コンサル業界の女性活躍ランキング|東証プライム上場15社を3指標で比較
有価証券報告書の3指標を独自スコア化。コンサルファームの女性活躍をランキングで比較
近年、コンサル業界では、女性がキャリアを築きやすい環境づくりが進んでいます。育児との両立支援や柔軟な働き方に加え、女性管理職の登用など、各ファームがさまざまな施策を打ち出しています。
では、こうした取り組みによって、コンサル業界の「女性活躍」は本当に進んでいるのでしょうか。 育児と仕事は両立しやすいか、女性管理職はどの程度いるのか、男女間の賃金格差はあるのか。こうした人的資本に関する情報は、有価証券報告書で開示されています。
そこで本記事では、東証プライム市場に上場する主要コンサル15社の有報から「女性管理職比率」「男性育休取得率」「男女賃金格差」の3指標を抽出。独自の“女性活躍推進指数”としてスコア化し、ランキング形式で比較しました。
さらに、3つの指標を分解して見ると、ランキングだけでは分からない、各ファームの意外な違いが浮かび上がってきました。コンサル業界の女性活躍の実態と、そこから見えてくる今後の課題を詳しく見ていきます。
目次
「コンサルファームの女性活躍」調査概要
ランキングの発表の前に、まずは調査の対象に選んだ15社、評価に使ったデータ、そして順位を決める「女性活躍推進指数」の作り方を、順番に整理します。
- 調査対象:東証プライム上場のコンサル15社
対象は、東証プライム市場に上場し、女性活躍推進法の3指標をすべて開示しているコンサル関連企業15社です。
なお、持株会社は実態に近づけるため主要事業会社の数値を採用(シンプレクスのみ、事業会社単体の開示がないため連結値)。ドリームインキュベータは男女賃金格差を有報で開示していないため、指数の算出対象からは外し、参考として掲載します。 - 使用データ:有価証券報告書の3指標
評価に使うのは、各社が有価証券報告書の「従業員の状況」で開示する、次の3指標です(いずれも女性活躍推進法などに基づく法定開示)。
・女性管理職比率……管理職に占める女性の割合
・男性育休取得率……男性社員の育児休業取得率
・男女賃金格差……男性の賃金を100としたときの女性の水準(数値が高いほど格差は小さい)
数値は各社の直近の有価証券報告書(通期)に基づきます。決算期は会社ごとに異なるため、2025年9月期〜2026年3月期のデータを用いました。 - ランキングの作り方:3指標を偏差値化し、平均する
総合順位を決める「女性活躍推進指数」は、次の3ステップで算出しました。
①3指標それぞれを、15社の中で偏差値に変換する(平均が50、上位ほど高い)。
② 3つの偏差値を単純平均し、1社ごとの総合スコアとする。
③ スコアが高いほど、3指標を総合した女性活躍度が高いと評価する。
偏差値を用いた理由は、突出した1社に順位が引っ張られず、15社の相対的な立ち位置をフラットに比べられるためです。3指標は同じ重みで扱い、特定の指標だけを重視することはしていません。
【対象15社の3指標】
| 会社 | カテゴリ | 女性管理職比率 | 男性育休取得率 | 男女賃金格差(全) |
|---|---|---|---|---|
| ベイカレント ※ | 総合 | 2.0% | 91.0% | 76.5% |
| シグマクシス ※ | 総合 | 16.8% | 95.0% | 76.3% |
| 電通総研 | 業務(ビジネス) | 6.5% | 76.5% | 74.6% |
| ビジネスブレイン太田昭和 | 業務(ビジネス) | 17.6% | 71.4% | 66.5% |
| フューチャー | 業務(デジタル/IT) | 11.3% | 89.7% | 75.5% |
| マネジメントソリューションズ | 業務(デジタル/IT) | 21.0% | 85.2% | 75.0% |
| シンプレクス ◆ | 業務(デジタル/IT) | 7.9% | 55.4% | 81.1% |
| エル・ティー・エス | 業務(デジタル/IT) | 13.7% | 69.2% | 65.0% |
| 野村総合研究所 | シンクタンク | 11.7% | 90.9% | 73.1% |
| 三菱総合研究所 | シンクタンク | 12.8% | 75.0% | 82.9% |
| 山田コンサルティンググループ | FAS(事業再生) | 19.1% | 90.3% | 50.9% |
| フロンティア・マネジメント | FAS(事業再生) | 5.2% | 70.6% | 54.9% |
| リンクアンドモチベーション | 組織人事 | 19.9% | 93.3% | 75.7% |
| 船井総研 ※ | 中小企業向け | 23.4% | 88.9% | 62.2% |
| タナベコンサルティング | 中小企業向け | 38.6% | 100% | 65.5% |
| ドリームインキュベータ(参考) | 戦略 | 16.7% | 85.7% | 非開示 |
(表注)会社カテゴリは、当サイトの「コンサルティング会社カオスマップ2026年版」における分類に準ずる。「男女賃金格差(全)」の「(全)」は全労働者(正社員・パート・有期を含む全体)ベース。男女賃金格差は「男性の平均賃金=100」に対する女性の割合で、100に近いほど格差が小さい。「※」は持株会社のため主要事業会社(ベイカレント・コンサルティング/シグマクシス/船井総合研究所)の数値。「◆」シンプレクスは事業会社単体の開示がないため連結値。ドリームインキュベータは賃金格差が非開示のため参考(指数の対象外)。
「コンサルファームの女性活躍」ランキング
さっそく結果を見てみましょう。3指標の偏差値平均で算出した総合ランキングが、以下のとおりです。
【女性活躍推進指数ランキング】
| 順位 | 会社 | カテゴリ | 女性活躍推進指数 |
|---|---|---|---|
| 1 | タナベコンサルティング | 中小企業向け | 62.0 |
| 2 | リンクアンドモチベーション | 組織人事 | 56.7 |
| 3 | シグマクシス | 総合 | 56.2 |
| 4 | マネジメントソリューションズ | 業務(デジタル/IT) | 54.6 |
| 5 | フューチャー | 業務(デジタル/IT) | 52.3 |
| 6 | 野村総合研究所 | シンクタンク | 51.9 |
| 7 | 船井総研 | 中小企業向け | 51.8 |
| 8 | 三菱総合研究所 | シンクタンク | 51.6 |
| 9 | ベイカレント | 総合 | 49.5 |
| 10 | 電通総研 | 業務(ビジネス) | 46.5 |
| 11 | 山田コンサルティンググループ | FAS(事業再生) | 46.3 |
| 12 | ビジネスブレイン太田昭和 | 業務(ビジネス) | 46.3 |
| 13 | エル・ティー・エス | 業務(デジタル/IT) | 43.6 |
| 14 | シンプレクス | 業務(デジタル/IT) | 43.6 |
| 15 | フロンティア・マネジメント | FAS(事業再生) | 37.0 |
首位はタナベコンサルティング(62.0)。女性管理職比率38.6%・男性育休取得率100%と、2つの指標で突出し、頭ひとつ抜けました。続くリンクアンドモチベーション(56.7)、シグマクシス(56.2)も高水準です。
注目したいのは、上位に中小企業向け・組織人事・総合・業務系と、まったく異なるカテゴリが並ぶ点。業種タイプだけで女性活躍度は決まらないことがうかがえます。一方、下位にはFAS(事業再生)系(フロンティア15位・山田11位)が目立ちました。スコア幅は37.0〜62.0で、極端な独走はありません。
各社の実態と傾向
ここからは、ランキングの数字の“中身”を指標ごとに分解し、各社の実態と業界の傾向を読み解きます。
- 女性管理職比率:経営・中小向けが高く、総合・業務系が低い
高いのは、タナベ(38.6%)、船井総研(23.4%)、マネジメントソリューションズ(21.0%)、リンクアンドモチベーション(19.9%)、山田(19.1%)。経営・組織や中小企業向けなど、人と組織に近い領域で高めに出ました。
逆に低いのは、ベイカレント(2.0%)、フロンティア(5.2%)、電通総研(6.5%)、シンプレクス(7.9%)。技術者や専門職に男性が多く、管理職の母集団そのものが男性に偏っていることが背景と考えられます。 - 男女賃金格差:シンクタンク・大手ほど小さく、中小・FAS系ほど大きい
男性を100としたときの女性の賃金は、三菱総研(82.9%)、シンプレクス(81.1%)、ベイカレント(76.5%)で格差が小さい一方、山田(50.9%)、フロンティア(54.9%)、船井総研(62.2%)は開きが大きい結果に。
興味深いのは、タナベや船井は女性管理職比率が高いのに、賃金格差は大きいという点です。女性が事務・コーポレート職に、男性が高給の専門職に多いといった職種構成の差が背景にあると推測され、女性管理職の登用と男女間の賃金差異は、必ずしも同じ傾向を示すわけではないことが分かります。 - 男性育休取得率:全体的に高いが、一部に差
男性育休取得率は、タナベ(100%)、シグマクシス(95.0%)、リンクアンドモチベーション(93.3%)を筆頭に、多くが85%を超えました。ただしシンプレクス(55.4%)、LTS(69.2%)、フロンティア(70.6%)はやや低めで、制度の浸透度には差が残ります。
「女性活躍」の数字から浮かび上がる、3つの示唆
4つの指標の分析結果から、コンサル業界の女性活躍について3つの示唆が浮かび上がります。
- 業種タイプよりも「人・組織との距離」が直結
女性管理職比率が高いのは、経営・組織・中小企業向けなど、人と組織に近い領域のファームでした。クライアントの組織や人を扱う立場が、自社の登用にも表れていると読めます。上位のタナベ・リンクアンドモチベーションは、その象徴といえるでしょう。 - 「登用」と「処遇」は別問題──残る男女間賃金差異
女性管理職を増やすだけでは、賃金格差は縮まりません。タナベや船井総研のように、登用は進んでも賃金差は残るケースが目立ちました。コンサル業界では、女性がマネージャー(管理職)まで昇格しても、その上のパートナー・ディレクターといった超高給与層を男性が占めていれば、全社の平均賃金差はなかなか縮まりません。女性管理職の登用に加え、その先のキャリアや処遇にも目を向けることが重要です。 - 女性管理職を増やすには 「パイプライン」が鍵
ベイカレント・電通総研・シンプレクス・フロンティアなど、女性管理職比率が低い層では、管理職候補となる中堅層の女性が少ないことが背景にある可能性があります。今後、女性管理職を増やすには、採用から定着、管理職登用までの女性人材のパイプラインをいかに構築するかが重要になります。
コンサル業界の「女性活躍」をどう見る?ファーム選びのポイント
今回の調査では、コンサル業界の女性活躍が一様に進んでいるわけではないことが分かりました。女性管理職比率は、経営・組織や中小企業向けなど、人や組織に近い領域のファームで高い傾向が見られました。一方、男性の育休取得率は全体的に高いものの、男女間の賃金格差にはファームごとの差が見られます。
また、女性管理職比率が高いファームでも賃金差異が大きいケースがあり、女性管理職の登用が進んでいることが、必ずしも男女間の賃金差異の縮小に直結するわけではないことも分かりました。
今回作成したランキングは、3つの指標をもとに各ファームの女性活躍の状況を横並びで比較できるようにしたものです。まずはランキングで全体の傾向をつかみ、気になるファームについては、女性管理職比率、男性育休取得率、男女間賃金差異の各指標を見ることで、それぞれの特徴や課題がより明確になります。就職・転職でファームを選ぶ際には、年収や知名度だけでなく、こうした女性活躍に関するデータにも目を向け、自分が重視する働き方やキャリアと照らし合わせてみてください。
「女性が長く働ける環境か」「ライフイベントとキャリアを両立できるか」「自分の経験を活かせるファームはどこか」など、転職先選びで気になることがあれば、コンサル業界に特化した転職エージェント「ConsulCareer」に相談してみるのも一つの方法です。
今回紹介したデータだけでは分からない、各ファームの働き方やキャリアパス、実際の求人情報なども踏まえ、希望やキャリアプランに合ったファーム選びをサポートします。

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執筆者
- コダワリ・ビジネス・コンサルティング株式会社 アナリスト
- 学生時代に体育会で身につけた体力と精神力を糧に、アナリスト職として日々奮闘中。最近の趣味は業務プロセス設計。プライベートの時間は、ジムにスキーにダンスにテニスとアクティブ三昧で、「楽しく痩せる」をモットーにダイエットに励んでいる。
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