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日本国内のコンサルティング業界規模は、1兆8,281億円(2022年度)|コンサル市場規模2023年版~前半~

日本国内のコンサルティング業界規模は、1兆8,281億円(2022年度)|コンサル市場規模2023年版~前半~

前年比+16%で2022年度も継続成長だが、領域により成長変化の兆し発生か

好評を得た昨年に続き、本年も日本国内におけるコンサルティング市場規模を推定・予測しております。2023年版も2部構成としており、前半となる本記事は「過去・現在のコンサル市場規模推定編(2017-2022年)」。次回公開の後半では「将来のコンサル市場規模予測編(2023-2030年)」をお届けします。

本稿では、特に下記3点に言及し、示唆についても述べております。

・コンサル業界全体の市場規模
・コンサル領域別の市場規模、占有率、CAGR(年平均成長率)
・コンサル領域別の成長率変化

早く結果が知りたい!という方は、3章「日本のコンサルティング市場規模は、1兆8,32億円(2022年度)」からご覧ください。

なお、各社の決算情報が出そろうタイミングで推定を実施する都合上、2023年版となる本記事では2022年度の決算データを使用しております。

「日本のコンサル市場規模」執筆の背景

当メディアは、コンサルティング業界への興味・関心を高めるべく活動しております。昨年4月の書籍出版に続き、11月には日本国内におけるコンサルティング市場規模(2022年版)を公開しました。

記事公開後は、様々な問い合わせをいただいたほか、外部のサイトやブログなどにも引用いただくなど大変好評となりました。また、リサーチ継続のご要望も多く、ご期待に応えるべく今回もリサーチ結果を公開いたします。

昨年も当メディア独自の確かな根拠に基づいてデータを取得した上で、推定・予測値を発信しましたが、今回はさらに根拠に磨きをかけた内容となっています。以下で発信する内容にご期待いただければ幸いです。

昨年の公開記事(日本国内におけるコンサルティング市場規模 2021年度)

書籍の宣伝

市場規模を推定にするにあたっての方針

リサーチの継続性を目的に、以下に示す通り前回同様の基本方針を採用し、データについては最新版を採用しております。

1.全体アプローチ
ピックアップした主要調査対象企業の売上高を取得・推定。これら主要企業が市場全体に占める割合を公的統計情報から推定し、日本のコンサルティング市場規模全体を算定。具体的には以下の通り。

2.調査対象企業
●日本国内で活動する内資・外資の主要なコンサルティング企業
 コンサルティング会社 カオスマップ2023を対象

3.調査対象企業の売上高推定方針
●推定方針
・企業公開情報(IR情報、統合報告書、Annual Report、会社案内、社員数、採用情報といった一次情報)から取得
・上記で取得できない場合は、弊社独自方針をもって推定売上高が複数コンサルティング領域で構成され、領域別の売上高を特定できないケースにおいては、企業の主要コンサルティング領域の売上高としてカウント
●外資売上高の考慮(外貨から日本円への換算)
・外資企業の売上高が外貨基準の場合、各社決算年月末日の為替レートで日本円に換算
●IT領域コンサルティングのコンサルティング以外の売上高考慮
・ITコンサルティング領域の売上高に含まれがちな、システム設計、開発、運用・保守などのコンサルティングに関わらない部分を極力排除

4.市場規模の推定
経済産業省 経済センサス‐活動調査カオスマップ2023掲載企業の売上高から、主要なコンサルティング企業が占める市場割合を推定

一方で後日公開予定の「コンサルティング市場規模の将来予測|コンサル市場規模2023年版~後半~」では予測精度を高めるべく、多角的な視点を新たに取り入れています。

日本のコンサルティング市場規模は、1兆8,281億円(2022年度)

2017年~2022年で約1.9倍成長

図表1は、日本のコンサルティング市場規模(売上高推移)の推定グラフです。

前年度比+16%、年平均成長率(CAGR)は+13.6%と前回よりも+0.5%ととなり、2017年から続く市場拡大は継続していることがうかがえます。

なお、2020年度はコロナによる一時的な投資意欲の低下に伴う売上高減少(前年比)が見られますが、2021年の成長率(前年度比)は、+16.0%となり、ほぼ前回予測値(+15.0%)通りの結果となりました。

図表1 日本のコンサルティング市場規模(推定)[十億円]

日本のコンサルティング市場2023年版グラフ

市場規模を押し上げた要因

前回リサーチで述べたプラス要因であるDXトレンドが継続しており、クライアント企業単独での対応が依然として難しく、引続きDX支援ニーズが高いものと推測されます。

社員数の増加状況からも高いコンサルティングニーズが売上高に反映されていることが確認できます。コンサルティングファームの社員数はこれまで、本メディアにてまとめており、気になる方は参照ください。

グローバルのコンサルファームの社員数をまとめてみた(Big4・アクセンチュア+α)

コンサルティング領域別の売上高・市場占有率・CAGR

依然として総合系が市場規模を大きく支える

図表2は、2017年から2022年までの日本国内におけるコンサルティング市場規模を領域別に推定したグラフです。

図表2 日本のコンサルティング市場推定[十億円]

日本のコンサルティング市場規模領域別推移グラフ(2017-2022)

2022年度のコンサルティング領域別売上高・市場占有率・CAGR(2017–2022年)は、

・総合系:市場規模10,876億円、 市場占有率 59.5%、CAGR +16.3%
・戦略系:同 2,340億円、 12.8%、 +12.2%
・業務・ビジネス系:同 1,444億円、7.9%、+5.4%
・シンクタンク系:同 1,412億円、7.7%、+14.0%
・業務・IT系:同 778億円、4.3%、 +6.8%
・FAS及びM&A系と事業再生系:同 810億円、4.4%、 +10.8%
・中小企業向け:同 385億円、2.1%、 +4.7%
・組織人事系:同 232億円、1.3%、+8.0%

となっており、依然として総合系が市場規模を大きく支えていることが分かります。

市場成長率の変化 ~伸び具合は領域でマチマチ(市場規模の頭打ちの兆しか?)

しかしながら、領域別の売上高成長率(前年度比)の変化をみると、領域によって成長率の伸びしろに変化が出始めており、市場成長に変化の兆しがあるのではないかと推測します。

売上高成長率|前年度比を上回った領域

・組織人事系:12.7%増 (20-21年 +12.1% → 21-22年 +24.8%)
・FAS及びM&A系と事業再生系: 12.0%増 (同 +11.6% → +23.6%)
・業務・IT系:6.7%増 (同 +9.0% → +15.7%)

売上高成長率|前年度比を下回った領域

・シンクタンク系:32.1%減 (20-21年 +53.8% → 21-22年 +21.7%)
・中小企業向け:21.4%減 (同 +19.3% → -2.1%)
・戦略系:14.4%減 (同 +26.6% → +12.2%)
・総合系:8.4%減 (同 +24.7% → +16.3%)
・業務・ビジネス系:2.2%減 (同 +17.0% → +14.8%)

成長率(前年度比)が上回った要因

領域ごとに事情が異なると考えています。以下で各領域ごとに要因を考察していきます。

組織人事系
人的資本経営(人的資本の情報開示)や働き方改革関連法の改正、健康経営などコンサルティング支援ニーズが領域の市場成長に結びついていることがうかがえます。

FAS及びM&A系と事業再生系
経済産業省の活動(M&Aを推進する施策)*の活発化や、昨今各種メディアで目にすることが多くなったM&Aサービスが市場に浸透してきた、などが好影響を及ぼし市場が活性化してきたと推測しています。
*中小M&Aガイドライン(2020年3月策定)中小M&Aハンドブック(2020年9月策定)

業務・IT系
戦略・総合などの上流系から発生するコンサルティングニーズが継続中で、DX関連のコンサルティングニーズが続いていると推測します。

成長率(前年度比)が下回った要因

経産省のDXレポート(2018年発表)で発生したDXトレンドに伴うコンサルティングニーズで急拡大してきた市場は、需要に供給が追いつき始めて成長率が鈍化し始めたのではないかと考えられます。

また、シンクタンク系はコロナ禍終息で先々の不透明さが解消されて、政府や官公庁からの調査委託が減少したためではないかと考えられます。

本稿では、日本国内におけるコンサルティング市場規模推定・予測の前半として、「日本国内におけるコンサルティング市場規模推定(2017-2022年度)」について解説してきました。

・日本国内におけるコンサルティング市場規模は、2022年度1兆8,281億円
・CAGR(2017-2022)は+13.6%、市場成長率(前年度比)は+16.0%と依然市場は活況
・但し、コンサルティング領域別での成長率の伸び具合はマチマチで、組織人事系・FAS及びM&A系と事業再生系は成長が続いてると推定できる一方、総合系・戦略系・業務/ビジネス系・シンクタンク系に成長鈍化の兆しあり。

最後まで読んでいただきありがとうございました。皆さんは、現在の日本のコンサルティング市場規模をどのように受取られたでしょうか?

本稿をご覧頂き、“日本国内におけるコンサルティング市場規模の今後の予測が気になる!“と感じていただけるようでしたら、「コンサルティング市場規模の将来予測|コンサル市場規模2023年版~後半~」をご期待ください。

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執筆者

S.M.
S.M.コダワリ・ビジネス・コンサルティング株式会社 コンサルティングカンパニー
SIer・ITコンサルファームでのキャリアを積む。大規模システム刷新プロジェクトにおける業務要求定義からシステム導入運用まで幅広いフェーズや大企業でのDXにおけるPgMOのリーディングや実務をこなす。業務・IT双方へ精通し、関係者との迅速な関係構築のうえ、両面からの業務改革支援に強みを持つ。
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