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日本国内のコンサルティング業界規模は、2兆円越え |コンサル市場規模2024年版~前半~

日本国内のコンサルティング業界規模は、2兆円越え |コンサル市場規模2024年版~前半~

前年比+9.5%で継続成長したが、コンサル領域によっては市場規模の天井が近いか

例年好評を得ている、日本国内におけるコンサルティング市場規模推定・予測の最新版を前半・後半の2本立てでお届けします。前半となる今回は過去・現在の市場規模推定編(2017-2023年)、後半は将来の市場規模予測編(~2030)として、2部構成で日本国内におけるコンサルティング市場規模について分析しました。

なお、各社決算情報が出そろうタイミングで実施する都合上、2024年版は2023年度までの推定となります。

日本国内のコンサルティング市場規模について、本稿では特に下記3点に言及し、示唆についても述べております。

業界全体の市場規模
・コンサル領域別の市場規模、占有率、CAGR(年平均成長率)
・コンサル領域別の成長率変化

早く結果が知りたい!という方は、3章「日本のコンサルティング市場規模は、2兆23億円(2023年度)」からご覧ください。

「日本のコンサル市場規模」執筆の背景

当メディアでは、2021年度から継続して「コンサル市場規模」の推定と予測を行っております。ここでは、当コンテンツを投稿する目的と継続的に発信する意義を明示いたします。

投稿の目的
・国内コンサルティング業界にいる方々に業界の全容と今後を把握してほしい
・国内コンサルティング業界に興味・関心のある方々に業界の現況を知ってほしい
・上記の方々に今後の業界の動向を考える一助にしてほしい

継続発信する意義
・国内コンサルティング業界がどのような成長をしてきたか、どのような状況だったかを追うことが可能になる
・前年度の予測を検証し、その正確性や軌道修正の必要性を確認するため
・今後の業界リサーチの糧としたい

前回同様、当メディア独自の確かな根拠に基づきデータを取得した上で推定・予測値を公開しております。国内コンサルティング業界の最新動向を継続的にウォッチする当メディアだからこそ提供できる情報です。発信内容を楽しんでいただけると幸いです。

過去の公開記事
(日本国内におけるコンサルティング市場規模 2022年版)
日本のコンサルティング業界規模は、1兆5,761億円|コンサル市場規模2022年版~本編①
1.5兆円のコンサルティング市場規模(2022年現在)の将来予測|コンサル市場規模2022年版~本編②
外資コンサルファーム(MBB、Big4など)の日本売上は世界全体の3~5%|コンサル市場規模2022年版~番外編①

(日本国内におけるコンサルティング市場規模 2023年版)
日本国内のコンサルティング業界規模は、1兆8,281億円|コンサル市場規模2023年版~前半~
日本のコンサルティング市場規模将来予測(2023‐2030)|コンサル市場規模2023年版~後半~

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市場規模を推定にするにあたっての方針

基本方針は前回同様としていますが、市場規模推定に利用した各種データは2023年度のものを採用しています(決算公表している企業であれば2023年度有価証券報告書を利用するなど)。

1.全体アプローチ
ピックアップした主要調査対象企業の売上高を取得・推定。これら主要企業が市場全体に占める割合を公的統計情報から推定し、日本のコンサルティング市場規模全体を算定。具体的には以下の通り。

2.調査対象企業
●日本国内で活動する内資・外資の主要なコンサルティング企業
 コンサルティング会社 カオスマップ2024を対象

3.調査対象企業の売上高推定方針
●推定方針
・企業公開情報(IR情報、統合報告書、有価証券報告書、Annual Report、会社案内、社員数、採用情報といった一次情報)から取得
・上記で取得できない場合は、弊社独自方針を基に売上高を算出(1企業でコンサルティング領域が複数存在する場合も考慮)

●外資売上高の考慮(外貨から日本円への換算)
・外資企業の売上高が外貨基準の場合、各社決算年月末日の為替レートで日本円に換算

●IT領域コンサルティングのコンサルティング以外の売上高考慮
・ITコンサルティング領域の売上高に含まれがちな、システム設計、開発、運用・保守などのコンサルティングに関わらない部分を極力排除。

4.市場規模の推定
経済産業省 経済センサス‐活動調査カオスマップ2024掲載企業の売上高から、主要なコンサルティング企業が占める市場割合を推定

一方で後半の「日本のコンサルティング市場規模将来予測(~2030)」では予測精度を高めるべく、多角的な視点を新たに取り入れています。

日本のコンサルティング市場規模は、2兆23億円(2023年度)

2017年~2023年で約2.1倍成長

図表1は、日本のコンサルティング市場規模の推定グラフです。

2023年度の日本国内のコンサルティング市場規模は2兆23億円と、前年度比+9.5%、2017年から2023年で約2.1倍の成長になります。年平均成長率(CAGR)は+13%で市場規模拡大が継続していることがうかがえます
(2020年度の市場規模減少(前年比)はコロナに伴う一時的に投資意欲が低下)

図表1


市場規模を押し上げた要因

過去の市場規模に関する記事でも述べている「DXトレンド」が2023年度においては特に根強く継続しております。クライアント企業単独での対応が難しく、引続きDX支援ニーズが高くなっているものと推測されます。

当メディアで取り上げている従業員数の増加状況からも高いコンサルティングニーズが市場規模に反映されていることが確認できます。コンサルティングファームの社員数はこれまで、本メディアにてまとめており、気になる方は参照ください。
グローバルのコンサルファームの社員数をまとめてみた(Big4・アクセンチュア+α) [2024年度版]

【コラム】 
市場全体のCAGRは+13%でしたが、一部の企業について2017→2023のCAGRを算出してみました。ここでは売上高を公表している上場ファームの中で、大手ファームでありコンサルティング事業の売上が一定以上大きい会社として、ベイカレント・NRI・シグマクシスの3社を調べてみました。

コンサルティング事業の売上のみで見たときの2017年度→2023年度のCAGR
 ベイカレントコンサルティング: 28.9%
 野村総合研究所: 7.0%
 シグマクシス: 11.8%


国内コンサルティング市場のCAGRが13%ですので、NRIやシグマクシスは妥当という印象です。一方でベイカレントの成長は突出したものであることがわかります。全体を遥かに上回る成長を果たしているのは、コンサル人材を増強し続けているからに他なりません。コンサル業界に身を置く方なら同社がここ数年非常に積極的な採用を行っていることはご存じだと思いますが、まさしくこの採用活動が同社の業績に直結していると言えるわけです。

コンサルティング領域別の売上高・市場占有率・CAGR

総合系による市場規模の押上げが継続

図表2は、2017年から2023年までの日本国内におけるコンサルティング市場規模を領域別に推定したグラフです。

図表2

2023年度のコンサルティング領域別市場規模、市場占有率、CAGR(2017–2023年)は

・総合系:市場規模12,389億円、 市場占有率 61.9%、CAGR +15.1%
・戦略系:同2,812億円、 14.0%、CAGR +15.4%
・業務・ビジネス系:同1,694億円、8.5%、CAGR +7.3%
・シンクタンク系:同946億円、4.7%、CAGR +8.4%
・業務・IT系:同857億円、4.3%、CAGR +7.4%
・FAS及びM&A系と事業再生系:同621億円、3.1%、CAGR +9.0%
・中小企業向け:同396億円、2.0%、CAGR +4.4%
・組織人事系:同307億円、1.5%、CAGR +11.7%

となっており、総合系が市場規模の押上げを牽引していることが分かります。

市場成長率の変化 ~領域別の市場規模前年度比から見えてくること

しかしながら、領域別の売上高成長率(前年度比)の変化をみると、領域によって市場成長の兆しに変化があるのではないかと推測します。

FAS(M&A系)および事業再生系

市場規模前年比(成長率)は前年度から急降下(+20.3%→+8.8%)しています。一方、日本経済新聞記事(矢野経済研究所の調査結果)*では、事業承継M&Aの市場規模は2035年まで伸び続ける予想となっています。左記調査結果では2025年から2035年にかけて市場規模は緩やかな上昇となっており、支援ニーズに対して供給が落着き始めたと考えられます。需給がバランスしてきたということは、関連コンサルファーム間の競争が激化する可能性が高まるのではないかと推測します。

*事業承継M&A、潜在需要13兆円超 35年まで増加続く – 日本経済新聞

シンクタンク系

市場規模前年比(成長率)は前年度から微減(+15.3%→+12.5%)しています。コロナ禍終息で先々の不透明感の解消が進んでいることにより、政府や官公庁から民間向けへの調査委託が減少したのではないかと考えられます。

組織人事系

市場規模前年比(成長率)は、2021年(+12.1%)、2022年(+18.1%)、2023年(+39.9%)、と上昇し続けています。人的資本経営(人的資本の情報開示)や働き方改革関連法の改正、健康経営などコンサルティング支援ニーズに加え、(「金利ある世界」が見えてきたころから顕著になってきた)人材争奪戦の激化により支援ニーズが高まったのではないかと推測します。

まとめ

本稿では、日本国内におけるコンサルティング市場規模推定・予測の前半として、「日本国内におけるコンサルティング市場規模推定(2017-2023年度)」について解説してきました。

・日本国内におけるコンサルティング市場規模は、2023年度2兆23億円
・CAGR(2017-2023)は+13.0%、市場成長率(前年度比)は+9.5%と依然市場は活況
・但し、コンサルティング領域別での成長率の伸び具合はマチマチで、組織人事系は成長が続いていると推定できる一方、FAS(M&A系)および事業再生系、シンクタンク系に成長鈍化の兆しあり。

最後まで読んでいただきありがとうございました。皆さんは、現在の日本のコンサルティング市場規模をどのように受取られたでしょうか?本稿をご覧頂き、“日本国内におけるコンサルティング市場規模の今後の予測が気になる!“と感じていただけるようでしたら、「日本のコンサルティング市場規模将来予測(~2030)」をご期待ください。

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執筆者

S.M.
S.M.コダワリ・ビジネス・コンサルティング株式会社 コンサルティングカンパニー
SIer・ITコンサルファームでのキャリアを積む。大規模システム刷新プロジェクトにおける業務要求定義からシステム導入運用まで幅広いフェーズや大企業でのDXにおけるPgMOのリーディングや実務をこなす。業務・IT双方へ精通し、関係者との迅速な関係構築のうえ、両面からの業務改革支援に強みを持つ。
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S.M.
S.M.コダワリ・ビジネス・コンサルティング株式会社 コンサルティングカンパニー
SIer・ITコンサルファームでのキャリアを積む。大規模システム刷新プロジェクトにおける業務要求定義からシステム導入運用まで幅広いフェーズや大企業でのDXにおけるPgMOのリーディングや実務をこなす。業務・IT双方へ精通し、関係者との迅速な関係構築のうえ、両面からの業務改革支援に強みを持つ。

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