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初めてのクライアント常駐で学んだこと|「お客様の中で働く」とはどういうことか

初めてのクライアント常駐で学んだこと|「お客様の中で働く」とはどういうことか

常駐は現場感や業務理解の観点でコンサルキャリアの形成において非常に良い経験

事業会社からコンサルティング会社に転職し、さまざまな案件に参画しましたが、いずれも非常駐型の案件で、常駐型の案件には漠然とした抵抗感を持っていました。そんな私が、今回はじめて常駐型案件に参画し、体験した戸惑いや学びについて紹介していきたいと思います。

常駐先は、大手IT企業の立ち上げ間もない新規事業部署でした。10名程度の組織で、私は役員直下のハンズオンメンバーとしてアサインされ、新規事業の推進に携わりました。具体的には、自社・外部メディアを連動させたマーケティング戦略の実行から、ポスティング等のテストマーケティング、営業ツールの新規構築まで、事業推進のための幅広いオペレーションを担当しました。参画期間は3か月と少々短かったものの、得るものは大きかったと感じています。

今後、常駐案件に参画する、あるいは参画するかを検討しているコンサルタントの参考になれば幸いです。

常駐初日に戸惑ったこと

当たり前ですが、常駐初日から戸惑うことが多くありました。

最初に執務室に入ったときのことです。フリーアドレスと伺っていましたが、10名分のデスクには、大画面のモニターや拡張用のモニター、BOXガムなどが置かれており、暗黙のルールで座る人が決まっている様子。どこに座るか、という初手から戸惑ってしまいました。すると役員の方に「この席に座って」と言っていただき、難を逃れた気分でした。

作業環境も自社とは大きく異なりました。常駐先では先方のチャットツールとPCを使って業務を進めるため、自社のチャットやメールは別端末で確認することになります。客先の席で自社の画面を開くわけにはいかないので、自社側の通知は常駐中はオフにし、確認は休憩時間や退勤後にまとめて行うようにしました。常駐では「自社の情報を客先に持ち込まない」「客先の情報を自社に持ち出さない」という線引きを、初日から自分で設計する必要があることを実感しました。

そして初日に最も実感したのは、立ち上がり方の違いです。非常駐の案件では、キックオフで背景や論点を共有され、資料を読み込んでから動き出すのが通常の流れでした。一方、常駐先では整理された資料はほとんどなく、PCのセットアップを終えた直後に「まずこれをお願いします」と具体的なタスクを渡され、必要な情報は動きながら社員の方々に直接聞いて集めていく形でした。全体像を押さえてから着手するコンサルの型が通用しない環境で、「動きながら把握する」側に自分の仕事の進め方を切り替える必要があることを、初日に理解しました。

常駐ならではの気をつけた3つのこと

振り返ると大きく3つのことに気を付けながら業務を進めていました。

  1. 関係づくり
    常駐先には業務委託としてジョインしており、業務委託である自分が従業員の方々とどうやって関係性を築いていけばよいか、最初は難しさを感じていました。意識していたのは、コンサルタントとしての視点と現場を動かす社員の視点の両方を持つことです。幸いなことに私はコンサル会社/事業会社のどちらでも働いた経験があったため、双方の立場を理解する上で活きたかもしれません。
    また、基本的に出社していたことも、関係づくりには寄与したように思います。周囲の方々がどのような業務を進め、誰とどのようにコミュニケーションを取っているのかを日常的に観察することで、業務内容や立場、関係性を少しずつ把握することができました。そうした情報をもとに、周囲の状況を踏まえて、自分がどのように動くべきかを考えるようにしていました。

  2. カルチャー
    初日に感じた「動きながら把握する」進め方は、この部署のカルチャーそのものでした。100点でなくてよい、60点でよいからアウトプットを出す、考えて立ち止まるくらいなら、一つでも具体的なアクションを起こすことが正義といった感じでした。
    私自身、スタートアップのコンサル企業に所属していた時期もありましたが、今回の常駐先は、それともまた異なる判断の基準と進め方を持つ組織でした。そのため、自分の経験や感覚で判断せず、まずはその組織ならではの仕事の進め方や意思決定の特徴を理解することが重要だと考えました。そこで、そのカルチャーの中で働いてきた社員の方々に即座に相談し、認識をすり合わせながら業務を進めるようにしていました。社会人の基本ではありますが、異なる組織で成果を出すためには、その組織の価値観や判断基準を理解するとともに、周囲と連携するための「報連相」が重要だと改めて実感しました。

  3. 役割
    最大限バリューを発揮すべく、できる限りスピーディーに業務を前に進めることを意識していました。例えば、社員の方々が他の案件への対応に追われているときには、進められるところまで進め、業務を停滞させないようにしていました。一方で、自分が担うべき役割を区別し、あくまで業務委託の範囲で仕事を進めることが重要でした。(なんでも自分でやるのはNG!)
    あるとき、クライアントのインタビュー動画の公開に向けて、社員の方(以降Aさんと呼称)の確認が必要でしたが、なかなか確認の時間が取れなかったため、「クライアント確認だけでも進められないかな…」などと逡巡していました。そんなときに役員の方に「Aさんの確認とっていますか?Aさんに確認してから進めてくださいね」といったコメントを頂戴しました。そこで、自分が担うべき役割と責任範囲を改めて意識し、対外的なアウトプットについては社員の方に最終判断をしていただくことを徹底するとともに、自分で進められる作業は主体的に進めることを心掛けるようにしました。

信頼を得るきっかけになった小さなこと

信頼関係は結局日々の業務やコミュニケーションの積み重ねだとは思いますが、特に「即時対応」と「先回り対応」は信頼を得るきっかけになったのかなと思います。

・即時対応:緊急性が高いタスクがあった時に、即座にキャッチして率先して対応するようにしていました。社員の方々は継続して対応する固定業務が多い中で、突発的に発生する緊急性の高い業務を即座に対応できるのは業務委託の強みでもあるため、バリューの発揮しどころだと思っていました。

・先回り対応:依頼された業務をこなすだけでなく、今後発生しそうな業務や議論を想定し、先んじて準備・対応するようにしていました。これにより、社員の方々の負担を軽減するとともに、後続の業務を円滑に進めることができました。また、結果的に自分自身のアウトプットにかける時間の最大化にもつながっていたと思います。

そうした行動を積み重ねるうちにある社員の方から、私のことを評価している旨のコメントを直接言っていただいたことがありました。これをきっかけに関係性が深まり、他の社員の方々の業務内容や立場、関係性などを教えていただき、仕事が進めやすくなった印象があります。また、複数の社員の方々から話を聞くことで、それぞれの視点で立場や関係性をどう捉えているかがわかり、俯瞰して業務の進め方を検討できました。振り返ると、こうした関係を早い段階から築いていくことが重要だと感じています。

常駐中のちょっとしたエピソード
メディアの立ち上げにあたりインタビューに協力してくださった顧客に、御礼として菓子折りと直筆の手紙を送ろうということになりました。私は菓子折りの手配や手紙の原稿作成をして、最後は役員の方に手紙を書いていただく予定でした。ところが、「字があまりきれいではないため億劫だ」とおっしゃっていたため、私が小学生のときに書道を習っており字もある程度はきれいに書けることを伝えたところ代筆を頼まれました。(そこでも少し信頼を積み上げられた気がします笑)こんなところで小学生の習い事が活きてくるとは、人生はわからないものだなと思いました。

常駐だから得られた学び

コンサルという立場だと例えば「現場の業務が逼迫していて…」といった課題はよく聞きますが、その一言で改善の余地があるか、どう改善すべきかなどは考えられないことがよくわかりました。顧客からの問い合わせ一つとっても、どのツールで、どんなやり取りが行われていて、誰がどれくらい時間をかけているのか、顧客がどんな人かなど、現場感や業務を深く知らないと適切な打ち手の検討が難しいことも往々にしてあることを身をもって実感しました。

常駐先という普段とは異なる環境・カルチャーの中で、戸惑うことは当然ありますが、その中でも、常駐先の仕事の進め方やルールを理解し、「報連相」を徹底しながら、最大限バリューを発揮することが重要だと思いました。

その積み重ねが、信頼関係の構築・更なるキャッチアップにつながり、仕事が進めやすくなっていきます。

また常駐したことがない方からしたら、常駐に抵抗がある場合もあるかと思いますし、自分もその一人でした。ですが振り返ると、最初戸惑うことはありましたが、居心地の悪さなどは感じず、出社も現場感や業務理解には有効だったため、非常に良い経験だったと思っています。

[v382]

執筆者

K.N. 
組織人事をはじめとする多様な業界・領域へのコンサルティング経験や医療IT企業における営業企画・新規サービス構築のPMO等のバックボーンを有する。
キャッチアップの速さとステークホルダーを巻き込む推進力を強みに、企業変革を支援。
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