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コンサル業界の離職~なぜ、若手は3年目で転職を考え出すのか~
キャリア3年でコンサルが転職を意識する理由とは
「コンサル大量採用時代」といわれていますが、その一方でコンサル業界の離職率は高めです。キャリア3年での転職は他の業界でもあるあるですが、コンサルの場合はどのような背景があるのでしょうか?現役コンサルが明かします。
目次
ワークライフバランスを意識する年次
そもそも、コンサル3年目とはどのような年次なのでしょうか?3年目というと、新卒で入社したタイミングであれば、経験を積んだコンサルタントとしてプロジェクトでも戦力として大いに期待されているはずです。
最近入社した社員の方の1次レビューを担当するなど、次のランクに期待されるような動きも実施することで責任範囲が増え、言ってしまえば、より一層ハードな労働環境になっていきます。
上記のような背景から考えられる要因は、以下二つあると思います。
1.ワークバランスの担保を意識するようになる
新卒から年齢も重ねてきて、「だんだん徹夜が厳しくなった」や、「もう少しライフ (私生活)を充実させたい」という希望を抱くようになった方が、転職を検討されているイメージです。
こちらの記事でも紹介しておりますが、コンサル業界はとにかく激務な傾向にあるため、働きすぎで肉体的にも、精神的にも体調を崩す方も珍しくなく、また、仕事中心の生活になりがちです。
入社したての頃は年齢的にも体力が有り余っているので、少々無理をしてもまかり通ることが多いですが、年次を追うと、そうはいかないケースが出てきます。そのため、20代後半~30代前半にかけて、長期的な観点での”無理のないサステナブルな働き方”を模索するコンサルが多くなります。
2.ライフステージの変化が出始める
第1の要因で挙げた、純粋に体力的な厳しさを感じ始めている方々に加えて、第2の要因として、年齢的にも、ライフステージの大きな変化が出始める年次になるという点が挙げられます。
新卒入社した方は特に、学生時代からお付き合いをされている方との結婚を意識し始めるタイミングが、3年目あたりの年次であることが多いイメージです。
家庭を築く、子供が生まれる、などといったライフステージのタイミングで、「より家庭にコミットする時間を大切にしたい」という希望から転職を真剣に検討される方もいらっしゃいます。
ただ、今は各コンサルファームで人材不足対策の一環として、ワークライフバランスの充実に力を入れています。制度も年々充実してきていることから、ワークライフバランスを理由とした離職は一定数減少傾向にあることは確かです。
▶コンサル業界の福利厚生についてはこちらの記事をご参照ください。
酸いも甘いも分かってくる年次~コンサルの外へ抜け出す道~
ワークライフバランス担保以外の方向性としては、「コンサルが自分のやりたい方向では無くなった」というケースもあります。筆者の周りでは、こちらのケースの方が増えてきたような実感があります。
プロジェクトに関わっていく内に、「コンサルとして綺麗な紙をクライアントに提案するだけではなく、実装するまでの一貫した経験をしたい」などイシューに対する主体的な関わり方を志向するようになったという若手が筆者の周囲にも多かったです。
また、特定の専門性を身につけたいという理由で大学院や専門学校に進学するなど、自身のキャリアプランの変化やスキルアップの志向性に合わせて離職を決意された方もいました。
上記のような理由でコンサルを離れた方にお話を伺ってみると、「自身の成長が感じられなくなった」というコメントも多く聞かれました。コンサルに求められる仕事が多様化している中でも、特定の領域のみをずっと手がけるアサインになっている場合、同じ作業の繰り返しで「自分の思考を使っている感覚にない」とのことでした。
どこのコンサルファームも、多かれ少なかれ「高級文房具」と言われるようなプロジェクトを抱えていることもあり、そこから抜け出せない場合には、満足度が下がってしまうこともあります。
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酸いも甘いも分かってくる年次~コンサルを極める道~
もう一つの方向性としては、「もっとコンサルとして鍛えられたい」という思いからコンサル⇒コンサル転職に踏み切るパターンです。
例えば、総合系コンサルファーム⇒戦略系コンサルファームに移ることで、”戦略を極める”道を選ぶ方や、戦略系や総合系のコンサルファーム⇒専門領域を手がけるブティックファーム(※)に移ることで、”特定領域の専門性を身につける”道を選ぶ方など、色々なパターンがあります。
若手コンサルの中でも、今後自身が更に伸ばしたいスキルがプロジェクト経験によって明確になってきており、そのスキルが自社内で習得することが難しい場合は、躊躇なく転職を決断する若手が多いように感じます。
(※)ブティックファームとは、特定領域に特化した高度なコンサル支援を提供する、少数精鋭のファームを指します。
▶詳細は、こちらの記事をご参照ください。
また、最近は上記のような高次元の話ではなく、「現職のコンサルファームでは、上司の指導が甘く、成長実感がない。コンサルタントとしてきちんと成長していきたい」という考えを持った若手コンサルが、武者修行目的で、今よりもより厳しいコンサルファームに転職するケースも増えています。
体感値ですが、上昇志向の強い方がコンサル業界には多い印象なので、成長機会を求めて“脱ぬるま湯”する方が一定数いるのも納得がいきます。
また、コンサル⇒コンサル転職では、どの会社も経験者のニーズがとても高い状況にあるので、比較的容易に転職が可能であるという点も、転職者数が増加している理由なのかもしれません。
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自身で主体性を持ったキャリアを描いていくこと
これまで挙げてきた理由は、離職理由として致し方ない部分もあります。大事なのは、「周囲に流されずに、自律的にキャリアを考えること」にあるのではないでしょうか。
コンサル3年目になると、離職を考える方も多く、よく日常会話のトピックにもなると思います。その中で、自分で納得できる理由を胸に抱いているのであれば、離職も考えるべきではないでしょうか。
ワークライフバランスに関しては、前段でも述べましたが、近年の柔軟な働き方に対するニーズ増に伴い、コンサルファームでも制度がかなり整備されてきていますし、特に育児・介護事由に伴う時短制度・休職制度も整っています。
また、自身のキャリアに関しても、事業会社と比較すれば希望をボイスアップできる環境はあると感じます。
プロジェクトが短期間の周期で変わる割合も多い都合上、「このプロジェクトに興味がある」や、「もっと厳しい環境に自分を置きたい」などといった希望を、社内のコネクション(人脈)を通じて伝えることができれば、自身の志向に応じたアサインがされる可能性もあります。
会社の中で使えるものは使った上で、どうしても希望が叶わない場合は、退職を検討した方が良いでしょう。
退職理由に関して、少し暗い話が続いてしまいましたが、これを「卒業」という意味でポジティブに捉えるか、それともネガティブに捉えるかは、自分次第です。
今後どのようなキャリアを選ぶにせよ、もしも「コンサルを辞めたいな」と思ったら、「周りがたくさん検討しているから」という理由ではなく、自身の適性や人生において優先したいことを念頭において検討して頂けることを祈っています。
ちなみに、本メディアを運営するコダワリ・ビジネス・コンサルティング株式会社は、コンサル⇔コンサルへの転職も、コンサル⇔事業会社への転職のいずれもご支援できます。
今後のキャリアについてお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。あなたに合った働き方を共に考え、ご提案いたします。
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執筆者
- 新卒で外資系コンサルティングファームに入社。以来、現在まで一貫してHR領域のコンサルタント、リサーチャーとして活動。2022年に独立。趣味は筋トレとカリンバ。
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