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Big4で最も後発ながら拡大を続けるKPMG|売上・社員数等の推移が示すコンサルファームの変遷

Big4で最も後発ながら拡大を続けるKPMG|売上・社員数等の推移が示すコンサルファームの変遷

年間でグローバル1.3倍、国内2.8倍。異なる拡大スピード

KPMG(ケーピーエムジー)は、デロイト、PwC、EYと並ぶ「Big4」の一角を占める、世界最大級のプロフェッショナルサービスファームです。

2025年度のグローバル売上高は398億USドル、社員数は約27.6万人に達しています。一方で、日本におけるKPMGのコンサルティング部門は、2009年に一度その系譜が途切れるという特異な歴史をたどりました。それにもかかわらず、国内の社員数はこの7年で約2.8倍に拡大しています。 本記事では、2018年から2025年までの売上・社員数の推移を分析し、KPMGがどのような歩みをたどってきたのかをひも解いていきます。

KPMGとは

KPMGの歴史:4文字に刻まれた4カ国のルーツと、日本で途切れた系譜
KPMG(ケーピーエムジー)は、監査や税務、FAS(フィナンシャル・アドバイザリー・サービス)に加え、コンサルティングまでを幅広く手がけるプロフェッショナルサービスファームです。その歴史は古く、起源は約150年前、1870年のロンドンにまで遡ります。

■ 名前の由来と4カ国のルーツ
社名は、基礎を築いた4人の人物の頭文字に由来します。

K:ピエト・クリンヴェルド(1917年・アムステルダムで会計事務所を設立
P:ウィリアム・バークレイ・ピート(1870年・ロンドンで事業を開始)
M:ジェームズ・マーウィック(1897年・ニューヨークで会計事務所を設立)
G:ラインハルト・ゲルデラー博士(1953年・ドイツのDTGに参加)

1911年にピートとマーウィックの事務所が合併してPeat Marwick International(PMI)が、1979年にはクリンヴェルドとゲルデラーの流れをくむKlynveld Main Goerdeler(KMG)が誕生。この2社が1987年に合併して生まれたのがKPMGです。

■ 日本における系譜の断絶と現体制の発足
日本のルーツは、会計事務所「PMM」が1949年に日本事務所を設立したことに始まります。コンサルティング部門は1997年に設立され、2000年にKPMGコンサルティング株式会社へ社名変更しました。

しかし2002年、朝日アーサー・アンダーセンとの事業統合でベリングポイント株式会社となり、2009年には米ベリングポイントから分離・独立のうえPwCに買収されます。ここでKPMGコンサルティングの系譜は一度途切れました。 その後、2011年にKPMGマネジメントコンサルティング株式会社、2012年にKPMGビジネスアドバイザリー株式会社が設立されます。2014年、この2社に有限責任 あずさ監査法人のITアドバイザリー部門を加えた統合により、現在のKPMGコンサルティング株式会社が誕生します。

売上の変遷

■グローバル売上高の推移(2018年〜2025年)

20182019202020212022202320242025
全社売上(億USD)290298292321346364384398
アドバイザリー事業売上(億USD)115120117137154159163164
全社売上増加率(%)9.7%2.8%▲2.0%9.9%7.8%5.2%5.5%3.6%
アドバイザリー事業売上増加率(%)9.9%4.3%▲2.0%17.1%12.4%3.2%2.5%0.6%

KPMGのグローバル売上高は、2018年の290億USドルから2025年には398億USドルへと、7年で約37%拡大しました。アドバイザリー事業も115億USドルから164億USドルへ、約43%の伸びです。全社売上に占める同事業の比率は2025年時点で41.2%。監査・税務という安定基盤を持ちつつ、コンサルティングを成長ドライバーとしてきた構図が読み取れます。なお増加率はUSD換算値から算出しており、KPMGが公表する現地通貨ベースの成長率とは一致しません。

ただし増加率(折れ線)を見ると、一本調子に伸びてきたわけではないことが分かります。沈み込み、跳ね上がり、そして鈍化という3つの局面です。

1.コロナ禍で唯一のマイナス成長(2020年)
2020年は全社売上が前年比▲2.0%、アドバイザリー事業も▲2.5%と、この8年間で唯一のマイナス成長でした。プロジェクトの凍結・延期が影響したとみられます。もっとも下げ幅は2%台。ストック性の高い監査・税務を併せ持つ複合ファームの底堅さも表れています。

2.DX特需による急回復(2021年〜2022年)
2021年には一転、全社が+9.9%、アドバイザリー事業は+17.1%と急回復。2022年も同事業は+12.4%と2桁成長を維持しました。DX投資の本格化に加え、ESG対応やサイバーセキュリティなど経営アジェンダが多様化し、KPMGが強みを持つリスク・ガバナンス領域まで需要が広がった局面です。

3.安定成長への移行とAIシフト(2023年以降)
2023年以降、全社売上の増加率は3〜5%台で推移。アドバイザリー事業はさらに緩やかで、2025年は+0.6%と横ばいに近い水準まで鈍化しました。景気の不透明感が背景にあるとみられます。

一方で同社は2023年7月、マイクロソフトとの協力関係拡大とあわせ、今後5年間でAIに20億USドルを投資する方針を発表。マルチエージェント型のAI基盤「KPMG Workbench」を全社展開するなど、自律的なAI活用に踏み込んでいます。国内でも2026年2月、有限責任 あずさ監査法人が東大発AIベンダーのArithmerと協業し、生成AIやAIエージェントを活用した業務改革支援に乗り出しています。 次に、社員数の変遷を見ていきましょう。

社員数の変遷

■KPMGのグローバルにおける社員数の変遷(2018年〜2025年)

20182019202020212022202320242025
グローバル社員数
(人)
207,000219,000227,000236,000265,000273,000275,288276,030
グローバル社員数増加率(%)5.8%3.7%4.0%12.3%3.0%0.8%0.3%

グローバルの社員数は、2018年の20.7万人から2025年には27.6万人へと約1.3倍に増加。DX特需に沸いた2022年に+12.3%と伸びた一方、2025年は+0.3%と拡大のペースは明確に落ち着いています。同時期の売上の伸びは約1.4倍で、売上とほぼ同じ角度で人員を増やしてきたことになります。

■KPMGコンサルティングの国内における社員数の変遷(2018年〜2025年)

20182019202020212022202320242025
国内社員数(人)7659281,1531,1651,3021,7952,0532,116
国内社員数増加率(%)21.3%24.2%1.0%11.8%37.9%14.4%3.1%

KPMGコンサルティングの社員数は、2018年の765人から2025年には2,116人へと約2.8倍に拡大しました。特に2023年は+37.9%という突出した伸びです。なお2026年8月時点の公開値は2,447名で、前回調査からさらに331名増えており、拡大は現在も続いています。

グローバルと国内で異なる成長スピード

同じ7年間の伸びを並べると、差は明確です。グローバルは売上が約1.4倍、社員数が約1.3倍。対して国内の社員数は約2.8倍と、倍のスピードで組織を大きくしてきたことになります。グローバルが売上と人員の歩調をそろえて積み増す一方、日本だけが別の角度で伸びている構図です。

背景にあるのは国内コンサル市場そのものの拡大です。国内主要ファーム全体でも2022→2023年、2023→2024年はいずれも15%の社員数増加でした。(「Big4・アクセンチュアなどの主要総合系コンサルファームの国内社員数の一覧」より)

加えて、2014年設立という遅いスタートもその後の高い増加率に影響しています。本記事の調査開始年である2018年時点で、KPMGコンサルティングの社員数は765人。2017年11月末時点で2,381人だったデロイト トーマツ コンサルティングと比べても、まだ小規模でした。現在の2,116人もBig4のコンサル部門では最小で、伸び率の高さは出発点の小ささの裏返しでもあります。

KPMGの変遷まとめ

KPMGは4カ国にルーツを持ち、1987年の合併で誕生しました。日本ではコンサルティングの系譜が2009年にいったん途切れ、現在のKPMGコンサルティングは2014年設立と、Big4で最も新しい法人です。

グローバルでは、売上高が7年で約1.4倍(290億→398億USドル)、社員数は約1.3倍(20.7万→27.6万人)と、売上と人員がほぼ同じペースで拡大。安定基盤を併せ持つ複合ファームらしい、堅実な成長曲線です。

一方、日本国内のKPMGコンサルティングの社員数は約2.8倍(765人→2,116人)。設立から10年あまりでここまで規模を伸ばした点は、国内コンサル市場の需要の大きさを映すものです。ただし絶対規模ではBig4最小であり、伸び率の高さは出発点の小ささの裏返しでもあります。

足元では2025年12月、アドバイザリー領域を統轄する「KPMGアドバイザリーホールディングス株式会社」を設立し、約5,000名をワンストップ体制に束ねました。人を増やして売上を伸ばす段階から、AIと組織再編で提供価値そのものを変える段階へ。KPMGが次にどのような成長曲線を描くのか、当メディアでは引き続き注目していきます。

[v375]

執筆者

M.N.
N.M.
学生時代はプロを目指してサッカーに打ち込んでいた一方で、今では片手に収まりきらないほどの趣味を持つ。この一つのことにコミットする力と旺盛な好奇心を活かし、幅広い業務をマルチにこなしながら日々スキルを磨き続けている。
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