ予測)[十億円]
2.4 ネガティブケース
- 2027年の市場規模は、1.8兆程度と試算
- 2021年から2027年の成長率は15%
日本国内コンサルティング市場(ネガティブ予測)[十億円]
コンサルティング業界の将来市場規模を踏まえた考察
ここでは、第二章を踏まえて得られる示唆について確認していきます。
3.1 スタンダードケースの場合、売上が2兆円を突破
スタンダードケースの場合は、売上が2.2兆円と、2兆円を突破しています。これは、コロナ禍になって、企業経営の真価が各企業に問われる中、主にDXやデジタル関連施策に対する大企業においてのコンサルティング需要増に伴って伸長した市場規模が、将来においても収縮することなく、伸びているということを示したモデルになっていると言えます。2兆円というのは2022年のゲーム市場とほぼ同じですので、かなり大きな市場となっていることもわかるかと思います。
3.2 ポジティブケースの場合は、総合系の売上伸長が寄与
ポジティブケースの場合は、2027年で2.6兆円とかなり売上が伸びています。それにかなり寄与しているのが総合系コンサルティングファームの売上です。近年、Big4やアクセンチュアなどのコンサルティングファームが採用を強化していますが、近年のコンサルティング需要に見合った供給を行うことで、受注件数を増やし、それに伴った売上増が市場規模に反映されていると言えるでしょう。
3.3 ネガティブケースにおいてもかなり大きい市場規模
ネガティブケースの場合は、一定下がってはしまうものの、2027年でも1.8兆円予測とかなり大きいです。このようになっている背景としては、下記3点が推測されます。
- 2017‐2021年のコンサルティング市場規模推定結果や、その期間中の経済情勢を踏まえると、2022年度にはかなり成長するものの、それ以降は微減と想定
- 日本の生産人口率は低下の一途だが、コンサルティング業界に携わる人口は大幅には減らない
- コンサルティング業界の従業員1人当たりの売上がかなり大きい
2点目について、コンサルティング業界は、通常の製造業等の産業とは違い構造上、非正規労働者が少ない業界となっています。この意味で、コンサルティング業界は、日本の生産人口の低下の煽りを受けるものの、業界に携わる人口は大幅には減らないといえます。このことが本格的に顕著になるのは、日本の将来推計人口(平成29年推計)から2030年前後からと想定されます。
3.4 全体俯瞰からも見込まれる高いコンサルティングニーズ
今後、世界各国のインフレ抑制政策に伴う経済市場の冷え込みが想定されるなか、”2025年の崖”への対応は待ったなしの状態であり、ポジティブにとらえると、コンサルティング市場規模は継続して拡大すると想定できます。
- デジタル化、DX化の促進
- “2025年の崖”を見据えたDX関連の企業対応事項が存在しており、その対応目途が立つまでは引き続きコンサルティング業界を牽引すると考えられる。
- 特に日本では、生産人口率の減少で、あらゆる業界・業種で人材不足が深刻化している。そのため、IT,Non IT双方での業務効率化の推進が急務となっている。
- 一方、既存業務以外に割く時間が多くはないため、業務効率化を推進するプレーヤーが社内外に必要である。特にITのみならず、経営・業務も俯瞰して対策を実行できるITコンサルタントの需要は増えると思われる。
- 拡大するコンサルティング業界の中での風潮
- コンサルティングニーズとなる経営課題や業務課題はいっそう多様化・複雑化し、コンサルティングの高度化が市場から求められ、生き残りをかけた競争が激化する。
- 生き残り競争が激化するにつれて、純粋なコンサルティングだけでなく、異業種への参入や新規事業開拓などコンサルティング業界の動きが多様化していくと思われる。
まとめ
本稿では、日本国内の将来のコンサルティング市場規模(2022~2027年度)について解説してきました。
- 2021年度の日本におけるコンサルティング業界の市場規模は、1.5兆円である。
- 日本のコンサルティング業界の2027年度の市場規模は、スタンダードケースで2.2兆円(2021年度の1.39倍)、ポジティブケースで2.6兆円(同1.69倍)、ネガティブケースで1.8兆円(同1.15倍)となっている。
- 市場規模2兆円は、2020年のゲーム市場程度であるので、かなり大きい市場である。なお、先々見えてくる3兆円規模となると、2022年のリユース(中古)業界がこれに該当し、今後の更なる拡大が期待される。
といったことがわかりました。
本市場規模に興味をもっていただけた方は、ぜひ他の記事についてもご覧いただけると嬉しいです。
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執筆者
- アクセンチュアにてファーストキャリアをはじめ、以来20年超コンサル畑で事業戦略からITコンサルまで幅広くこなす。大企業の経営課題に対して包括的に俯瞰し、全体的なロードマップと解決に向けた推進に強みを持つ。
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