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コンサルファームの入社難易度・働き方を業界マップを使って解説|Big4やIBM・NRI等のファームを網羅
コンサル7つの領域ごとに入社難易度や働き方・待遇について定性的にまとめました
就職、転職先として人気のコンサルティング業界ですが、その支援内容は多岐にわたるため、コンサルティングファーム各社が得意とする領域は7つに分類できます。本記事では、領域ごとに異なる入社要件や難易度の傾向について、主要なコンサルファーム64社をマッピングした「コンサルティング会社 カオスマップ」を使ってまとめました。
とはいえ、同じ領域に属するファームであっても、各社ごとの特徴や強みは異なります。ですから、「ブランド力があって有名だから」「先輩が働いているから」などの理由だけで就職・転職先として絞り込むのはあまり賢明ではないのはもちろん、最終的にはきちんと個社ごとに企業研究をし、理解を深めた上で挑むべきであることは申し添えておきます。
目次
コンサルファーム カオスマップの見方と入社難易度や働き方について
カオスマップの見方・ポイント
カオスマップとは、特定業界における事業者を、項目に応じてカテゴライズした「業界地図」です。当社が提供している「コンサルティング会社 カオスマップ」では、コンサルティングファームの得意領域を7つに分類し、さらに詳細に中分類区分を設けています。
コンサルティングには様々な領域があり、DX推進需要の拡大などにより各社が手掛ける領域がより複雑化する中で、今のコンサル業界を直感的に捉え、業界構造をわかりやすく把握できるように作成しました。
・複雑化する分類を、より実態に沿うように大分類・中分類にカテゴライズ
たとえば、「業務」系は、トップライン向上や業務効率化などを軸とする「ビジネス」と、ITサービス導入支援を軸とする「IT」に細分化しています。
・明確に線引きできない得意領域を矢印で表現
マップ上の矢印はカバーする領域を示します。矢印上にある企業群は同じ領域に属しますが、位置は順不同であり分類に沿うものではありません。
※弊社調査に基づき主たる領域を示していますが、実態はご自身でご確認いただくことをお勧めいたします。マッキンゼーなどもデジタル部門を作るなどしておりますが、少々領域をカバーしている程度の場合には入れないようにしております。
※当カオスマップを転載及び使用する際には、必ず出典として当記事のURLを載せていただくようお願い致します。
※当カオスマップ記載のロゴにつきましては、事前に各社様に事前許諾を得ていないものがございます。当マップへの掲載に問題がある場合は、大変お手数ですが「お問い合わせ」 よりご連絡ください。速やかに修正させていただきます。
カオスマップや掲載企業についての詳細、2023年の業界考察については以下記事をご覧ください。
入社難易度や働き方について
前提として、新卒採用と中途採用とで求められる要件や難易度は異なります。2つを厳密に切り分けて書いてしまうと、全体的な傾向を押さえるには不適となるため、今回はあくまで新卒と中途のケースを包括して定性的にまとめていきます。かつ、コンサル業界内での相対的な定性情報をご認識下さい。
各領域について主として以下項目でまとめていきます。
●支援内容
●入社難易度
●経験、能力、学歴の要件や傾向
●選考あるある
●激務度/働く環境
●高難易度の会社
カオスマップのコンサル業界分類と入社難易度
総合系コンサルティングファーム
総合系とされるだけあり幅広い領域をカバーしているため、カオスマップ上には分類区分はありません。
●支援内容
戦略、組織人事、業務、ITまで一貫してサービス提供を行う。Big4は一部戦略やFAS領域もカバーしている。会社としては幅広い領域をカバーするものの、組織としてはインダストリー(金融、製造、公共、通信、エネルギー等の業界)とオファリングやサービスライン(組織人事、マーケ、会計、IT、M&A等)に分かれており、コンサルタントとしてはいずれかのチームに所属し専門性をつけるキャリアが一般的です。
●難易度
総合系ファームは、戦略コンサルの部隊や、SI部隊やBPO部隊を持つファームもあるため、職種やポジションによって難易度は異なります。戦略コンは難易度極めて“高”、一般的なコンサルタント職については難易度“高”となります。コンサルタント職に比べて、システム開発やBPOを主たる職務とするポジションでは相対的に難易度は“低”となります。
●経験、能力、学歴の要件や傾向
新卒や若手未経験でチャレンジする場合、学歴は早慶以上が基本とされますが、現在はMARCH以上の入社実績も増えています。
中途の場合には、エントリーするポジションやチームに親和性のある業界や業務の経験を有しているかが重要です。ITエンジニア経験があると評価され易く、IT未経験の場合は大手企業での企画職経験が望ましいとされます。
●選考あるある
新卒・中途若手は通常の面接に加え、ケース、適性検査が行われることが大半です。新卒に限ってはインターンなどでグループディスカッションが取り入れられることがあります。
面接2~3回で1回はケースあり、且つケースも基礎的なフェルミ推定などが行われることが多いので、基本対策はせめてしっかりしておきましょうという感じです。ITチームの場合は、ケースが行われない若しくは行われても然程難しくないということがあります。
面接対策についてはこちらの記事をお読みください。
●激務度/働く環境
昨今コンサル業界の中でも働き方の改善が最も進んでいるのが総合系と言えます。SCまでのメンバクラスとなると、稼働調整が入り残業時間も40-50H以内に収められています。年収も高く優良ホワイト感があります。一方で、管理監督者となるM以上については、一般的には激務と呼ばれる水準の方々が多くいます。Mプロモ(昇進)した方からすると、私のWLB(ワークライフバランス)はいずこへ?状態になるのもあるあるです。ただ、それでも戦略系ほどではありません。
●高難易度の会社
ファーム全体では、デロイト トーマツ コンサルティング(DTC)とPwCコンサルティングの2社でしょうか。
戦略部門に絞った場合は、PwCのStrategy&、続いてアクセンチュアstrategyが挙げられるでしょう。
各領域の年収レンジについてはこちらの記事をご覧ください。
Big4の年収に関する記事はこちらになります。
戦略系コンサルティングファーム
●支援内容
中期経営計画の策定等経営方針や事業戦略の立案といった支援がメイン。顕在課題だけでなく、将来の潜在課題も踏まえた企業のあるべきを問うコンサルを行います。近頃は実行支援まで行うファームも増えてきてはいますが、多くは課題提言と構想策定を中心としています。
●難易度
少数精鋭の頭脳集団、コンサルの中でも当然最高難易度となります。
●経験、能力、学歴の要件や傾向
戦略コンは新卒採用文化が強く、新卒で超優秀層を採用し育てて(up or out)いきます。中途でも同じくですが、東大京大以上で普通であり、海外有名大MBAは評価されます。一方で、早慶クラスでは特に何も評価されることはありません。
スキルとしては、英語は必須であり、圧倒的な論理的思考力も求められます。
●選考あるある
とにかく選考を通して地頭を確認され続けます。面接対策≒とにかく地頭を鍛え続け、思考を高速で回せるようになるしかありません。
論理的思考力が求められるため、ひたすらケース面接繰り返すことが多いです。ケース内容はフェルミ推定よりもビジネスケースがほとんどとなり、難易度も高いものとなります。加えてディスカッションで面接官とどれだけ盛り上がれるかも大事です。
●激務度/働く環境
コンサル業界の中でもとにかく働きまくっているのが戦略系です。戦略案件は短期間かつ少人数でのプロジェクトが大半であり、いくら精鋭頭脳集団であっても稼働時間は長くなり、明け方まで仕事しているなんてことも普通に聞く話です。むしろ、稼働が長くなってしまうのは、自身の能力が低いことが原因という考えを持ち、outしないでとにかくupを目指す考えの方が多いです。
●高難易度の会社
MBBと称される、マッキンゼー、ボスコン、ベインが間違いなくSSSランクです。
各領域の年収レンジについてはこちらの記事をご覧ください。
業務(ビジネス)系コンサルティングファーム
●支援内容
売上向上、品質向上、業務改善、コスト削減、新規事業開発支援などを行います。クライアントの現場に近いプロジェクトが多く、近年はITコンサル領域との連携が必須とも言えます。
●難易度
総合系と難易度は同等です。中途の場合は、候補者バックグランドにより、エントリーするチームのインダストリーやサービスライン経験者であれば事業会社からの転職も可能です。
●経験、能力、学歴の要件や傾向
総合系とほぼ同じとなります。
●選考あるある
総合系とほぼ同じとなります。
●激務度/働く環境
総合系とほぼ同じとなります。
●高難易度の会社
各社横並びであり、特定ファームが抜けて難易度が高いということはありません。
各領域の年収レンジについてはこちらの記事をご覧ください。
業務(IT)系コンサルティングファーム
●支援内容
IT戦略策定など、ITを使って何を実現するのかなどの検討支援から実装・実行までカバーします。IT投資の最適化や、IT組織構築支援など幅広いため、コンサル業界の中でもニーズも社数も多いのがここです。
●難易度
その他の領域比較して、さほど高くない難易度と言えます。中途であればIT経験があれば尚のことハードルは下がります。逆に、IT未経験でチャレンジする場合、難易度は一気に上がります。エンジニアからのステップアップでITコンサルに転職したと思ったら、しっかりエンジニア職だったなんてことが“あるある”なのもこの領域です。
●経験、能力、学歴の要件や傾向
中途であればほぼIT経験はマストと言えます。学歴はGMARCH位を求められることが多いです。
●選考あるある
面接においてケースなどは行われることはほぼありません。新卒やSE中途転職者などは受け身ではないか、コミュニケーション能力があるかなどを確認されます。そのため、提案経験やクライアントとのこれまでの関係性、プロジェクトでの取り組みを聞かれることが多いです。個人で手掛けた業務のみならず、アサインされていたプロジェクト全体の目的やクライアントの課題などを把握しているかも大事となります。
テクノロジーを売りにするファームやチームの場合は、自己研鑽の内容や興味のあるサービス、テクノロジーを聞かれることもあります。
●激務度/働く環境
ITコンサルは長期間のプロジェクトが多いこともあり比較的平和です。ただし、炎上したら耐え、どうにかリカバリーするのみとなります。
●高難易度の会社
各社横並びであり、特定ファームが抜けて難易度が高いということはありません。
各領域の年収レンジについてはこちらの記事をご覧ください。
シンクタンク系コンサルティングファーム
●支援内容
官公庁や地方自治体、民間企業からの依頼を受け、リサーチや分析、政策提言などを行います。親会社や関連企業向けに戦略策定支援やITコンサルも行います。
●難易度
総合系などと同じく高いと言えます。学歴などの高さや職歴の少なさで判断される傾向があることも特徴です。
●経験、能力、学歴の要件や傾向
学歴は重視され、旧帝大、早慶以上が評価されます。
中途採用では、大手事業会社や官公庁出身が好まれます。一般的に経歴の綺麗さを見られるため、転職回数が多かったり大手企業経験がなかったりすると厳しいです。
●選考あるある
選考や面接にこれといった特徴はありません。中途でも新卒採用面接で聞かれるような「何故コンサルなのか?」「何がしたいか?」などをきちんと聞かれる印象です。中途採用の専門性の高いポジションにおいては、レポートなどの事前課題が課されることもあります。
●激務度/働く環境
シンクタンク部門かコンサル部門かで異なりますが、全般的に落ち着いて働くことができます。親会社や官公庁からの案件の恩恵という面で、売上や案件規模に追われることはあまりないようです。
●高難易度の会社
各社横並びであり、特定ファームが抜けて難易度が高いということはありません。
各領域の年収レンジについてはこちらの記事をご覧ください。
FAS(M&A)系コンサルティングファーム
●支援内容
M&A支援、DD、PMIなど企業買収に係る一連の支援を行います。また、CFOアドバイザリーも行うほか、フォレンジックやガバナンス対応支援*なども手掛けるため、コンサルの中でも専門性の高い領域です。
*クライシスマネジメントとして事業再生部門がカバーするケースもあります。
●難易度
Big4はじめ外資系のM&Aアドバイザリーは戦略に匹敵する難易度と言えます
●経験、能力、学歴の要件や傾向
投資銀行出身、会計士資格保有者などが多く、M&A関連の実務未経験で中途採用にチャレンジするのであれば、かなり難易度は高いと言えます。
コンサル経験者でもM&Aアドバイザリーは戦略コンサル出身者が歓迎され、業務コンサルやITコンサルだとPMIのチームが現実的です。
学歴は早慶以上で普通という評価です。
●選考あるある
総合系とほぼ同じとなります。若手向けにはケースが出ることもあります。
●激務度/働く環境
部門によって異なりますが、投資ファンドから依頼を受けて短期DD案件など回している部署は常に稼働が高く、終わっても終わってもDDということを聞きます。DDでなく、M&Aアドバイザリーも戦略コンサルに近しい側面があるため、戦略系と近しい働き方となる場合があります。
フォレンジックなどの危機対応部署も有事の際には、瞬間風速的に稼働が上がることがあります。
●高難易度の会社
そこまで特定ファームが抜けている印象はありませんが、YCPは難易度が高いかもしれません。また、Big4の中ではPwCアドバイザリーが挙げられるでしょう。
各領域の年収レンジについてはこちらの記事をご覧ください。
FAS(事業再生)系コンサルティングファーム
●支援内容
業績不振、債務超過に陥っている企業もしくは事業に対し立て直し支援を行います。事業と財務の両面から支援していき、再生後のバリューアップ支援なども手掛けます。
●難易度
同じ領域でも、事業再生先に入り込むハンズオン型支援を行うファームは難易度が高くなります。
●経験、能力、学歴の要件や傾向
学歴は早慶以上が好ましいが、キャラクターによってはGMARCH優秀層でも選考に通過する例はあります。コンサル業界の中でも、フィジカルタフネスとメンタルタフネスが必要な領域です。
●選考あるある
総合系とほぼ同じとなります。若手向けにはケースが出ることもあります。どれだけクライアントのことを思って最後までやり切れるかが求められるため、クライアント志向の強さは確認されます。
●激務度/働く環境
事業再生という短期間での立て直しが求められる業務内容であるため、プロジェクトによっては戦略系とあまり変わらず高稼働となります。また、クライアントやその経営者がそもそも厳しい状況にある中で、さらに厳しい切り込みを入れていく必要があるため、メンタルが強くないと厳しい業務ですし、そのような環境でより逞しく鍛えられていきます。
●高難易度の会社
IGPIやアリックスパートナーズなどが難易度が高いと言えるでしょう。
各領域の年収レンジについてはこちらの記事をご覧ください。
組織・人事系コンサルティングファーム
●支援内容
経営戦略や事業計画に基づき、それらを実現するための最適な組織の設計や改革を行います。また、評価制度の最適化や人材開発支援なども行います。
●難易度
組織戦略策定や人材戦略策定、チェンジマネジメントなどを行うポジションや部署は戦略コンサルの要素も入ることもあり、難易度高となります。一方で、人材開発(研修)支援や採用改革などのロールは相対的には難易度低となります。
●経験、能力、学歴の要件や傾向
学歴は、早慶以上が基本とされますが、現在はMARCH以上の入社実績も増えています。
中途の場合、大手企業での組織戦略策定や人材戦略策定などと同等の経験必須となりますが、人材開発や採用改革の場合は営業経験者でもポテンシャル評価されることもあります。
●選考あるある
総合系とほぼ同じとなります。
人事領域への興味関心、想いなど価値観を重要視する傾向があります。
●激務度/働く環境
総合系とほぼ同じとなります。人材開発(研修)支援や採用改革支援は、業務の性質上どうしても出張や夜遅い時間までの稼働が一般的となってしまう場合があります。
●高難易度の会社
マーサーが該当すると言えます。
各領域の年収レンジについてはこちらの記事をご覧ください。
まとめ
コンサルティング領域によって、相対的に求められる要件や働き方の違いについて傾向を把握いただけましたでしょうか。業界全体としては優秀な人材が活躍しているため、結果として一定以上の学歴が求められるなどありますが、中途での転職では、ご自身がこれまで経験してきた業務内容や業界との親和性が重視されるようになってきます。
新卒でも中途でも入社難易度とご自身のやりたいこと、できることを把握してエントリー先を検討することは重要です。入れる、入れないだけでなく、ご自身のキャリア設計という観点でも今回の定性情報をインプットの一つにして、しっかり検討いただければ幸いです。迷ったら是非ご相談下さい。
当社ではコンサルに特化した転職サポートやフリーランス向けの案件紹介サービス、副業をしたい方への支援も行っております。今後のキャリアについて相談したい方はぜひお気軽にお問合せください。現役コンサルからフリーのコンサルまで、あなたのステージに合った働き方をご支援します。お問い合わせは▶▶▶こちらからお気軽にご相談ください。
なお、7つの領域の違いや、コンサル業界全体を把握したい方は「図解即戦力 コンサルティング業界のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書」をぜひお読みください。Big4やMBBなどその他の主要コンサルティングファームにはどのような特徴があるのかなどを分かりやすく解説するほか、コンサルティング業界の市場規模や動向、コンサルタントのキャリアパスなど、コンサル業界にまつわるあらゆる情報を網羅的に明示しております。
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執筆者
-
外資自動車メーカー2社を経験した後、コダワリにジョイン。
コンサルティングワークもこなす傍ら、人材紹介事業の事業責任者やコダワリの人材開発業務や採用統括業務など含めて幅広に従事。
著書紹介
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外資自動車メーカー2社を経験した後、コダワリにジョイン。
コンサルティングワークもこなす傍ら、人材紹介事業の事業責任者やコダワリの人材開発業務や採用統括業務など含めて幅広に従事。