2025年9月~2026年8月|ウェルビーイング・人的資本経営・健康経営の最新動向5選
「開示」から「活用」へ。人材・組織のデータ活用とAI活用に広がる1年間の変化を振り返る
ウェルビーイング・人的資本経営・健康経営をめぐる企業の取り組みは、この1年でどのように変化したのでしょうか。
当サイトでは、2025年9月から2026年8月まで、主要なコンサルティングファームが発信する関連ニュースを「月刊ウェルビーイング・人的資本経営・健康経営」として継続的に紹介してきました。
1年間のニュースを振り返ると、従業員の健康や働きがい、エンゲージメントといったテーマに加え、人的資本に関する情報を「開示する」だけではなく、人材や組織に関するデータを活用し、配置・育成・組織づくりなどの具体的な施策につなげる動きが目立つようになっています。
さらに、AIを活用した人材配置やスキル分析など、人的資本経営とテクノロジーを組み合わせる動きも広がっています。
本記事では、2025年9月~2026年8月に取り上げたニュースを振り返りながら、ウェルビーイング・人的資本経営・健康経営をめぐる5つの動向を整理します。
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目次
2025年9月~2026年8月の5つの動向
この1年間の発信を俯瞰すると、特に次の5つの動きが目立ちました。
- 人的資本経営が「開示」から「活用」へ
- 人材・スキルの可視化とデータ活用が進む
- 従業員エンゲージメント・EXを含めた組織づくりへ
- 多様な人材・ライフステージへの対応が広がる
- AI時代の人材・組織づくりへ
1.人的資本経営が「開示」から「活用」へ
この1年間で特に変化が見られたのが、人的資本経営の位置づけです。
人的資本経営では、これまで人的資本情報の開示や、そのためのデータ整備が大きなテーマとなってきました。
一方、2026年に入ると、開示した情報を次の人材施策や経営判断につなげる動きが目立つようになっています。
例えば2026年4月には、EYストラテジー・アンド・コンサルティングが、エーザイの人的資本開示を次の行動につなげる取り組みを支援したことを紹介しました。
また、6月にはEYが広島県と連携し、地域企業における人的資本経営の普及を支援する取り組みを紹介。人的資本経営を大企業だけのテーマとせず、地域企業にも広げる動きが見られました。
さらに7月には、EYによるジョブ型人材マネジメント改革支援など、人材マネジメントそのものを変えていく取り組みも取り上げています。
こうした動きを踏まえると、人的資本経営は、
「情報を開示する」
→「人材・組織の状態を把握する」
→「データを活用する」
→「人材配置・育成・組織づくりにつなげる」
という流れへ広がっていると考えられます。
重要なのは、人的資本に関する指標を測ること自体を目的にしないことです。
今後は、人的資本に関するデータをどのように人材戦略や経営判断へつなげるかが、より重要なテーマになりそうです。
2.人材・スキルの可視化とデータ活用が進む
人的資本経営の「活用」を進める上で重要になるのが、人材やスキルの可視化です。
2025年9月には、三菱総合研究所とQUICKが、人的資本情報に基づく企業分析手法に関する共同研究を開始。また、野村総合研究所は三菱UFJ銀行と、生成AIを活用した人材・業務マッチングの最適化に取り組みました。
2026年3月には、KPMGによるグローバル人材情報基盤の構築支援や、アビームコンサルティングによる「HRBPエージェント」の開発など、人事データとテクノロジーを組み合わせる動きも見られました。
そして7月には、NRIがAIを活用したスキル需給分析を開始。リスキリングや労働移動を支える基盤づくりにもつながっています。
これまでの人材管理では、「誰がどの部署にいるか」「どのような研修を受けたか」といった情報を個別に管理するケースも少なくありませんでした。
今後は、
- どのようなスキルを持つ人材がいるのか
- どの業務にどの人材を配置するのが適切なのか
- どのスキルが不足しているのか
- どのような育成が必要なのか
といった情報を横断的に把握し、配置や育成に活用することが求められます。
人的資本経営における「可視化」は、単なるデータの一覧化から、人材マネジメントに使うためのデータ活用へと進みつつあります。
3.従業員エンゲージメント・EXを含めた組織づくりへ
人的資本経営の対象は、人材のスキルや人数だけではありません。
従業員がどのように働いているか、どのような状態で仕事に向き合っているかなど、人と組織の状態を捉える動きも広がっています。
2025年10月には、デロイト トーマツが従業員エンゲージメント向上を支援する「Engagement Agent」の提供を開始。従業員の状態を把握し、エンゲージメント向上につなげる取り組みが見られました。
また、2025年11月には、アビームコンサルティングがチームスピリットと連携し、従業員体験(EX)の変革を通じた人的資本価値の向上を支援する取り組みを発表しています。
健康経営の領域では、コンサルティングファーム自身が自社の従業員の健康・ウェルビーイングを経営課題として捉える取り組みも見られます。 2025年には、EY Japanが「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)」に認定され、日立コンサルティングも4年連続で同認定を受けました。健康経営優良法人認定制度は、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、健康の保持・増進につながる取り組みを戦略的に実践している法人を「見える化」する制度です。
さらに2026年7月には、電通総研がウェルビーイングに関する国際規格「ISO 25554:2024」に準拠した「ウェルビーイングISOガイドライン認定」を取得しました。ウェルビーイングについても、一定の基準に基づいて評価・改善していく動きが見られます。
こうした動きを見ると、ウェルビーイング、健康経営、エンゲージメント、EXなど、従業員の健康や働き方、組織との関係性を捉えるテーマが広がっていることが分かります。
人的資本経営においても、「どのような人材がいるか」だけでなく、その人材がどのような環境で働いているのか、どのような状態にあるのかまで含めて考えることが重要になっています。
人材・スキルの可視化に加え、健康、エンゲージメント、従業員体験、ウェルビーイングなどの情報も含めて人と組織の状態を捉え、それぞれの施策につなげていくことが、今後の人的資本経営におけるテーマの一つになりそうです。
4.多様な人材・ライフステージへの対応が広がる
人的資本経営やウェルビーイングの対象が広がる中で、個々の従業員が置かれている環境やライフステージに合わせた支援も増えています。
2025年10月には、マーサーが女性管理職の増加と日本の男女賃金差異について取り上げました。
11月には、NRIが40代・50代の就労者に関する「ミッドライフクライシス」の調査を公表。世代によって異なるキャリアや働き方の課題も、人材戦略のテーマになっています。
12月にはEYが海外赴任者と帯同家族へのサポートについて調査し、ライフステージに応じた支援のあり方も取り上げています。
さらに2026年3月には、NTTデータ経営研究所がワーキングケアラーの実態を調査。仕事と介護の両立という課題も、企業にとって無視できない人材マネジメント上のテーマになっています。
こうした動きからは、従業員を一律に管理するのではなく、
「どのような人材が、どのような環境で働いているのか」
を踏まえて、人材施策を考える必要性が高まっていることが分かります。
人的資本経営における「多様性」は、属性の多様化だけではなく、キャリア、家庭環境、ライフステージなどを含めた働き方の多様性へと広がっています。
5.AI時代の人材・組織づくりへ
この1年間で特に変化が大きかったのが、AIと人的資本経営の接点です。
2025年12月には、EYの調査で、人材戦略の不備によってAI活用による生産性向上効果を最大40%失っていることが紹介されました。AIを導入するだけではなく、人材戦略や組織側の準備が重要であることを示す事例です。
2026年3月には、アビームコンサルティングがAIと人事の共創を支援する「HRBPエージェント」の開発に着手。5月にはガートナーが、人とAIの協働を前提とした働き方の再設計について発信しました。
さらに7月には、NRIによるAIを活用したスキル需給分析、8月にはMRIによるAIを活用した人材配置の調査研究など、AIを人材マネジメントそのものに活用する動きも登場しています。
AI時代の人的資本経営では、
- AIを活用できる人材の育成
- AIと人の役割分担
- スキルの可視化
- 人材配置の最適化
- AIを前提とした業務・組織設計
など、人材・組織とテクノロジーを一体で考える必要があります。
「AIを導入するか」だけではなく、AIによって仕事や必要なスキルがどう変わるのか、それに合わせて人材や組織をどう変えていくのかが、人的資本経営の新たなテーマになりつつあります。
2025年9月~2026年8月のニュースを月別に振り返る
この1年間に当サイトで取り上げた主なニュースを、月別に振り返ります。
| 月 | 主なテーマ・トピック |
| 2025年9月 | 人的資本開示の成熟度、人材・業務マッチング、人的資本情報を活用した企業分析 |
| 2025年10月 | 従業員エンゲージメント、女性管理職、男女賃金差異 |
| 2025年11月 | 人材ミスマッチ、従業員体験、人的資本価値、ミッドライフクライシス |
| 2025年12月 | AI活用と人材戦略、海外赴任者支援、仕事と生活の両立 |
| 2026年1月 | AI活用を支える人材戦略、アルムナイ、多様な働き方 |
| 2026年2月 | 働きがい、人材の長期育成、人間理解とウェルビーイング |
| 2026年3月 | 人材情報基盤、HR×AI、テクノロジー人材、介護との両立 |
| 2026年4月 | 人的資本開示から次の行動へ、人材育成、企業文化・人事領域 |
| 2026年5月 | 経営戦略と人事戦略の連動、人とAIの協働、スキル習得支援 |
| 2026年6月 | 人材育成基盤、人的資本経営の地域企業への普及、組織変革 |
| 2026年7月 | ジョブ型人材マネジメント、AIによるスキル需給分析、ウェルビーイングの可視化 |
| 2026年8月 | AIによる人材配置、スポーツ×ウェルビーイング、フィジカルAI人材育 |
各月の詳しいニュースは、以下の「月刊ウェルビーイング・人的資本経営・健康経営」から確認できます。
人的資本経営は「測る」だけでなく「活用する」段階
2025年9月から2026年8月までの動きを振り返ると、ウェルビーイング・人的資本経営・健康経営は、それぞれ独立したテーマではなくなりつつあります。
人的資本に関するデータを整備し、従業員の状態やスキルを把握する。
そこから、人材配置や育成、働き方、組織づくりにつなげる。
さらにAIを活用しながら、人材マネジメントそのものを高度化していく。
この流れを整理すると、
「測る」
↓
「可視化する」
↓
「分析・活用する」
↓
「人材・組織を変える」
という段階へ、人的資本経営のテーマが広がっていると見ることができます。
特にAIの普及によって仕事や必要なスキルが変化する中では、人材戦略と事業戦略、テクノロジー戦略を別々に考えることが難しくなっています。
今後は、人的資本に関する情報を「開示すること」だけを目的とするのではなく、人材や組織に関するデータをどのように経営に活かし、企業と従業員双方にとってより良い状態をつくっていくかが、より重要なテーマになりそうです。
今後も当サイトでは、コンサルティングファームが発信するウェルビーイング・人的資本経営・健康経営の動向を追っていきます。
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執筆者
- コダワリ・ビジネス・コンサルティング株式会社
執筆者
- コダワリ・ビジネス・コンサルティング株式会社


















