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コンサルタントとして独立するために必要な手続きや準備あんなこと、こんなこと【失敗談も紹介】

コンサルタントとして独立するために必要な手続きや準備あんなこと、こんなこと【失敗談も紹介】

独立前に準備しておきたい!法定手続き&実務段取りTIPSまとめ

コンサルタントとしての実力が身についたら、次なるステップとして「独立」という選択肢が現実味を帯びてくるかもしれません。とはいえ、独立後すぐにコンサルティング業務に集中するためには、事前の準備と基礎知識が欠かせません。そこでこの記事では、コンサルタントが独立するときの注意点や必要な手続き、準備について解説します。また、失敗談もあわせて紹介しますので参考にしてみてください。

コンサルタントとして独立するとは?

企業の社員として働いているコンサルタントが「コンサルタントとして独立する」ことは、個人事業主になること、もしくは法人を設立することです。これはコンサルティング業に限らず、どの業界のどの職種でも同じです。

独立する前は労働者

個人事業主と法人について解説する前に、独立する前の状態を紹介します。これを知っておくと、より深く独立することの意味を理解できるでしょう。

独立していないコンサルタントは、コンサルティングファームなどの会社に勤めているはずです。会社に勤めているということは、雇用されている状態であり、その立場にある人のことを労働基準法において「労働者」といいます。労働者は雇用主(勤務先の会社や経営者)に労働を提供し、その対価として賃金を得ます。

個人事業主や法人を設立し独立すれば、労働者ではなくなります。個人事業主や法人を設立し独立したら、労働ではなく成果を提供し、給与ではなく報酬を得ます。そして個人事業主や法人の代表者は、誰からも雇用されません。

個人事業主として独立する

個人事業主になることは簡単で、税務署に開業届を提出するだけです。個人事業主も人を雇うことができますが、大抵は一人で事業を行っていきます。この状態のことをフリーランスと呼びます。

労働者と個人事業主の最大の違いは、会社に守られているか、会社の助けを借りることができるかどうかにあるでしょう。労働者は、自分が担当する仕事以外の業務は、すべて会社にやってもらえます。会社に勤めるコンサルタントであれば、経理、労務、税務などを社内のほかの人がやってくれます。しかし、個人事業主のコンサルタントは、本業のコンサルティングだけに専念することはできません。必要な業務を自分でこなすか、外注先に依頼しなければなりません。

また、個人事業主は株式会社に比べて社会的信用が低い傾向にあります。クライアントが大企業の場合は、個人事業主だと取引できないこともあるでしょう。一方、法人化しても株式会社の場合は、一定の資本金や売上、営業年数といった与信が見られるため、独立してすぐの信用力は個人事業主も株式会社も大差ないといえます。

法人として独立する

“法人として独立する”とは、株式会社や合同会社などの法人を設立して、その代表者に就任することです。法人を設立するには、法務局に登記する必要があります。

定款を作ったり、印鑑を作ったり、司法書士と連携し、法務局に行ったりと必要事項は多くあります。決算報告等を一人でこなすのは難しく、税理士活用等のコストも割高になるため、法人を設立するコストは個人事業主になるコストよりも多額ですし、手続きも複雑になります。

その反面、創業融資等の借り入れができることが法人化のメリットです。しかし、コンサルティング事業は設備投資等の元手が比較的かからないため、このメリットは半減します。コンサルタントとして独立する際は、個人事業主になり、事業が軌道に乗ってきたら法人を設立する、という段取りで進めるのが一般的です。

利益額と売上高がそれぞれ一定額を超えてくると法人の方がメリットある場合があるので、税理士と相談しながら将来の法人成りも視野に入れておくと良いでしょう。

コンサルタントとして独立する人は増加中

コンサルタントとして独立する人は増加傾向にあります。

フリーとして独立しているコンサルタントの正式な人数のデータは公表されていませんが、ランサーズ株式会社が2025年3月に発表した『フリーランス実態調査 2024年(https://www.lancers.jp/research_news/2024)』によると、フリーランス人口は1,303万人、経済規模は20兆3,200億円にのぼり、10年前と比較すると経済規模は+38.8%、フリーランス人口は+39.1%増加しています。

同時に、昨今、企業単独での対応が難しいDX支援ニーズが拡大しており、それに伴ってフリーランス向けの高単価案件も増加しています。こうした背景から、フリーランス全体の増加に加えてフリーコンサルとして独立する人の数も増えているのです。

独立する上で必要な法的手続き

コンサルタントが独立するときに必要になる法的な手続きを紹介します。

税務署への開業届の提出

開業届は、開業から1ヶ月以内に提出しなければなりません。期限内に提出しないと罰則がある訳ではないですが、事業所得が一定以上を超えて確定申告等を行う際には提出することになりますので、事業開始時の提出をオススメします。

また、申請時には屋号を付けることも可能です。法人では無いものの認知度向上のためにブランド名をつけたいという方は申請してみてください。逆に無理に作らなくてもOKです。

都道府県や市町村へ個人事業開始申告書の提出

開業届と同時期に、都道府県や市町村に対して個人事業開始申告書を提出しなければなりません。同じような届け出を行うのは少し面倒ですが、これは個人の事業に課せられる個人事業税が地方税にあるためです。

提出期限は自治体によって様々で、都道府県と市町村の両方に提出しなければならない自治体と、どちらか一方でよい自治体など対応が分かれています。手続き前にまずはご自身の住む自治体に問い合わせてみるとよいでしょう。

※出さなくても特段影響が無いなど諸説あります。

税務署への青色申告承認申請書の提出

個人事業主は、毎年確定申告を行う必要があります。確定申告は、「青色申告」と「白色申告」の2種類ありますが、65万円の特別控除が受けられる「青色申告」をオススメします。ただし、青色申告を行う為には、事前に承認を取っておく必要があり、以下の期限内に青色申告承認申請書を提出しなければなりません。

“原則、承認を受けようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後に開業した場合には、開業の日から2か月以内)”

また、独立したコンサルタントの税金については、過去に解説した以下の記事を参照ください。

年金加入

会社員時代には、厚生年金(社会保険)として給料から天引きされる形であまり意識はしていなかった方もいるかと思いますが、個人事業主に転身すると年金切り替え手続きをしなければなりません。ちなみに加入は義務です。

法人は厚生年金ですが、個人事業主の場合、国民年金が対象となり、退職日から14日以内に切り替えなければいけません。お住いの市区町村の役所(もしくは支所)で国民年金への加入手続きが可能です。手続きの際には「年金手帳」と、離職・退職証明書、社会保険の資格喪失書など「退職した日付がわかるもの」を持参する必要があります。切り替え手続きを行ってから数日で年金の納付書が届きます。

公的健康保険の切り替え(市区町村役場)

会社員時代には健康保険証が交付されていたと思いますが、これを個人事業主として利用するためには、国民健康保険への切り替えが必要です。個人事業主は、国民健康保険以外に下記(2)~(4)も対象となりますが、まず(3)はフリーコンサルの収入的に対象外になってしまうのが現実です。(4)もコンサルタントの組合は現実的では無く、結局(1)か(2)になります。払う金額に応じて選択するのが一般的ですが、(2)の場合、会社負担分も個人負担になりますのでそれを踏まえた検討が必要です。

(1) 国民健康保険
(2) 既存の健康保険の任意継続
(3) 扶養家族枠での健康保険
(4) 健康保険組合(職業別団体等)

なお、(1)国民健康保険の加入手続きは、退職日の翌日から14日以内に行わなければなりません。この際、前職の会社を退職した事実がわかるものが必要になります。前職の会社から健康保険の資格喪失連絡票等の書類を受けとるのを忘れないようにしましょう。

独立に向けて法定外でやっておくべきこと

独立するためには法的手続き以外にもやっておくべき手続きがあります。以下では、それぞれについて解説していきます。

事業用の専用口座・通帳をつくる

こちらは、強くオススメします。生活費用の口座と分けることで、事業に使った経費と個人的な消費を選別する面倒臭い会計業務を行う必要がなくなります。また、会計ソフトと事業用口座を連携させておけば、日々の経費入力やお金の流れを把握しやすくなる為、確定申告の際に焦らずに済みます。

営業活動準備をしておく

キャッシュフローが万全では無い状況下では、アベイラブル期間、即ち売上が0になる期間の排除が当然重要です。独立したらどのように案件を探していくのか、事前に計画と準備を進めておきましょう。ファームに在籍している間から弊社(当メディア運営企業)に相談頂くケースも最近多く見受けられます。

法務知識や会計知識を身につける

法務知識(契約書(委託、請負、準委任等))や会計知識(見積、請求、消込)といったものは一定の知識が必要になってきます。士業者等に委託する手段もありますので、その場合は委託先の選定を先んじて実施しておくべきでしょう。

また、クライアントとの連絡手段はどうするのか(gmailを使う方が多いようです)、名刺はどんなデザイン・制作会社に発注するのか、自分でホームページを作る場合はドメインの手配やCMSの選定などを検討しなければなりません。それ以外でも留意点は非常に多く、フリーになられた方からはよく質問を頂いております。

弊社ではフォーマット等も含めたご支援させて頂いておりますので、コンサルタントの独立準備でお悩みの方はこちらからお気軽にご相談ください。

退職前にやっておいたほうがよいこと

会社に勤めていると、法律的にも社会的にも守られ優遇も受けられます。しかし、独立するとそれらがすべて適用されなくなります。そのため、独立後に困らないように会社を退職する前にやっておいたほうがよいことを紹介します。

引越しなどの不動産契約

例えば、独立を機に引っ越して、住居兼事務所となる賃貸物件を契約するケースが多くあります。その場合、会社で勤務しているうちに不動産契約をしておいたほうがよいでしょう。

不動産会社は借家などを貸す前に、申込者(借主になる人)を審査します。その際に申込者の肩書や勤務先を必ずチェックします。それは、肩書や勤務先によって、貸すリスクが変わってくるからです。不動産会社のなかには、大手企業の正社員には借家を貸すものの、収入が不安定な個人事業主には貸さないと判断するところもあります。

住宅や車などのローン契約

住宅や車などをローンで購入する場合も、会社勤務のうちに手続きを済ませることをおすすめします。ローンにも審査が入り、申込者の肩書や勤務先がチェックされます。一般的に、収入が安定しているとみられる正社員のほうが、個人事業主よりローンの審査が通りやすいといえます。

クレジットカード作成

クレジットカードの審査は個人事業主よりも正社員の方が有利なため、ステイタスの高いカードは独立前に作っておくと安心です。ただ、様々なメリットを享受できる個人事業主用のカードもありますので、目的に合わせてどんなカードをいつ作るのか調べておくと良いでしょう。

コンサルタントにおすすめのクレジットカードの記事はこちら

【要注意】独立のリアルな失敗談

企業に勤めているコンサルタントから独立してフリーのコンサルタントになって間もない頃は、失敗が連続する可能性もあります。いくつかの失敗やトラブルは避けられないかもしれませんが、事前に「独立したコンサルタントによくある失敗」を知っておけば回避できるかもしれません。

そこでエージェント担当者が実際に見聞きした「独立後の失敗や苦労」をいくつか紹介します。これらを参考に、今から対策を講じて準備を進めておけば、独立後の仕事をスムーズに進めていけるはずです。

・「アベる」ことなんてないと思っていたが、もう2カ月も「アベって」いる
コンサルティング業界で「アベる」といえば、次のプロジェクトにアサインされるのを待っている状態のこと。つまり仕事がない状態です。自分でも実力がついたと思い、周囲からも「独立したら応援するよ」「独立したらすぐに仕事を頼むよ」と言われていたのに、独立後は仕事のオファーがゼロになることはよくあることです。独立したら、忙しいときこそ次の仕事につながる「仕込み」をしていく必要があります。

・確定申告に時間や労力がかかる
フリーコンサルタントの経理はさほど複雑ではありません。そのため、税理士事務所に依頼せずクラウド経理サービスで完結させようと思っている方も多いのではないでしょうか。しかし、プロジェクトと並行して進める確定申告は、重荷になるはずです。いざ、経費を計上しようと思ったら、レシートや領収書が見つからない・・・といったトラブルにも見舞われます。また、最近では「AIに聞けば何とかなる」と楽観視していたものの、実際に作業に取り掛かったら想定以上に時間がかかり、うんざりしたという声も良く聞きます。経理の基礎知識を押さえるために、入門書を一冊手元に置いておくこと、そして、あらかじめ経理作業の時間を確保しておくことが大切です。

・口頭約束で決まっていた案件が突如飛んでしまった
トラブルを未然に防ぐためにも、口頭での契約には注意が必要です。独立後のコンサルタントは小規模事業者のため、どうしても弱い立場に置かれがちです。クライアントに対して「正式に契約してから業務に取りかかります」とは言いづらい場面もあるかも知れません。しかし、クライアントの都合で突然キャンセルになる可能性はゼロではありません。その場合、事前準備は無駄になり、稼働スケジュールや売上予測は大幅に狂ってしまいます。口頭で正式に依頼をされたにもかかわらず、契約書の締結が後回しにされた場合は、前金を求めるなどキャンセルの可能性を想定した行動をとりましょう。

・意図せず成果報酬型の請負契約を請けてしまい、想定外の仕事が発生してしまった。
コンサル案件は履行割合型の準委任契約が主流ではありますが、案件の内容やクライアントによっては稀に成果報酬型の請負契約になっている場合があります。その場合、成果物に万が一不備があった場合、契約期間内が終了しても、クライアントの検収が完了するまで改修作業を求められる場合があります。もちろん理解して受注するのであれば問題ないですが、不用意に責任を負ってしまわないよう注意が必要です。

・交通費を別途請求できず実質報酬が目減りした
仕事を引き受ける際は、交通費や宿泊費、その他手数料なども詰めておきましょう。遠方のクライアントのもとに何度も訪問しなければならない場合、交通費は大きな負担になってきます。また、交通費や宿泊費などを明確にしておけば、そのあとでクライアントから料金の値下げを要求された際に、交通費と宿泊費を交渉材料に使って「仕事に対する報酬は値下げしない」という意思をクライアントに示すこともできます。

コンサルタントとして独立する上で重要なこと

「独立する」と決めているコンサルタントは、次のことに取り組むとよいでしょう。

・専門知識を増やしてスキルを磨く
・「雇われマインド」を捨てる
・独立後のキャリア戦略を明確にしておく

専門知識を増やしてスキルを磨く

独立後には、上司や先輩社員から教わる機会が得られなくなるでしょう。自分の知識とスキルだけでクライアントの要望に応えていくことになります。もし、クライアントからパフォーマンスが低いと思われたら、仕事を失います。

そうならないように専門知識を増やして、一つでも多くのスキルを身につけましょう。本業のコンサルティングの知識やスキルはもちろんのこと、経済情勢や業界の最新情報、法律や制度について、営業スキル、コミュニケーションスキル、経理スキル、事務処理スキル、ITスキルなど多方面に学びを深めましょう。

「雇われマインド」を捨てる

独立を考えている人は、会社で勤めているうちから「雇われマインド」を捨てたほうがよいです。意識するのは「経営者マインド」です。独立後、常に求められるのは成果や結果となります。今の自分の仕事の価値は「自分の給与の金額+経費の額+会社の利益」を超えているでしょうか。コンサルタントとして独立を目指している人は、会社に勤めている今のうちから、成果や結果にこだわり、売上とコストを意識して仕事に取り組みましょう。

また、「次の一手」を考える癖をつけましょう。独立すると、自分から仕事を獲得していかなければなりません。どんなに仕事が忙しくても「この仕事が終わったら次の仕事はあるのか」と考えて、仕事の種をまいていく必要があります。

独立後のキャリア戦略を明確にしておく

長期的に活躍するためには、独立後のキャリア戦略が重要です。例えば、独立後間もない時期には、これまで経験してきたプロジェクトと親和性の高い案件に狙いを定めることで案件獲得や単価交渉がしやすくなります。一方、ジェネラリスト的な対応力は、基盤となる専門性を築いた後に広げていくのが効果的です。戦略は各個人によって異なりますので、エージェントと相談をしながら方向性を決めていくのも有効です。

おまけ:フリーコンサルの想定単価・想定年収

最後に、参考までに独立後の想定単価と年収をご紹介します。

フリーコンサルの想定単価

アナリストレベル経験年数2年以上レベル単価70万~120万円
コンサルタントレベル経験年数3年以上レベル単価100万~150万円
マネージャーレベル経験年数6年以上レベル単価150万円以上
シニマネレベル経験年数9年以上レベル単価180万円以上
パートナー・MD・ディレクターレベル経験年数12年以上レベル単価250万円以上

フリーコンサルの想定年収

アナリストレベル年収850万円
コンサルタントレベル年収1,250万円
マネージャーレベル年収1,500万円
シニマネレベル年収1,800万円
パートナー・MD・ディレクターレベル年収2,500万円

詳しくは以下の記事でご確認ください。

まとめ

ここまで、フリーランスのコンサルタントとして独立する際の具体的な手続きや準備のポイントについて解説してきました。当メディア運営企業が提供するConsul Partners(コンサルパートナーズ)では、独立に向けたご相談や案件紹介、長期的なキャリア戦略など、さまざまなご支援をさせていただいております。独立に興味がある方、案件紹介をご希望の方はお気軽にお問合せください。

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