コンサルファームやコンサル業界の情報サイト | コンサルのあんなこと、こんなこと

NEW

読了まで 8

【新卒コンサル体験記】教科書通りでは通用しないロジカルシンキング|研修で直面した3つの課題

【新卒コンサル体験記】教科書通りでは通用しないロジカルシンキング|研修で直面した3つの課題

ロジカルシンキングとは?「人を動かす思考」の本質

本記事では、新卒でコンサルファームに入社した筆者がワークを通じて「相手を動かすための知的な技術」としてのロジカルシンキングを学んでいく道筋を執筆しました。

入社前、私は「筋道が一本通っていれば論理的だ」と考えていました。しかし研修を終えた今、その認識は大きく変わり、自分の解像度の低さを実感しています。現場で求められる思考の深さを追求していくことは、私にとって今後の大きなテーマであり、これを乗り越えることが成長への確実な一歩になると確信しています。だからこそ、同じように日々のレビューで試行錯誤している同期や内定者に向けて、私の経験を共有します。

入社前後で激変したロジカルシンキングの認識

入社前の私は、ロジカルシンキングを単純に捉えていました。データを集め、それを基に仮説を構築し、筋道立った主張へ一直線に結びつけるという流れです。つまり、前提から結論までが途切れずにつながっていれば十分だと考えていました。実際、学生時代のディベートや就活のグループディスカッションでは、そのレベルでも称賛されていました。むしろ自分は思考が得意だと、自信を持っていたほどです。

しかし、その自信は入社と同時に大きく崩れ去りました。コンサルの現場では、一つの結論に向かって筋が通っていることなどただの前提条件に過ぎません。本当に求められるのは、「他に原因はないか」「別の説明は成り立たないか」といった観点をすべて洗い出し、抜け漏れなく整理する力、すなわち「MECEと網羅性」です。どれほど綺麗な筋道を立てても、視野の抜け漏れが一つあれば説得力は大幅に下がります。

さらに、日々のレビューで痛感しているのが「事実と意見の混同」です。象徴的だったのは、ある企業の調査タスクを任されたときのことです。自分なりに調べた内容を意気揚々と上長レビューに持っていったのですが、私の成果物を見た上長から返ってきたのは、「どこまでが確定した『事実』で、どこからが君の『仮説』なのかが全くわからない」「これでは次のアクションに繋がらない」という厳しい指摘でした。筋の良い仮説を立てること自体は、原因分析や意思決定の精度を上げるうえで重要ですが、これらを混同すると議論は迷走してしまいます。どこまでが「確定した事実」で、どこからが「不確実な仮説」なのか。ここが曖昧だと、ビジネスの現場では意思決定の足が止まってしまうのです。事実と意見をはっきり切り分けること。その徹底こそが、コンサルとして戦うための出発点だと日々実感しています。

 

正論だけで人は動かない 

なぜ、入社前後でロジカルシンキングの認識にズレが生じるのでしょうか。 その理由はシンプルで、私が「相手にアクションを起こしてもらう」という本来の目的の重みを、本当の意味で理解していなかったからです。 学生時代のディベートのように、正論で相手を論破してもビジネスの現場では誰も動きません。 相手を納得させ、次の行動を起こしてもらうことこそが、思考を組み立てる目的なのです。

この本質を痛感したのが、社内で行われた営業ロープレ研修での出来事でした。飛び込み営業で自社の商材を買ってもらうという演習に対し、私は「この商材がいかに優れているか」という正論を一方的に並べて買ってもらおうとしたのです。ですが、そもそも見ず知らずの人間が突然やってきて、自分の主張だけを押し付けてくる営業から、わざわざ商材を買うという大きなアクションを起こしてもらえるはずがありません。案の定、上長からは「『この人からなら買ってもいいかも』と思わせる関係性構築が全くできていない」「まず相手の状況を聴いて理解し、配慮する姿勢が足りていない」という厳しいフィードバックをもらいました。自分の正しさを証明することばかりに終始し、目の前の相手を置き去りにしていた自分に気づき、ハッとさせられた瞬間でした。

では、どうすれば人は実際に動いてくれるのでしょうか。ビジネスの現場にいるのは、それぞれ立場や感情を持った生身の人間です。 だからこそ、網羅性や仮説といった確かなものを持ちつつ、相手の置かれた状況や立場、乗り越えるべき社内政治、さらにはそのアクションによって生じる相手の利害(メリット・デメリット)までをも深く理解し配慮する姿勢が求められます。 「この提案なら相手は安心して動けるか」という相手への想像力があって初めて、ロジックは人を動かす原動力になるのだと思います。

現代は、AIを使えば誰もが瞬時に正しく綺麗なロジックを出力できる時代です。 だからこそ、これからの差別化の焦点は正しい論理そのものにはないのだと感じます。問われるのは、そのロジックを伝える側の人間力ではないでしょうか。つまり、相手への深い配慮や、提案に込めた圧倒的な熱意、そして「この人と一緒に仕事がしたい」と思わせる誠実な人間性のことです。こうした人間力をロジックに掛け合わせ、いかに人を動かすかという点が重要なのだと思います。 相手の行動に徹底的にコミットする生きたロジカルシンキングこそ、今私たちが磨くべき本当の武器となるのではないでしょうか。

新卒が痛感する大きな課題

「『MECEと網羅性』『事実と意見の切り分け』そして、『相手への配慮や人間力を掛け合わせ、人を動かすロジカルシンキング』を実践する」。そう決意して再び研修や日々の社内業務に臨んだものの、現実は甘くありませんでした。人を動かすという高い理想を掲げる以前に、ロジカルシンキングの基本スキルにすら届かない自分の未熟さを思い知らされることになったのです。

1つ目の課題は、目的の解像度不足です。私は研修や課題で与えられたテーマに対して、どういう視点で情報を収集して分類すればいいのか分からず、結果的に自分の結論に対して相手に納得感を持ってもらうことができませんでした。その根本的な理由は、目的の解像度が低く、相手のニーズを的確に把握できていないことにありました。相手の知りたいことは何か、という問いが抽象的だとリサーチすべき情報がわからず、伝えるべきメッセージもズレてしまいます。

2つ目は、示唆出しの不足です。なんとか情報を整理できたとしても、私の思考はそこで止まっていました。リサーチした情報を綺麗にスライドに並べただけで、「だから結局、何が言えるのか」という一歩踏み込んだビジネスへの示唆を抽出することができなかったのです。講師や先輩からは「これ、ただのファクトの羅列だよね」と見透かされ、自分の思考の浅さを痛感しました。

そして最大の課題である3つ目は、読み手目線の欠如です。自分なりに構造化した内容を、いざレポートやドキュメントにまとめる段階で、大きな落とし穴にはまりました。 私は、自分がどういう順番で調べ、どう作業したかという自分の検討プロセスをそのまま文章にしてしまっていたのです。しかし、読み手にとって大切なのは書き手の苦労話ではなく、「読み手にとって何が重要なのか」という結論です。 そのため、本来であれば文章の冒頭で「なぜ今、この検討が必要なのか」という明確な理由を示して相手に読む動機づけをし、冒頭の数行(サマリ)を読んだだけで全体像が伝わるよう、必要最小限の文章量でまとめなければなりません。当時の私はその配慮を怠り、書きたいことをただ並べてしまっていました。 結果として、上長から「そもそもこれ、今調べる必要ある?」と一蹴され、読む価値すら認めてもらえないこともしばしばでした。 

綺麗なロジックの枠を埋めるだけで満足し、その先にある「人を動かす」というスタートラインにすら立てていない――。これが、私が研修や日々の社内業務で突きつけられた、最初の大きな泥沼でした。

泥沼から脱却するために、私が始める3つのアクション

ここまで、私が研修や日々の社内業務の中で突きつけられたリアルな課題についてお話ししてきました。では、この「独りよがりのロジック」という泥沼から脱却し、人を動かす生きたロジカルシンキングを身につけるためには、明日から何を意識すればよいのでしょうか。まだ現場に出る前の未熟な私ですが、日常の小さなトレーニングによって徹底して体に叩き込んでいこうと決意しています。これから私が実践していく、3つのアクションを紹介します。

◆目的を見失わないための「ノートの上の余白メモ」
ロジックがブレる最大の原因は、作業をしているうちに「何のためにやっているか」という目的を見失うことです。そこで私は、パソコンを開いてとりあえず資料を書き始めるのを、まずはやめることにしました。作業を始める前に、手元のノートの上の余白に、「誰に、読んだ後(聞いた後)どんなアクションを起こしてほしいか」というゴールを1行だけでいいので大きく書き出すようにしています。「上司に企画の承認をもらう」「他部署の担当者にスケジュールを空けてもらう」など、常にその目的を目に入る場所に置いてからスタートします。こうすることで、目的からブレた無駄な情報集めや、的外れなメッセージ作りを防ぎやすくなると考えています。

◆思考の引き出しを増やす「日常の1分要約」
情報の本質を掴み、自分なりの「だから何が言えるのか」という示唆を導き出すためには、日々の「頭の筋トレ」が欠かせません。そのため、私はスマホでニュースを読んだときや、社内の共有資料に目を通したとき、ただ読み流すのをやめました。頭の中で「一言で言うとどういうことか(抽象化)」「だから自分(自社)はどうすべきか」を1分間で要約する習慣を実践しています。日々あふれる情報から本質を抜き出す訓練を日常的に繰り返し、その先の示唆まで考える訓練を繰り返ことで、ビジネスで最も重宝される深い思考力を地道に磨いていきます。

◆相手の時間を奪わない「結論ファースト」
読み手目線の欠如から抜け出すために、私がまず意識しているのが「相手は何を知りたいのか」を考えることです。その実践として、明日からの社内メール、上司への報連相、あらゆるアウトプットの場面で、結論から伝えることを徹底します。自分がどう頑張って調べたかというプロセスを話したくなる気持ちをグッと抑え、まず相手が最も知りたい結論を差し出す。この一歩を意識することで、自然と読み手の関心やニーズを起点に考えられるようになり、 伝わりやすさや信頼感の向上にもつながると考えています。

ロジカルシンキングを学ぼうとすると、つい「綺麗なスライドの作り方」や「見栄えのよいフレームワーク」といった、表面的なテクニックに目が向きがちです。しかし、デザインや資料のレイアウトといった「見た目的なもの」は、必要に迫られれば後からいくらでも、勉強して身につけることができます。

今、磨くべきなのは、思考のプロセスそのものなのだと思います。「何のために、誰に伝えるのか」という目的意識を研ぎ澄まし、相手の行動に徹底的にコミットする。この本質的な思考力を明日からの日常で愚直に磨き続け、いつかビジネスの現場で実際に人を動かす本当の武器にしてみせます。

綺麗なロジックのその先へ

本記事では、新卒のリアルな経験談からロジカルシンキングの本質を紐解いてきました。AIが台頭する現代、単に「正しく綺麗なロジック」を作るだけなら、人間に求められていない時代かもしれません。しかし、ロジックと人間力を掛け合わせ、相手の行動に徹底的にコミットする思考は今後より一層求められます。その思考を体現するためには、目的の解像度を上げ、ファクトから一歩進んだ示唆を出し、常に読み手目線で伝えることが不可欠です。ぜひ、私と一緒に4章で紹介した日常の小さなアクションから実践し、ビジネスの現場で実際に人を動かす「本当の武器」を磨いていきましょう。

[v361]

執筆者

M.N.
N.M.
学生時代はプロを目指してサッカーに打ち込んでいた一方で、今では片手に収まりきらないほどの趣味を持つ。この一つのことにコミットする力と旺盛な好奇心を活かし、幅広い業務をマルチにこなしながら日々スキルを磨き続けている。
  • RSS

執筆者

M.N.
N.M.
学生時代はプロを目指してサッカーに打ち込んでいた一方で、今では片手に収まりきらないほどの趣味を持つ。この一つのことにコミットする力と旺盛な好奇心を活かし、幅広い業務をマルチにこなしながら日々スキルを磨き続けている。

PICKUP注目記事

RANKING人気記事ランキング

一覧

NEWS新着ニュース

一覧

PICKUP注目記事

BACK TO TOP

BACK TO TOP

×
ニュースレター登録
×
ニュースレター登録