コンサル業界の新勢力「ベイカレクローン」とは? 成長企業が持っている3つの共通点
ワンプール、営業とデリバリの分離が変えた新しいコンサル業界の成功モデル
コンサル業界において近年、常に注目を集めるコンサルファームと言えばベイカレントです。急拡大、急成長を長らく続け、2025年には時価総額1兆円を超えたことも記憶に新しいところです。
ベイカレントのプレゼンスが高まるのに合わせるかのように、業界内で「ベイカレクローン」というキーワードが聞かれるようになりました。ベイカレント出身者が創業したブティック系コンサルファームで、かつベイカレントと同様の特徴を持つコンサル会社のことをベイカレクローンと呼んだのです。
今回はなぜ、彼らが急成長を遂げているのか、また、それを支える特徴を解き明かすべく、本記事を執筆しました。
目次
主要企業一覧
急成長を遂げている主なベイカレモデルの企業は以下の通りです。既に上場を果たしている企業や、数千人規模に達する勢いのファームも少なくありません。比較しやすいように、ベイカレントも掲載しておきます。
| 会社名 | 創業年 | 創業者名*4 | 社員数 | 上場 | 上場先 | コード | 売上高(直近/見込) | |
| 株式会社ベイカレント | Baycurrent, Inc | 1998年*1 | 江口 新 | 6768名(2026年2月) | 上場 | 東証PRM | 6532 | 1483億円(2026年2月期決算) |
| 株式会社ライズ・コンサルティング・グループ | Rise Consulting Group,Inc. | 2010年 | 朝日 竜樹 | 約397名(2026年2月末時点) | 上場 | 東証GRT | 9168 | 84億円 (2026年2月期) |
| 株式会社ビジョン・コンサルティング | Vision Consulting Co., Ltd. | 2014年 | 佐藤 大介 | 約1,373名(時期不明) | 未 | – | – | 170億円(2025年1月期)*2 |
| 株式会社ノースサンド | Northsand, Inc. | 2015年 | 前田 知紘 | 約1,762名(2026年1月時点) | 上場 | 東証GRT | 446A | 261億円 (2026年1月期) |
| 株式会社Re-grit Partners | Re-grit Partners Inc. | 2017年 | 山木 智史 | 450名(2025年5月末時点) | 未 | – | – | 73億円(2025年7月期) |
| 株式会社Dirbato | Dirbato Co., Ltd | 2018年 | 金山 泰英 | 1772名(2026年4月時点)*3 | 未 | – | – | 505億円 (2026年3月期) |
| 株式会社ストラテジーテック・コンサルティング | StrategyTec Consulting Inc. | 2019年 | 三浦 大地 | 223名 (2025年10月1日時点) | 未 | – | – | 57億円(時期不明)*2 |
| 株式会社アクティヴァーチ・コンサルティング | Activarch Consulting, Inc | 2020年 | 福井 康司 | 224名(2025年10月期) | 未 | – | – | 非公開 |
*2 求人サイトに掲載の数値
*3 日本年金機構被保険者数調べ
*4 敬称略
ベイカレクローンの定義
定義としてはベイカレントのビジネスモデルを採用し、かつベイカレント出身者が創業したコンサルファームとなります。ビジネスモデルの特徴としては、これまでの大手ファームとは異なる以下の3つの型を持っている点が挙げられます。
- 営業とデリバリーの分離
専任の営業部隊が案件を確保し、コンサルタントがデリバリーに専念することで高い稼働率を維持 - 高年収を支える利益還元
利益をコンサルタントの給与に反映することで、年収レンジを引き上げ優秀な人材の確保につなげる - ワンプール制による柔軟な人材配置
インダストリーやカット、オファリングごとのマトリクス型組織ではなく、ワンプール制を採用し全社でコンサルタントを最適配分
このほかにも、収益の中心をIT・DX領域の実行支援案件とし、人員拡大と稼働率向上がそのまま成長につながりやすい構造や、若手人材を早期に戦力化する育成モデル、成果に応じた昇進・報酬制度なども特徴として挙げられます。
次に、ベイカレモデルの成長を牽引した3つの特徴について詳しく解説していきます。
営業とデリバリーの分離と、高い給与レンジ
営業とデリバリーの分離は、彼らの高い利益率と成長スピードを両立させている最大の原動力とも言える部分です。
従来の(今でも多くの)コンサルティングファームでは、ディレクターやパートナーといった上位層が現場の責任者を務めながら、同時に次の案件を獲得するための提案活動を並行して行うのが一般的です。しかし、この上位層個人に依存するスタイルでは、抱えている複数のプロジェクトの切り替わりのタイミング次第で、コンサルタントがアベってしまう期間が生まれてしまうことがあります。
たとえば、優秀なコンサルタントに100%アサインでリードを任せたいと思っていても、現在参画しているプロジェクトAの終了後、次のプロジェクトBの開始まで2か月空いてしまうケースがあります。この間、部分的にチャージ(アサイン)できる適切な案件がない、といったイメージです。
営業とデリバリー分離モデルは、この構造が根本から異なり、営業を高度なマッチングとコンサル人材のリソース管理を行う専門職として独立させています。案件獲得に特化した営業部隊がコンサルタントの数を超える案件を常に受注し、とあるプロジェクトが終了する前に次のパズルを埋めることで、全社の稼働率を90%〜95%という高さに引き上げることができるのです。
この分離がもたらした恩恵は効率化と高稼働化だけではありません。案件を取ってきて、売上を作り上げる高給なパートナーを大量に抱える必要がなくなったことで、その分のコストをデリバリーの現場で活躍するコンサルタントの給与へと振り分けることができます。もちろん案件を取ってくる営業部隊にも還元はしますので、一概にコストを圧縮できるわけではないものの、コンサルタントに高給を提示できるようになることで、人材獲得における競争力を得ることはできます。
また、M-upのコンサルタントからすると案件受注の数字プレッシャーから解放され、目の前のクライアントの課題解決に集中することができます。高い営業力がすべての前提となりますが、一定のヘッドカウントとデリバリー力があることで、個人の属人性から脱却し組織として確実な利益を叩き出すことができる発明とも言えるスキームです。
ワンプール制とは?そのメリデメは?
象徴するもう一つの仕組みが、クライアント業界やオファリングによる部門分けをしないワンプール制です。この制度の何よりのメリットは、全コンサルタントを一箇所に集約することで、社内のコンサルリソースを需要に合わせて最適配分できる柔軟性にあります。会社側にとっては、特定の大口クライアントの案件が萎んだり、ある業界が不況に陥ったりしても、成長が期待できる別領域へ即座に人員をシフトできるため、外部環境の影響を小さくし高い収益性を維持できるという強みがあります。
また、働くコンサルタントにとっても、若いうちから特定の専門領域に限定されることなく、金融や製造といった様々な業界や、戦略立案から実行支援までの様々な領域の案件を通して、自らの適性を見極めるための多様な経験を期待できる点は大きな魅力です。部署の壁がないため、社内のあらゆる知見や多様なバックグラウンドを持つメンバーと接点を持てる点も良い点です。
一方で、この自由度の高さは裏を返せば、コンサルタント個人は自身でキャリア構築をしっかりしていく必要があると言えます。意識的に自分の軸(コンサルとしての専門性、コンサルの先のキャリア)を定めなければ、器用にある程度のことは何でもできる反面、特徴のないコンサルになってしまいます。また、固定のチームや上司を持たないことは、案件ガチャ的なアサインの不確実性にも繋がります(そもそも上司ガチャを外すよりはマシとも言えますが)。 なお、会社側からすれば帰属意識を如何に高め、離職防止に取り組むかは消えない課題だと思います。
コンサルタント(個人)側の視点
| メリット | デメリット |
| 幅広い業界・領域の案件の選択肢がある、経験ができる | 専門性が身につきにくい |
| 様々なバックグラウンドを持つ上司や同僚と働く機会がある | 「案件ガチャ」の要素はある |
会社側の視点
| メリット | デメリット |
| 稼働率の最大化と外部環境への柔軟な対応ができる | 特定のプロフェッショナルを育てることが難しい、ナレッジが個人に分散してしまう |
| 特定の専門スキルがなくともポテンシャルでも採用ができるため、採用柔軟性が高い | 社員の帰属意識向上に取り組み続けなければならない |
おわりに
業界内でコンサルとしてデリバリもこなす筆者として、フラットに編集後記的に書きたいと思います。
何かと注目度の高いベイカレントとベイカレクローン各社については、業界内でも賛否両論ありますが、国内のコンサル業界の発展には確実に寄与しているので、賛否の賛がほとんどだと捉えています。
競争の激しいこのコンサル業界で急成長し続けている点から、このビジネスモデルはやはり一つの成功の型であることは間違いないと思います。また、彼らの高い年収提示(聞いていると、たまに高すぎだろと思うときはありますが)は、他ファームの給与体系にも影響を与え、業界全体の魅力向上の一助になっています。さらに、各社経験の浅い若手でも積極的に採用していますが、現場のPMOなどで鍛え上げる仕組みは、若手の人材輩出プラットフォームとしての役割を果たしていると思いますし、期待をしています。
まとめると、以下の3つの観点においてコンサル業界に一定の好影響を与えているといえるでしょう。
- 急成長を続けている点からも、ベイカレモデルは成功パターンの一つとなっている
- 高年収化を通じて、コンサル業界全体の待遇改善にも影響を与えている
- 若手を積極採用・育成することで、人材輩出の役割も担っている
[v355]
執筆者

- コダワリ・ビジネス・コンサルティング株式会社 コンサルキャリアカンパニー
-
外資自動車メーカー2社を経験した後、コダワリにジョイン。
コンサルティングワークもこなす傍ら、人材紹介事業の事業責任者やコダワリの人材開発業務や採用統括業務など含めて幅広に従事。
執筆者

- コダワリ・ビジネス・コンサルティング株式会社 コンサルキャリアカンパニー
-
外資自動車メーカー2社を経験した後、コダワリにジョイン。
コンサルティングワークもこなす傍ら、人材紹介事業の事業責任者やコダワリの人材開発業務や採用統括業務など含めて幅広に従事。



















