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FAS領域とは?を活用シーンと共に徹底解説!|クライアントの財務や企業買収、事業再生を支援 -コンサル7つの領域シリーズ-
コンサルティングファームが手掛ける「7つの領域」を解説するシリーズ。第五弾は「カネ」を通して課題を解決に導く「FAS(M&A、事業再生)領域」を解説します。
コンサルの仕事内容はクライアントの課題を解決に導くことですが、得意とするコンサルティングテーマや対象によって、その領域は大きく7つに分類することができます。今回は、FAS(M&A)とFAS(事業再生)の2つの領域について、事例を交えながら解説していきます。
FASは、Financial Advisory Service(ファイナンシャルアドバイザリーサービス)の略で、クライアントのおカネに係る問題解決を主として行う領域となります。FASは主にM&Aと事業再生の2つの領域に分けられます。本記事では、M&A・事業再生についてご紹介するほか、FAS領域に含まれるフォレンジックについても触れていきます。
= コンサル全7領域について、詳しくはこちら =
コンサルティングファームが手掛けるテーマを分類|コンサル7つの領域
目次
FASコンサルとは
FAS領域では、企業の経営資源であるヒト・モノ・カネのうち、「カネ」に特化したコンサルティングを行います。この領域は大きく「M&A」「事業再生」に分類されます。また、不正調査を行う「フォレンジック」もFAS領域に含まれます。
【FAS・事業再生ピクトグラム】
企業を「カネ」の面から強力に支援し、
無駄をバッサリ切り落として企業に輝きを取り戻します。
どちらも企業の存続に関わるシビアな領域です。
M&Aコンサルティング
「M&A」の業務は、企業/事業の買収、売却、資本連携などのM&Aに関わる業務全般のコンサルティングを行います。
M&Aは企業の合併・吸収であるため、買収後の組織再編成などさまざまな専門知識を伴う業務が発生します。そのため、M&Aを実施する企業のリソースやノウハウだけで進めることは難しい場合が多く、コンサル会社を活用することで、リスクを避けながら効率的にM&Aを行うことが可能になります。高い専門性が求められるFASのコンサルティング部隊には、公認会計士や弁護士といった有資格者が数多く在籍しています。
事業再生コンサルティング
「事業再生」の業務は、業績不振や債務超過等に陥っている企業・事業に対して、事業再生計画策定支援やキャッシュフローの改善支援などを行って経営の健全化を図ります。
事業再生コンサルタントは、クライアント企業の経営健全化に向けて、主に「事業の再生」「財務の再生」の2つのアプローチで支援します。多くの場合、クライアント企業に入り込む「ハンズオン」形式で、「コスト削減」や「オペレーション改革」などを行いながら、企業の運命を左右するプロジェクトを実行していきます。短期間で成果を出さなければならないタフな仕事であるといえます。
フォレンジック
「フォレンジック」の業務は、株主から見た投資先企業や、親会社から見た子会社などを対象に、会計の不正や各種法令違反、デジタル記録情報の調査・分析を行います。この業務は財務面の知識だけでなく、通信・データベース・サーバー運用などのITに関する高い知見と技術も求められる分野です。
FAS領域の代表的なテーマと活用シーン
ここからは先ほど分類した項目ごとに代表的なテーマとその活用シーンについて説明していきます。
1.M&A
└M&A戦略立案
└デューデリジェンス(DD)、バリュエーション
└PMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)
└M&A仲介
└CFOアドバイザリー*
*厳密にはFAS領域ではないですが、財務領域のスペシャリストとしてM&A案件とセットで請け負うケースが増えているため紹介します。
M&A支援は企業の合併・買収における全ての場面に関わるため、業務内容は多岐にわたります。
M&Aを通じた企業の将来像の定義づけをする「M&A戦略立案」、買収前の現状課題やリスクを網羅的に調査し、投資候補先の企業価値を算定する「デューデリエンス、バリュエーション」、M&A完了後の組織再編を行う「PMI」、投資候補先を紹介する「M&A仲介」、クライアント企業に対して財務・会計面でのアドバイス業務を行う「CFOアドバイザリー」があります。
〈支援活用シーン〉
例えば、売り上げの拡大・サービス向上のために同業他社の買収を検討している企業があるとします。そのような企業に対して、企業買収に精通するFASコンサルが活用されます。この場合は、買い手側と売り手側の双方の財務リスクを分析して、客観的な視点と市場動向を踏まえてM&Aが最適な手段かどうかをトータルで評価します。
2.事業再生
└事業再生支援
└企業再生支援
事業再生コンサルティングでは、窮地に陥っている企業に対してスピード感のある支援を行っており、業務内容は「事業再生支援」と「企業再生支援」に分けられます。
「事業再生支援」は、経営状況が悪化した企業の事業計画策定をするために、実態調査と再生方針の策定、デューデリジェンスの実施、再生計画案の策定、再生に向けた実行支援といった流れで進めることが多いです。
「企業再生支援」は、法的なものと私的なものに分けられ、法的なものには社会的にインパクトのある債務整理を行うために事業再生コンサルが活用されます。特に、民事再生法等の法律に基づいて事業再生を行う「再建型」と、破産等の方法で会社の解散と事業譲渡を組み合わせて事業再生を行う「破産型」の2種類を「法的再生」と呼びます。
私的なものは、法的再生による企業イメージダウンを避けるために、事業再生コンサルが支援を行いながら、会社と債権者の個人間で合意をとって事業再生を図ります。情報が外部に公開されないメリットがある一方で、法律の後ろ盾がないことで再生に協力的ではない債権者との交渉が難しくなるというデメリットがあります。
〈支援活用シーン〉
例えば、子会社に過剰な投資をしてしまったことで赤字回収が難しくなり、事業再生コンサルタントを活用したとします。
子会社で運営している1つの事業が出している赤字がグループ全体を経営難におとしめている場合は、不採算事業の撤退判断、事業再編用資金を銀行から借り入れるなどの迅速なテコ入れが必要であり、切迫した状況下でスピード感を持った立て直しを実施することが求められます。
3.フォレンジック
フォレンジックは法律が絡むような調査・情報解析を行います。架空取引や汚職といった競争法関連の調査やマネーロンダリング防止関連の調査など、「カネ」に関わることが大半で、高い専門性が求められる領域です。
近年はデジタルフォレンジック領域が伸びており、デジタル犯罪やデータの改ざんなどの調査・分析も行うため、ITに関する高い知見や技術を必要とします。また、会計不正についてもデジタルが関与している場合が大半であるため、FAS系のコンサルファームがデジタルフォレンジック部隊を設けていることが多いです。
〈支援活用シーン〉
例えば、株主や金融機関、監督官庁などから架空取引の調査や証拠取りの依頼を受けたとします。
裁判の証拠としても扱われるため、確実な証拠保全や分析根拠が必要になります。特にデジタルフォレンジックの場合は調査対象データが多いため、多くの時間を要することになります。
ここまで、FAS領域について解説しました。FASといってもさまざまな支援テーマがありますが、基本的には「カネ」を通してクライアントの攻めと守りの両面で支援をしていくコンサルティング領域とご理解下さい。
なお、7つのコンサルティング領域の違いや、コンサル業界全体を把握したい方は「図解即戦力 コンサルティング業界のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書」をぜひお読みください。
「コンサル7つの領域」シリーズでは、
・戦略
・業務(ビジネス)
・IT
・人事/組織
・FAS(M&A)/FAS(事業再生)
・シンクタンク
の7つの領域について解説しています。
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執筆者
- 新卒コンサル。趣味はサッカー観戦とラジオ。1日でも早く一流コンサルタントになるために現在はアナリストとして日々の仕事に励んでいる。
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- 新卒コンサル。趣味はサッカー観戦とラジオ。1日でも早く一流コンサルタントになるために現在はアナリストとして日々の仕事に励んでいる。