コンサルファームの社会貢献活動を調査してみた|注力テーマをランキングで比較
日系ファームは「教育」、外資系は「プロボノ」に注力
コンサルティングファームを比べるとき、年収や働き方、案件の領域に目が向きがちです。では、各社は本業の外で、社会にどのような形で還元しているのでしょうか。採用ページでは一行で触れられて終わることも多く、横並びで比べた情報はあまり見当たりません。
そこで本記事では、主要コンサルファーム11社の公式サイトを調べ、社会貢献活動を1件ずつ洗い出しました。テーマ別に集計すると、各ファームでの特徴が見えてきました。
テーマ別・ファーム別のランキングとあわせて、数字から浮かび上がる特徴を紹介します。
目次
「コンサルファームの社会貢献活動」調査概要
まずは、本記事の調査対象と数え方を説明します。
■調査対象
対象は、日本で事業を展開する主要コンサルティングファーム11社です。1つの層に偏らないよう、Big4系・総合系・戦略系・シンクタンク系の4つの慶應から選んでいます
| 系統 | ファーム(日本法人) | 区分 |
| Big4系 | デロイト トーマツ グループ/PwC Japanグループ/EY Japan/KPMGジャパン | 外資系 |
| 総合系 | アクセンチュア/アビームコンサルティング/ベイカレント・コンサルティング | アクセンチュアは外資系、ほか2社は日系 |
| 戦略系 | マッキンゼー・アンド・カンパニー | 外資系 |
| シンクタンク系 | 野村総合研究所(NRI)/三菱総合研究所/日本総合研究所 | 日系 |
※本記事では、海外に本拠を置くグローバルネットワーク・グループに属するファームを「外資系」、国内企業を母体とするファームを「日系」と分類しています。
■使用データ
使用したのは、各社の公式サイトに掲載されている情報のみです。 社会貢献・サステナビリティのページ、公式のプレスリリース、各社が公開しているレポートを対象としました。(2026年9月時点)
このうち、各社が社会貢献として紹介している国内の取り組みを集計しました。なお、有償のサービスや出版物・会員事業、社内向けの施策、自社の環境対策、方針を掲げただけのものは含めていません。
■ランキングの作り方
各社が社会貢献として紹介している取り組みを、1件ずつ数えました。数え方のルールは次のとおりです。
・固有の名前や枠組みがある取り組みを1件とする
※1回限りの寄付やイベントは含めない(継続している取り組み、または終了した取り組みのみが対象)
・日本国内の活動に限定する(海外拠点・海外子会社の活動は含めない)。
「コンサルファームの社会貢献活動」ランキング
集計の結果を、テーマ別とファーム別の2つのランキングで見ていきます。
■注力テーマランキング
| 順位 | テーマ | 件数 | 割合 | 外資系 | 日系 |
| 1 | 教育・次世代 | 28 | 32% | 16 | 12 |
| 2 | NPO支援・プロボノ | 17 | 19% | 15 | 2 |
| 3 | 貧困・福祉 | 9 | 10% | 7 | 2 |
| 4 | 環境・気候 | 7 | 8% | 6 | 1 |
| 4 | スポーツ・文化 | 7 | 8% | 6 | 1 |
| 6 | 地方創生・地域活性 | 6 | 7% | 4 | 2 |
| 6 | 人権・DE&I | 6 | 7% | 6 | 0 |
| 8 | 防災・災害 | 5 | 6% | 3 | 2 |
| 9 | 提言・情報発信 | 3 | 3% | 0 | 4 |
| 合計 | 88 | 100% | 63 | 25 |
※割合は四捨五入のため、合計が100%にならない場合があります
1位は「教育・次世代」で28件。全体の約3割を占めました。
2位の「NPO支援・プロボノ」(17件)と合わせると、88件のちょうど半分です。
※プロボノとは、仕事で培った専門スキルを生かして行うボランティアのこと。
コンサルファームの社会貢献は、業務の中で培われた知識やスキルを社会に渡す形が中心になっているのではないかと考えられます。
■ファーム別ランキング
| 順位 | ファーム | 系統 | 件数 | 主な取り組み |
| 1 | デロイト トーマツ | Big4系 | 14 | NPO/NGOへのプロボノ支援(2011年〜・60以上の団体)/Impact Month(2025年は延べ約6,000名)/子どもを未来につなげる奨学助成/日比谷花壇整備(2006年〜) ほか |
| 2 | EY Japan | Big4系 | 13 | EY Ripples(日本の受益者約174万人)/EYアクセラレータープログラム(2019年〜)/Entrepreneurial Winning Women(2015年〜)/学生ルール形成アイデアコンテスト ほか |
| 2 | KPMGジャパン | Big4系 | 13 | ブラインドサッカー支援(2015年〜)/FITチャリティ・ラン(2007年〜)/東京グリーンシップ・アクション(2009年〜)/中高生のキャリア教育 ほか |
| 4 | アクセンチュア | 総合系 | 10 | Skills to Succeed(2009年ごろ〜)/equalto/里海珊瑚プロジェクト/中高生向けSTEAM人材育成プログラム ほか |
| 5 | PwC Japan | Big4系 | 9 | なんでも会計相談(2015年〜・延べ200事業者超)/プロボノプログラム(2017年〜)/FITチャリティ・ラン(2009年〜)/Design Your Future ほか |
| 5 | NRI | シンクタンク系 | 9 | 学生小論文コンテスト(2006〜2022年度)/キッザニア福岡への出展(2022年〜)/震災復興の取り組み(2011年〜) ほか |
| 7 | アビームコンサルティング | 総合系 | 7 | 環境保全活動(2006年度〜)/サバニ帆漕レース特別協賛(2008年〜)/モンテディオ山形への協賛(2016年〜)/大学での寄附講座 ほか |
| 8 | 三菱総合研究所 | シンクタンク系 | 5 | 中高生のための未来共創塾(2008年〜)/大学教育への協力 ほか |
| 9 | マッキンゼー | 戦略系 | 4 | 教職員のための問題解決トレーニング(2021年〜・のべ約700名)/里親養育推進プロボノ(2022年〜)/スペシャルオリンピックス日本への支援 ほか |
| 10 | ベイカレント | 総合系 | 2 | 東京大学「産業事情講座」での講義/NPOへのプロボノ |
| 10 | 日本総合研究所 | シンクタンク系 | 2 | SAKI寄付教育プログラム/SAKIアカデミア向け無償版 |
| 合計 | 88 |
※件数が同じ場合は同順位
トップはデロイト トーマツの14件。EY Japanと KPMGジャパンが13件で続きました。
Big4系コンサルファームが積極的に社会貢献活動の実施・発信をしていることが見られます。
※ただし、この件数は公式サイトで確認できた取り組みの数です。社会貢献の情報をどこまで細かく公開するかは会社によって異なるため、取り組みの規模や熱心さを表す順位ではありません。
数字から浮かび上がる、外資系ファーム・日系ファームの違い
ここからは、外資系6社(63件)と日系5社(26件)に分けて、テーマの構成を比べてみます。
| テーマ | 外資系6社(63件) | 日系5社(25件) |
| 教育・次世代 | 16件(25%) | 12件(48%) |
| NPO支援・プロボノ | 15件(24%) | 2件(8%) |
| 貧困・福祉 | 7件(11%) | 2件(8%) |
| 環境・気候 | 6件(10%) | 1件(4%) |
| スポーツ・文化 | 6件(10%) | 1件(4%) |
| 地方創生・地域活性 | 4件(6%) | 2件(8%) |
| 人権・DE&I | 6件(10%) | 0件 |
| 防災・災害 | 3件(5%) | 2件(8%) |
| 提言・情報発信 | 0件 | 3件(12%) |
■日系ファームは「教育」、外資系ファームは「プロボノ」に注力
日系/外資系間ではっきり差が出たのは、「教育」と「プロボノ」です。日系は25件中12件(48%)が教育で、ほぼ半分を占めました。
三菱総合研究所の「中高生のための未来共創塾」(2008年〜)や、NRIの「学生小論文コンテスト」(2006〜2022年度)など、若い世代に考える機会を提供する取り組みが長く続いています。
NRIと三菱総合研究所が、研究成果や提言の発信を社会貢献に位置づけている点も特徴的でした。
シンクタンク系のファームが、業務の延長戦上で、研究や調査結果を提供しているため「教育」をテーマにした社会貢献が多くなっていると考えられます。
一方、外資系はNPO支援・プロボノが15件(24%)と、日系(8%)の3倍の割合です。デロイト トーマツは2011年以降、60以上の団体に110以上のプロボノ案件を手がけています。
コンサルファームの社会貢献活動をどう見る?ファーム選びのポイント
主要コンサルファーム11社の公式サイトから、社会貢献活動88件を洗い出して比較しました。
わかったことは次の2つです。
・88件のうち、半分が「教育」と「プロボノ」。知識やスキルを社会に渡す形の貢献が中心
・日系は教育、外資系はプロボノに厚みがある
企業における社会貢献活動の特徴は、その企業が何を大切にしているかを反映しているとも言えると思います。
各ファームを比較する上で、年収や案件の領域に加えて、社会貢献のページもあわせて確認してみるのはいかがでしょうか。
[v377]
執筆者
-
N.M.
学生時代はプロを目指してサッカーに打ち込んでいた一方で、今では片手に収まりきらないほどの趣味を持つ。この一つのことにコミットする力と旺盛な好奇心を活かし、幅広い業務をマルチにこなしながら日々スキルを磨き続けている。
執筆者
-
N.M.
学生時代はプロを目指してサッカーに打ち込んでいた一方で、今では片手に収まりきらないほどの趣味を持つ。この一つのことにコミットする力と旺盛な好奇心を活かし、幅広い業務をマルチにこなしながら日々スキルを磨き続けている。
















