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コンサルプロジェクトの流れとは?提案から実行支援までと各ロールの役割を解説!

コンサルプロジェクトの流れとは?提案から実行支援までと各ロールの役割を解説!

コンサル案件の始まり方とプロジェクト開始後の流れとは?

コンサルティングのプロジェクトは、誰がどのように営業し受注するのか?受注後のプロジェクトの進め方や各ロール(役職)の役割はどのようなものか?具体的な事例を交えて、そのプロセスを解説します。コンサル未経験者や転職希望者が、プロジェクトの全体像を把握し、実務に役立てるための情報を提供します。

コンサルティングプロジェクト事例

コンサルティングファームでは、プロジェクトごとにチームを編成する「プロジェクトワーク」が基本です。事業会社にお勤めの方だと馴染みがない方が多いかもしれませんが、プロジェクトが終わればチームは解散し、各メンバーはまた次なるプロジェクトへアサインされます。

プロジェクト受注〜実行までの流れの説明に入る前に、そもそもコンサルにはどんなプロジェクトがあり、どんなロールが存在するのかを、この章と次の章で説明します。大体知っているよという方は、スキップして第3章に飛んでください。

コンサルティングのプロジェクトといっても内容は非常に多岐に渡りますが、ここでは本メディアを運営するコダワリ社の事例を紹介します。

【人事制度策定支援】
◆クライアント:医療・健康関連事業を展開するグループ企業
◆背景:組織拡大に伴い、グループ全社の理念の整理・制度化を目指していたが、具体的な方針や計画は不明確だった。そこで、柔軟に議論しながら進められるコンサルティングファームを探していた。
◆取り組み:クライアントが目指す「市場原理の中で永続的成長」を実現するためのグループ全社共通の考え方の整理と、それを踏まえた人事制度策定・グループ全社への展開の全体方針策定と制度策定・運用設計を支援。
(詳細:https://consul.global/post21776

【DX戦略策定支援】
◆クライアント:大手ホテルチェーン(全国展開)
◆背景:老朽化した建物とITインフラの課題に直面し、アフターコロナに備えてDXプロジェクトをクライアント内で推進していたが、具体的な方針や施策の計画が定まっていなかった。
◆取り組み:クライアントの抱える課題を的確に把握し、クライアントが描く理想像の具体化及び、それを実現するための、DXロードマップを策定。各種調査・分析、全社及び、DXとしての目指すべき姿の策定、各種施策検討やロードマップへの落とし込みなどの支援を行なった。
(詳細:https://consul.global/post11886

コンサルティングファームにおけるロール(役職)の役割

コンサルティングファームでは、入社時からロール(役職)が与えられます。これは、日本企業でいう課長・部長などの役職とは異なり、コンサルタントとしてのレベルのようなものを示します。成果主義のコンサル業界では、年次の目安はあるものの、スキルに応じて昇進が決まります。

ロールは、タイトルと呼ばれるケースもあり、各コンサルファームで呼び名や区分が異なりますが、この記事では5つのロールに区切って説明します。
()内は目安となる経験年数。

  • パートナー(15年〜)
    コンサルティングファームの最高職位でファームの共同経営者という位置付けとなります。
    顧客開拓・新規プロジェクトの獲得が求められます。大企業の経営幹部のディスカッションパートナーとして、彼らが抱える多岐にわたる経営課題について議論を交わし、方向性を見出すサポートを行います。
  • ディレクター(8〜15年)
    一般企業でいう役員のポジションです。新規案件の営業やクライアントとのリレーションシップ構築、人材育成や知財開発などのファームの経営に深く携わります。デリバリも一定割合で行います。
  • マネージャー(5〜10年)
    プロジェクトの現場責任者として、クライアントのカウンターとの折衝をはじめ、スコープやワークプランの設計、役割分担や、タスクマネジメントと成果物の品質・予算管理を行います。また、マネージャーも一定割合で営業に工数を割くことが求められることが多いです。
  • コンサルタント(3〜5年)
    マネージャーの指揮下で、ある程度の裁量を持って自らの判断に基づきプロジェクトを遂行し、情報収集・分析・提言を行います。
  • アナリスト(0〜3年)
    コンサルタント指導の下、顧客ヒアリングやリサーチ・分析、提言、資料作成、会議運営の準備やファシリテーションを行います。

余談ですが、プロジェクトではロール関係なく意見を求められます。上司の方針に従うことが正しいとされる日系企業の方からすると驚かれますが、アナリストであれ意見を出さなければ存在していないものとされ、評価が下がるのがこの業界の特徴です。

プロジェクト受注~戦略〜実行支援の流れ

案件獲得(営業)から、プロジェクト完了までの流れとして、以下の3フェーズに分けて説明します。

  • 提案フェーズ
  • 戦略フェーズ
  • 実行支援・運用フェーズ

プロジェクトによって、これに限りませんが、基本的にはこの3フェーズに分けられることが多いです。各フェーズにおける詳細を解説していきます。

【提案フェーズ(営業)】

コンサルファームには、一般的な会社にある営業部署は存在せず、テレアポや足で稼ぐと言ったような営業活動を行いません。基本的にはパートナーやディレクターのクライアントリレーションや人脈をもとに、彼ら彼女らが営業の役割を担います。ただし、一部のコンサルティングファームでは案件を取ってくる専任部隊として営業部を設けているところもあります。

営業の入り口としては、主に以下の種類があります。

  • 既存プロジェクトの次フェーズ受注
  • 既存顧客の同一部署からの別相談(案件拡張)
  • 既存顧客の別部署からの相談(横展開による案件拡張)
  • 以前支援した担当者の転職先からの相談
  • 人づての相談やクライアントからの問い合わせ
  • 大規模なビジネスフォーラムなどでのセミナーや講演活動
  • 入札(特に省庁や行政などの公的機関で多い手法)

このようなルートで例えば、

「次のフェーズでも引き続き、支援してほしい」
「ある部門のシステム維持・保守コストが高く、ベンダーの集約等を含めて抜本的なコスト削減を提案してほしい」
「経理部門のDX推進を支援してくれているが、人事部門でもDXを始動させたい」

というような相談があり、クライアントからコンサルファームに提案を依頼されます。この提案フェーズではクライアントの経営層とやり取りするため、経験と深い知識を有するパートナーやディレクターが担うのです。

そして、パートナーを中心に当該領域に最適な専門性を持った人材によって「提案チーム」を組成し、クライアントからの相談やRFP(提案依頼書)をもとに、課題解決に向けた初期仮説を提案。この提案書には、成果物の定義、チーム体制、期間、アプローチ方法など、プロジェクトの大まかの方針が記されます。

【戦略立案フェーズ】

ここからは、パートナーは重要な会議にのみ出席し、プロジェクトの責任者としてマネージャーがチームを編成・指揮します。チームは「マネージャー、コンサルタント、アナリスト」で構成され、プロジェクトを進めていきます。

プロジェクト規模によって10名以上のチーム構成もあれば、2〜3名のチーム構成もあります。期間は2〜3ヶ月程度程度のプロジェクトが多いです。

よくある成果物の一例は、現状分析(As-is)と理想的な将来像(To-be)を定義し、そのギャップ分析とギャップを埋めるための戦略・実行プランを描きます。デスクトップサーチや必要であれば社内のリサーチチームにアプローチするなどして情報収集し、データ分析、関係者にヒアリングを行い、プロジェクトの論点をブラッシュアップし、課題解決に向けた計画・プランを作成していきます。

このフェーズでは、完成した戦略プラン(成果物)をクライアントの役員陣へ報告することで完了となります。

【実行支援・運用フェーズ】

近年では、戦略立案フェーズの後に、それに基づいた実行支援やさらにその後の運用支援まで、同じコンサルティングファームが一貫して行うことが一般的になってきています。期間は半年〜数年以上と長くなります。

業務改革や組織改変、規程の変更、人事制度改革などなど、そのメニューはキリなく存在しますが、あくまでクライアントが実行するのを支援する立場で、プロジェクトを推進していきます。そのため、クライアントの体制やその実行メニュー、規模に応じて、戦略立案フェーズとは体制を変えて支援にあたります。

このフェーズでは、考える以外にも手足を動かす作業が大量に発生します。クライアントの経営層だけでなく現場の業務スタッフを巻き込んでいくため、そのスタッフ達のマインドチェンジ(自分ごとにさせる)させるための労力も必要になります。

実行していくための、クライアント側の体制整備を行なった後は、タスク設計やKPI設定、リソースの配置、課題管理、会議でのファシリテーションと、マネジメント業務に主にリソースを割くとこになります。そして、正しくプロジェクトが進んでいるか、仮説が正しいかなど効果を最大化するためのモニタリングを行います。このマネジメント部隊をPMOと呼ぶことが多いです。

また、IT系のプロジェクトの場合は、ベンダー選定やパッケージ選定などのIT上流から支援し、システム開発そのものを行うコンサルティングファームなんかも存在します。

まとめ

ここまで説明してきましたが、クライアントの事情や課題に同じものはなく、汎用性の高い定型的なフレームワークが当てはまるわけもなく、その都度に顧客のプロジェクトに合わせたスコープと体制を構築していくというのが、コンサルティングプロジェクトの特徴です。

コンサルティングファームによっても得意な(受注の多い)フェーズや、クライアントの業種・職種、規模感と強みが異なるので、これからコンサル業界に挑戦する方は、この記事を参考にコンサルティングファームを深掘りしてみてください。

また、ブティック系(独立系)コンサルファームでは、より若いロールのうちから営業に携わったり、セクターにとらわれず多種多様なプロジェクトに関与したりと、大手とのプロジェクトへの関わり方も変わってきます。以下の記事では、少数精鋭のブティック系コンサルファームについて詳しく書かれているので、まだ読んでいない方は、ぜひご覧ください。
https://consul.global/post6393/

[v276]

執筆者

K.G.
前職ではコダワリ・ビジネス・コンサルティング社にて社長秘書・営業部長を歴任。退職後は海外を拠点に多国籍企業のコンサルティングに特化したフリーランスコンサルタントとして、IT戦略、ビジネスプロセス改善、組織再編に関する専門知識を活かし、クライアントに対してデジタル変革と効率化の推進を支援している。
最新のグローバルトレンドと戦略的思考を強みにコダワリ社の理念であるGNH量産に奔走している。
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